近年、SNSの利用が一般化し、企業の広報・PR活動のあり方は大きく様変わりしました。広報・PR活動にSNSを活用する企業も増加しており、従来の戦略は過去のものとなりつつあります。
では、企業の広報・PR活動でSNSを活用するとして、どのような方法で利用するのが効果的なのでしょうか。
今回は、SNSマーケティング専門メディアである本メディア「インスタラボ」のノウハウに加え、幣メディアと親交のある
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- 広報・PRでSNSが活用される背景とデータ
- SNSを活用して広報・PRを行うメリット
- SNSで積極的に広報・PR活動をしている企業の成功事例
- SNSを活用した広報・PRで注意すべきポイント
について詳しく解説しますので、広報・PR活動の課題解決の一助としてぜひお役立てください。
目次
- 1 企業として重要な広報・PR活動とは
- 2 SNSと企業の広報・PR活動の現状
- 3 広報・PR活動にSNSを活用するメリット
- 3.1 無料で継続的に自由なメッセージ発信ができる(ブランディング)
- 3.2 ユーザーとの双方向のコミュニケーションによる信頼関係づくりができる(パブリックリレーションズ)
- 3.3 SNSで話題になった投稿はメディアに取り上げられる可能性が高まる(メディアリレーション)
- 3.4 個人メディアであるインフルエンサーの第三者発信による拡散が期待できる(ブランド認知・話題性拡大)
- 3.5 ソーシャルリスニングによりユーザーの本音を調査できる(効果計測、リスクマネジメント)
- 3.6 社員にSNSを見てもらうことで社内広報ができる(インターナルコミュニケーション)
- 3.7 SNSをとおした採用活動ができる(ソーシャルリクルーティング)
- 4 SNS別の広報・PR活用成功事例
- 5 SNSを活用した広報・PRで意識するべきポイント
- 6 まとめ
企業として重要な広報・PR活動とは
まずはじめに、企業の経営に欠かせない広報・PR活動がどのようなものであるかを簡単に解説いたします。
広報・PRとは?どのような目的で行うのか?
広報・PRとは企業の活動内容や扱っている商品・サービスについての情報を発信する業務のことです。
情報発信を通して企業が世間や公衆からの理解や信頼を得るための活動であり、企業を経営していく上で必ず行わなければならない非常に重要な活動です。
広報にも種類があり、消費者向けの広報以外に自社で働く社員・従業員など企業内部向けの社内広報や、投資家向け広報(IR)などがあります。
従来の広報・PR活動
SNSの普及以前から行われている従来の広報・PR活動についてここで簡単にご紹介してまいります。
プレスリリース配信
プレスリリースとは企業の情報を報道機関向けに発信することで、ニュースリリースとも言われます。
情報の発信はファクシミリや郵送、インターネットが普及してからは電子メールや自社のウェブサイトなどで行われています。
自社のプレスリリースを各種メディアに配信し、記事化されることで客観的視点の入った情報拡散と話題性の創出が狙えるため、プラスリリースは広報活動の中でも基本的かつ重要な手法となります。
記者会見、プレスイベント開催
報道機関向けの記者会見や会場を設けて多数の人に情報を発信するプレスイベントの開催も広報・PR活動の一環です。
質疑応答の場が設けられるため、企業からの一方的な情報発信ではなく企業と記者や公衆の間で双方向のコミュニケーションが可能となります。
メディアリレーションズ
企業が活動する上で新聞や雑誌、テレビやラジオ、WEB媒体など各種メディアは欠かせない存在です。そんなメディアと企業の間で良好な関係を構築する活動がメディアリレーションズです。
広義のメディアリレーションズの中には上述のプレスリリースや記者会見も含まれており、非常に重要な活動のひとつです。
パブリックリレーションズ(PR)
ここまでご紹介した活動が報道機関・メディア向けであったのに対してパブリックリレーションズ(PR)は一般の大衆向けに企業の情報を発信する活動です。
企業からの情報発信だけでなく広告によらない宣伝活動やお問合せやアンケートにより公衆の意見を受け入れることに関してもパブリックリレーションズにあたります。
ホームページ/オウンドメディア
広報誌・パンフレットの発行や自社ホームページ・ブログといったオウンドメディアを運営することで広く情報を公開・発信します。
昔ながらの広告のようなペイドメディアと比較してコストパフォーマンスに優れた媒体であり、自社で情報発信のコントロールがしやすいことから、現在でも効果的な広報・マーケティング手法として積極的に活用されています。
ブランドリスクマネジメント
ブランドリスクマネジメントとは企業の不祥事や事故など様々な要因によって信頼を損ねてしまう、ブランドとしての価値を失ってしまうリスクに備える活動です。
問題が発生することを防いだり、問題が起きてしまった際に迅速かつ的確に対処できるようにし、ブランドイメージの維持と向上の妨げにならないように努めます。
採用活動
新たに社員・従業員を募る採用活動もまた広報・PR活動の一環です。
企業が求める人材像を作成したり、求職者向けに自社の魅力を発信したりといった採用広報によって条件に合った応募者をより多く集められるようにします。
社内広報
社内広報とは企業が自社の社員・従業員向けに行う広報活動です。
社内報などを通して社員・従業員に企業理念やビジョン、ミッションの浸透を図ったり、企業の業績など経営情報の共有、コミュニケーションの活性化によって社員間の相互理解の促進や社内の風通しの改善を図るなどの目的を持って行われます。
SNSと企業の広報・PR活動の現状
企業の広報・PR活動について解説してまいりましたが、そこにSNSはどのように関わってくるのでしょうか。SNSと企業の広報・PR活動の現状をご紹介いたします。
そもそも、ステークホルダーのSNS利用率が高まっている
SNSが企業の広報・PR活動において利用されるようになった最も大きな理由として挙げられるのは、ステークホルダー(利害関係者)のSNS利用率が高まっているという点です。
総務省が2020年に発表した「令和元年通信利用動向調査」によると、2019年(令和元年)の個人でSNSを利用する人の割合は国民全体の約70%に上り、多くの日本人がSNSを利用している状況となっています。
SNSの利用目的として「情報収集」を挙げている人の数も増加しており、実際、近年ではGoogleやYahoo!といったインターネットの検索エンジンよりもSNSを使って検索をする行動が一般的になっています。
今や消費者=ステークスホルダーに情報を届ける媒体として、SNSは非常に効果的かつ重要なものとなっているのです。
会社案内、人材募集など広報ツールとしてSNSを利用する企業も増加
総務省が昨年2019年5月に発表した「平成30年通信利用動向調査」によると、2018年(平成30年)の企業のソーシャルメディアサービス利用状況はすべての業界で上昇しています。
ソーシャルメディアサービス利用状況は2017年(平成29年)は企業全体で28.9%、2018年(平成30年)には企業全体で36.7%に上っており、1年で7.8ポイントと大幅に増加している状況です。
また、全体的に利用目的の割合が下がる中、「会社案内、人材募集」という広報的な目的でソーシャルメディアサービスを活用する企業の割合が伸びている点は注目すべきポイントです。
自社への理解を深めてもらったり、優秀な人材を獲得する目的でユーザーと近い距離間でコミュニケーションできるソーシャルメディアサービスが広報ツールとして有効という認識が広まっているといえるでしょう。
実際、たとえば電機メーカーの「シャープ株式会社」や大手計測器メーカーの「株式会社タニタ」など、SNSにて消費者に近い目線での発信を行っている企業は消費者との信頼関係が生まれ、非常に多くのファンの獲得に成功しています。
企業で行うデジタル関連業務もSNSの割合が高まっている
企業の広報・PR担当者が行うデジタル関連業務の内容も、SNSの割合が高くなっています。
広報会議(株式会社宣伝会議)が2018年に行った調査によると、広報担当者の主なデジタル関連業務のうち、SNSアカウント(Facebook、Twitter、YouTube、Instagram)の運用を行っている割合が高い状況となっています。
画像:広報のオウンドメディア強化が加速 インフルエンサー活用は様子見か|広報会議
企業のコーポレートサイトを運用することは基本として、自社オウンドメディアやブログよりもSNSの運用を優先している企業も多いことが伺えます。
消費者をはじめとしたステークスホルダーとの接点を生み出すために活用しやすく、比較的気軽に更新できるツールであることがSNS運用の注目が高まる要因として挙げられます。
また、近年注目されている「インフルエンサーマーケティング」を行っている企業もあります。
ブロガー、ユーチューバー、インスタグラマーなどインフルエンサーにブランドをPRしてもらう「インフルエンサーマーケティング」は広報・PRとしては現状20%ほどが実施していると落ち着いている印象。
しかしながら、SNS上で影響力のあるインフルエンサーの客観的な発信から消費者へブランドイメージを訴求できるということで注目が高まっており、市場規模も拡大していることから今後伸びることも予想されます。
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広報・PR活動にSNSを活用するメリット
先にも少し触れましたが、広報・PR活動においてSNSを活用することには様々なメリットがあります。
代表的なものをご紹介してまいりましょう。
無料で継続的に自由なメッセージ発信ができる(ブランディング)
SNSは無料でアカウントを作成し投稿することができます。
金銭的なコストを抑えて継続的に自由な情報発信とユーザーとコミュニケーションができ、ブランディングやPRにつなげられる点は非常に大きなメリットです。
ユーザーとの双方向のコミュニケーションによる信頼関係づくりができる(パブリックリレーションズ)
投稿からコメントや返信を行ったりダイレクトメッセージを送受信する機能がSNSには実装されています。
企業と消費者の間で双方向のコミュニケーションを行うことができるため、ブランドに関する消費者の質問に回答するなどを通してブランド理解の促進と信頼構築を図ることが可能です。
SNSで話題になった投稿はメディアに取り上げられる可能性が高まる(メディアリレーション)
今やメディア各社もSNSで情報収集をしている時代です。
SNS上で拡散され大きな話題となった投稿、いわゆる「バズった」投稿は様々なメディアに取り上げられる可能性が高まります。
それによって更に話題性が高まるとともに、記事化してくれたメディアに対しコンタクトをとり、自社企業とメディアとの関係構築にも効果が期待できます。
個人メディアであるインフルエンサーの第三者発信による拡散が期待できる(ブランド認知・話題性拡大)
SNSにおいて多数(数万~数百万人)のフォロワーを持ち高い影響力を持つ人物をSNSインフルエンサーと言います。
インフルエンサーもSNSで情報収集しており、インフルエンサーが自社ブランドに関する面白いリリースを見つけることで、その情報をより訴求力高く消費者に届きやすい形でさらに拡散してくれることが期待できます。
個人がメディアとして影響力をもつ時代では、
- 「メディアが記事化」⇒「SNSユーザーが拡散」
- 「SNSユーザーが拡散」⇒「メディアが記事化」
という双方から話題性が生まれる可能性があるため、「企業メディア」と「個人メディア」の両方に向けた情報発信も意識して広報をすることも欠かせません。
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ソーシャルリスニングによりユーザーの本音を調査できる(効果計測、リスクマネジメント)
SNSでユーザーの声を収集・分析して企業のマーケティングに活かすことをソーシャルリスニングと言います。
古くから行われている企業のアンケート調査などで得られる消費者の意見と比較して、ソーシャルリスニングではより本音に近い「生」の意見を収集することができるのが特徴です。
従来よりも信頼性の高いデータ収集・分析が可能であり、マーケティングの効果計測や企業・ブランド改善のPDCA、リスクマネジメントを行う上で非常に役立ちます。
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社員にSNSを見てもらうことで社内広報ができる(インターナルコミュニケーション)
SNSユーザーが多いのは消費者だけでなく自社の社員・従業員も同様です。
自社の外部向けSNSアカウントを社員にフォローしてもらうことで、自社の発信する最新情報を社員に届けることも可能となります。
また、「社外向けSNS」と「社内向けSNS」など運用を分けることも可能なため、従来の社内報に代わる媒体としてSNSを利用できるのもメリットです。デジタル化による印刷代の節約にもつながります。
SNSをとおした採用活動ができる(ソーシャルリクルーティング)
SNSを活用して行われる採用活動のことをソーシャルリクルーティングと言います。
就職雑誌やサイトへの掲載料といったコストを削減できるほか、就職活動を行っている人の応募を待つ従来の採用活動と違い、ソーシャルリクルーティングでは企業側・応募者側の双方向から採用アプローチができるのが大きなメリットです。
また、SNSはユーザーが多く情報の拡散性が高いため、企業のSNSアカウントを通して具体的アクションを起こしていない潜在的な候補者層にもアピールすることができます。
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SNSで採用活動する「ソーシャルリクルーティング」の成功ポイントを詳しく解説
SNS別の広報・PR活用成功事例
ここからは実際にSNSを活用して広報・PR活動を行っている企業の成功事例をSNS別にご紹介しましょう。
Facebookを活用した広報・PR事例
Facebookを活用した広報・PR事例としてご紹介するのは「日本航空株式会社(JAL)」のFacebookアカウントです。
2010年に経営破綻したJALは大幅に下がってしまったブランド力を回復させるための施策としてFacebookアカウントを開設し運用を開始しました。2020年4月現在ではフォロワー数200万人を超え、日本だけでなく海外からも非常に人気の高い企業アカウントとなっています。
Facebookアカウントの運用について
- 「コメント」への対応フローや想定問答集を作成
- 社内Q&A、社外Q&Aを作成
- ソーシャルメディアポリシーの明文化
- コンプライアンスの徹底
- 法務部から社内のソーシャルメディアへの啓蒙活動
など、運営にあたり効率化やリスクマネジメントなど徹底している運用体制は大変参考になります。
アカウント開設前の調査では「顔が見えない」という否定的な意見が寄せられたというJALでしたが、2011年4月から運営されている本アカウントの投稿では「実名顔出し」を徹底して行っており、社内の雰囲気やJALで働く社員の姿を積極的に投稿する、透明性の高さが特徴のアカウントです。
企業からの一方的な情報発信でなく、働く社員の様子を描写したり、もらったコメントに対して丁寧に返信するなど見た人の共感を生むような情報発信が意識的に行われており、自社に対して良いイメージを持ってもらえるような世界観づくりでFacebookユーザーのファン化を図っています。
こちらの投稿はJALのFacebookアカウントで投稿された客室乗務員の新卒採用を行うソーシャルリクルーティング投稿です。
企業の理念と募集する人材について記載されており、採用情報ページへのリンクが設置されています。写真ではJALで働く客室乗務員の様子や乗客に渡すオリジナルイラスト入りのメッセージカードなどが紹介されており、JALという企業の雰囲気が伝わってくる内容の投稿になっています。
こちらの投稿でも採用担当者の名前が実名で記載され、写真に写る社員も全員顔を出している状態で投稿されています。「実名顔出し」のポリシーは一貫しており、「顔が見えない」と言われた過去のJALの印象は全く見られません。
フォロワー数の多さからも分かるように非常に多くのファン獲得を実現しており、Facebookを活用したブランディングは大きな成功を収めています。
参考:狙いはブランド回復、JALの「顔が見える」ページ|日本経済新聞
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Facebookフォロワーを220万人に増やした投稿の成功ポイント~初級編~
Twitterを活用した広報・PR事例
Twitterを活用した広報・PR事例としてご紹介するのは「シャープ株式会社」の公式Twitterアカウントです。Twitterで運用されている数多くの企業アカウントの中でもトップクラスの人気の高さを誇り、2020年4月現在68.2万人に迫る膨大な数のフォロワーを獲得しています。
自社に関する情報が投稿されるのはもちろんですが、自由すぎる「中の人(運用担当者)」のユニークな投稿の数々が話題を呼び、企業アカウントとは思えない親しみの持てる内容の投稿が共感を生み多くのファンを獲得しています。
みなさんのお給料あるいは冬のボーナスをあてにして、たくさんのシャープ製品が本日発売になります。必要ないのに買えとは思いませんが、必要なら候補に入れてください。
— SHARP シャープ株式会社 (@SHARP_JP) October 24, 2019
全録なら東芝さんへ https://t.co/ct7cModplb
— SHARP シャープ株式会社 (@SHARP_JP) October 24, 2019
食洗機やってないのでパナソニックさんへ
— SHARP シャープ株式会社 (@SHARP_JP) October 24, 2019
こちらは冬のボーナスシーズンを前にして投稿されたツイートと一般のTwitterユーザーとのやり取りです。
シャープ株式会社と言えば家電も多く取り扱う電機メーカーですが、自社では取り扱ってない種類の製品についての質問を受けると、なんと他の電機メーカーや他社製品を勧める返信を行っています。
企業公式アカウントでこの対応は中々考えられないことですが、消費者と近い立ち位置でユーザーメリットを優先して情報を発信し、ユーザーと良い関係を築くこのスタイルが高い人気を誇る何よりの理由です。
SNSでユーザーと良好な関係を築くためには「共感」を生むことが欠かせません。そのために消費者から気軽に声をかけられる「友達」あるいは「町の気さくな電気屋さん」のような存在になることが意識されています。
また、他社の公式アカウントとも積極的にコミュニケーションを行っており、ユニークで面白いやり取りは何度も大きな話題となりました。
Twitterで自社のアカウントを運用するのであれば、シャープ株式会社の公式アカウントはぜひとも参考にしたいアカウントです。
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Instagramを活用した広報・PR事例
画像:@tokyodisneyresort_official|Instagram
Instagramを活用した広報・PRを行っているアカウントとしてご紹介するのは「東京ディズニーリゾート」の公式Instagramアカウントです。フォロワー数は約256万人に上り、Instagramで運用されている企業アカウントの中でトップクラスの人気を誇ります。
人気のディズニーキャラクターも多数登場する投稿の数々は明るく色鮮やかで、まさに「夢の国」であり東京ディズニーリゾートの魅力をこれ以上なく表現しています。
フォトジェニックな写真の数々を見れば東京ディズニーリゾートに遊びに行きたくなること請け合いです。
パーク内やキャラクターたちの魅力的な風景写真を日常的に発信することで、Instagramユーザーが「東京ディズニーリゾート」を身近に感じてもらえるとともに、「東京ディズニーリゾートに早く行きたい!」という欲求も上手く刺激できます。
また、公式Instagramアカウント投稿を撮影した場所をめぐる「フォトスポット巡り」として、同じシチュエーションを真似して自分も写真を撮るなど、来場してからも楽しむことができるようになっています。
もともと魅力的なフォトスポットの多いテーマパークですが、フォトスポット巡りも相まって、ユーザーのInstagram写真投稿を上手く促せています。
結果、ディズニーリゾートを訪れた一般ユーザーが魅力的な写真をInstagramへ投稿し、それを見た別のInstagramユーザーがディズニーリゾートに行きたくなるという良いスパイラルを生み出すことに成功しています。
こうした一般ユーザーの作るコンテンツ「UGC(ユーザー生成コンテンツ)」を増やすことは、企業やブランドの話題性を獲得する上で重要ですのでぜひ押さえておきたいポイント。
「夢の国」とSNSユーザーとの距離感を近くして実際に行きたくなるイメージ作り、そして来園後も楽しい思い出を作る。写真や動画など視覚からの訴求に秀でているInstagramの特徴をしっかりと活用し、非常に効果的な広報・PR活動を行っている事例となっています。
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YouTubeを活用した広報・PR事例
画像:avex|YouTube
YouTubeを活用した広報・PR事例としてご紹介するのは「エイベックス・グループ」の公式YouTubeチャンネルです。
エイベックス・グループの中核企業に
- 音楽事業を行うエイベックス・エンタテインメント株式会社
- マネジメント事業を行うエイベックス・マネジメント株式会社
- 映像事業を行うエイベックス・ピクチャーズ株式会社
- デジタル事業を行うエイベックス・デジタル株式会社
があります。
グループの社内レーベルには多数の人気有名アーティストが所属しており、YouTubeでは所属アーティストのミュージックビデオが多数投稿されているのが特徴です。
動画や音声による訴求が効果的に行えるYouTubeは同グループがPRを行うのにうってつけの媒体であり、投稿動画の中には再生回数がなんと2億回を超えるものもある驚異的なYouTubeチャンネルです。
お気に入りのアーティストのミュージックビデオを無料で観られることからチャンネルの人気は非常に高く、チャンネル登録者数は2020年4月現在520万人を突破しています。
自社のビジネスで動画が成果物として出てくる場合は、YouTubeなど動画共有プラットフォームに投稿することで、YouTubeのためにコンテンツを製作する手間を減らしつつ事例紹介もできるメリットがあります。
あるいは、たとえばクラウド会計ソフトや金融商品などを取り扱う無形商材ビジネスを展開している場合でも、ユーザーに役立つノウハウを動画コンテンツとして発信することで、ユーザーメリットを提供しファンを獲得することもできます。
自グループの強みを最大限活かして「音楽・映像・デジタルコンテンツに強い」というシンプルな広報・PRが行われており、YouTubeでも屈指の企業チャンネル成功事例と言っても過言ではないでしょう。
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LINEを活用した広報・PR事例
LINEを活用した広報・PR事例としてご紹介するのは「株式会社ユニクロ」の公式LINEアカウントです。
ユニクロが有名・人気企業であることに加え日本で屈指のユーザー数を誇るSNSであるLINEということも手伝い、アカウントの友だち数は2020年4月現在3,706万人を超える凄まじい数となっています。
ユニクロのLINEアカウントを友だち登録すると新商品の情報や最新のチラシを受け取ることができます。
また、会員情報を同期することで会員特典やクーポンの利用、店舗での会計時に買物券が当たる抽選に参加できるなど様々なメリットがあります。リンクが設置されているためオンラインストアも利用しやすくなっています。
画像:ユニクロトーク画面|LINE
また、以下はユニクロの公式LINEアカウントに投稿された新製品のPR投稿です。
同様に新製品のPRや同社のCMなどが多く投稿されておりカタログのように活用されています。
SNSをカタログとして活用し製品を紹介する方法は同社の公式Instagramアカウントでも見られる特徴で、さまざまなSNSを通して共通の世界観づくりが意識されています。
もはや日本のメジャーSNSであるLINEは他のSNSと少々毛色が違い、コミュニケーションツールとしての性質が強い印象です。
発信した情報の通知はLINEのトーク一覧に現れ人々の生活の一部となり、一人ひとりのユーザーとより深くつながる形でPRを行える点もLINEのメリットと言えます。
- ユニクロをお得かつ便利に利用できる情報の発信
- 特典の付与
などが他SNSと比較してよりユーザーに身近な形で行われている点も特徴的です。
また、ユニクロの公式アプリ、その他SNSも積極的に運用しており、SNS、オンラインショップ、アプリ、店頭など、様々な販売チャネルをつなげてユーザーとコミュニケーションをする「オムニチャネル」が構築できており、売り上げ拡大の効率化を図っている点も大変参考になります。
LINEをはじめ様々なメディアを広報および販促ツールとして総合的に活用している良例といえるでしょう。
SNSを活用した広報・PRで意識するべきポイント
効果的に広報・PR活動を行えるSNSにおいても目的に沿った戦略的思考と分析は欠かせません。
以下で広報・PRとしてSNSを活用する際に意識すべきポイントを紹介しておきましょう。
1. SNSによりメインユーザーが異なるため、自社ターゲットとブランドの方向性に合ったSNSを活用することが大事
Facebookのユーザーは30代~40代と比較的高めの年齢層のユーザーが多く、Instagramのユーザーは20~30代の割合が大きいなど、SNSの種類によってメインのユーザー層は異なります。
そのため、広報やPR活動にSNSを活用する際には自社ターゲットとブランドの方向性に合ったSNSを選定することが重要です。
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2. 現状分析と目標(KPI)設定をする
自社が置かれている現状の分析とその結果を踏まえた目標(KPI)の設定は成功のために欠かせない要素です。
- 「ソーシャルリクルーティング」により、SNS上で話題になっているかを調査
- 発信したプレスリリースがどれくらい各メディアで記事化されているか数値化
- 社内の各部署とのリレーションは良好かヒアリング
など、まずは広報担当としての現状を把握しましょう。
その上で、広報・PR活動を通して現状どのような課題を解決する必要があるのか、課題を解決するためのKPIとそのためのマイルストーンを設定し、今後の広報・PR活動の方針を導き出していきましょう。
3. 実行プロセスの決定
自社の広報・PR活動の弱みと強みは何か、課題は何か、現状の把握ができたら、課題解決のための具体的なアクションプランに落とし込んでいきます。
SNSをとおして広報・PR活動を行うのであれば、
- 目標期間と達成度の設定
- 自社ターゲットとSNS利用者属性から活用するSNSの選定
- 発信するコンテンツの内容と頻度、製作フローの策定
- SNSを運用する担当者・チーム編成
- ユーザーからのコメント対応方針の整理
- 話題性を集めSNSやメディアへ発信材料とするSNSキャンペーン企画
- 必要な予算編成と社内フローの確認
など、目標KPIから必要な準備とアクションを決めていきましょう。
4. SNSを活用した広報・PRの実行
方針とアクションプランを決めたらSNSを活用して広報・PRを行っていきます。
SNSの発信で気をつけたいのは、「メディアにウケる情報の形」と「SNSユーザーにウケる情報の形」は違う点です。
プレスリリースの文章をそのままコピーしただけの情報をSNSに投稿してもユーザーから受け入れられない可能性がありますので
- 文章をより口語的にする
- 画像・イラストで目に留まる工夫をする
- 時事ネタをコンテンツに盛り込む
- 刺さるキーワードやハッシュタグを投稿に盛り込む
- コメントの質問に丁寧に答える
など、活用するSNSの文化とターゲットにあわせてコンテンツを発信していきましょう。
以下のようなテーマはSNSユーザーに受け入れられやすいので、発信する情報に取り入れてみましょう。
- 新鮮な情報
(例)業界の最新トレンド情報、お得なセールス情報 など - 学びがある情報
(例)収納の豆知識、続きやすいダイエット情報 など - 生活の悩みが解消される情報
(例)食事の献立を提案、お肌のトラブル改善 など - エンタメ性がある情報
(例)おもしろ動画、癒される動物画像、行ってみたくなる絶景動画 など
SNSで情報発信する広報担当者は十分なネットリテラシ―教育を受けておき、ブランド毀損にならないようSNS上での振る舞いには細心の注意を払うことが求められます。
あわせて、炎上をはじめとした問題の発生時に迅速かつ的確に対応できるようリスクマネジメントと対応マニュアル作成なども怠らないようにしましょう。
5. 成果の分析と検証によるPDCAサイクル実施
一連の流れが終了したら再度ソーシャルリスニングを実施し、効果測定と分析を行いましょう。
- 最初に立てたKPI・目標は達成できているか
- メディアにより記事化されたコンテンツは増えたか
- SNS上で話題になったか
- ポジティブ/ネガティブコメントからターゲットユーザーの態度変容・意識変容はあったか
- SNSアカウントのフォロワーは増えたか
など、あらかじめ設定したKPIを中心に広報・PR活動の成果を分析し、新たな課題の洗い出しや改善など以降の経営に向けてPDCAサイクルを回します。
まとめ
SNSを活用した広報・PR活動の実施方法とSNSを活用して行われた企業の広報・PR活動の成功事例をご紹介しました。
多くの人がスマートフォンなどのモバイル機器を携帯しSNSを利用している近年、企業の広報・PR活動の舞台も従来のものからSNSを活用したものへとシフトしつつあります。伝統的な広報・PR手法とSNSを活用した広報・PRとは異なる部分が多くあります。
今回の記事をご覧いただければSNSを活用した広報・PR活動の実施方法や大まかな流れがおわかりいただけるかと思います。ご紹介した事例も参考になる工夫が多く見受けられますので、この機会にぜひ、SNSを活用した広報活動・PR活動の実施を検討してみてください。
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- 広報ツールとしてSNSアカウントを運用したいがやりかたがわからない
- SNSユーザーに刺さる発信方法が知りたい
- SNSインフルエンサーに自社の情報を拡散してもらいたい
などの悩みを抱えていらっしゃいましたら、過去の成功事例も無料でご案内しておりますので是非お気軽にご相談ください。
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