
SNSアカウント・広告の運用、あるいは人気インスタグラマーや人気ユーチューバーを起用したインフルエンサーマーケティングなど、SNSマーケティングが消費者と企業をつなぐマーケティング手法として大きく注目を集めています。
Instagramであれば、たとえばファッション、コスメ、日用品、グルメなど様々なジャンルで広く取り入れられていますが、シンプルに「物」が商材である有形商材が、写真や動画コンテンツとして表現しやすいという理由が大きいでしょう。
反対に、商品が物として存在しない無形商材やサービスを提供するビジネスでは、SNSでの訴求やインフルエンサーマーケティングを行うことが難しいのではと思われがちです。
しかし、実は無形・サービス商材でもSNSの活用やインフルエンサーマーケティングで効果的にターゲットへ訴求することができます。
そこでこの記事では、SNSのアカウント運用やインフルエンサーマーケティングを通して無形商材を効果的にPRするノウハウについて詳しく解説します。
企業によって実施された無形・サービス商材のSNSマーケティング成功事例も併せてご紹介いたしますので、自社でSNSマーケティングを実施する際の参考としてぜひお役立てください。
目次
無形商材・サービスとは
まずはじめに、無形商材がどのようなものであるのか特徴を簡単にまとめておきましょう。
無形商材と有形商材
無形商材とは「物質ではない商材」「形のない商材」のことを指します。
無形商材として代表的なのは人材や金融、広告、コンサルティング、保険やオンラインサービスなどが挙げられます。
有形商材は「形のある商材」、つまり「物質である商材」です。
顧客が購入し実際に手にすることができるもののことであり、小売店で購入することができる食料品や日用品や生活家電、大きなものであれば車や家などが代表的な有形商材にあたります。
無形商材は「モノ」ではなく「コト」を売るので消費者目線に立った営業力・分析力・提案力が重要
前述の通り無形商材には形がありません。つまり、無形商材を扱う企業は実際に手にすることができる「モノ」ではく、体験により価値提供する「コト」を消費者に販売することになります。
無形商材を売るのは有形商材を売るよりも一般的に難易度が高いと言われています。
物体が無いので、
- そのサービスがどういう商品であるか
- 値段に見合う価値があるか
- 購入しても大丈夫だろうか
といったサービスの価値が有形商材より読み取りにくく、消費者が少なからずの不安を抱えてしまうことが大きな理由として挙げられます。
そのため、無形商材を提供する企業は消費者にそのサービスのもつ付加価値について、魅力的に感じられるよう訴求する必要があります。しかしながら、無形商材は商品のイメージが消費者に伝わりにくいことから、熱心な売り込みを行うあまり強引な営業になり逆効果になりがちです。
無形商材を売るためには、消費者の不満やニーズを正しく汲み取りかつ自社の無形商材をとおして解決できる消費者目線に立った営業力と分析力、提案力が大変重要となることをまず留意しておきましょう。
無形商材やサービスを提供する企業がSNS・インフルエンサーマーケティングを活用する3つのメリット
有形商材と比較して販売に営業力や提案力がより必要となる無形商材ですが、SNSやインフルエンサーマーケティングを活用することでどのようなメリットがあるのでしょうか。ここで紹介していきましょう。
有益な情報を発信し続けることでフォロワー(ファン)との信頼関係構築ができる
まず、有形商材/無形商材にかかわらず企業・ブランドとしてユーザーとの接点を増やし、ブランドのファン化につなげられる点が大きなメリットです。
SNSは無料でアカウントを開設でき、気軽に情報を発信することができますので、有益な情報をコンスタントに発信し続けることでフォロワーの獲得、すなわちユーザーとの信頼関係を構築することができます。
これは、心理学でいう「単純接触効果(人と繰り返し接すると好印象をもってもらいやすくなる効果)」の恩恵を受けられることも大きいです。
ユーザーとの接点がゼロの状態よりも、消費者の身近な存在としてブランドイメージを訴求できるツールとして活用できることがSNSが注目されている大きな理由でもあります。
SNSを通して消費者の不満や悩みをヒアリング、サービスの改善につなげやすい
企業によるSNS活用のメリットとして消費者とのコミュニケーションを行いやすい点も挙げられます。
たとえば企業がSNSアカウントを運用していれば、ユーザーからブランドやサービスについての質問などもコメントとしてくるようになるため、直接的にコミュニケーションすることが可能です。
また、SNSユーザーは企業製品やサービスに対する忌憚のない意見をSNSに投稿しており、「消費者の本音」を抽出することで自社サービスの改善やマーケティングに生かすこともできます。
近年ではSNS上のビッグデータをもとにブランドに対する消費者の状況を分析する「ソーシャルリスニング」により、消費者目線の効果的な分析とマーケティング施策展開ができるようになりました。
サービスの品質が重要となる無形商材としては、貴重な情報や交流を得られる機会をSNSが生み出してくれるのです。
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SNSでは消費者目線の口コミやレビューにより共感や情報拡散が生まれやすい
SNSは前述の通りユーザーが自由に投稿を行い情報を発信・シェアできるため、実際に商材を購入した顧客による生の意見が他のSNSユーザーにも伝わりやすくなっています。
消費者目線の口コミやレビューによってポジティブな共感を生み出せれば、自社の無形商材の認知拡大に伴い新たに興味を持つユーザーの増加につながります。
その結果、商材のイメージも向上するため、ブランドとして営業を行いやすい環境を作り出せるのは、無形商材を提供するビジネスにとって追い風となるでしょう。
ただし、商材が魅力的でない場合やユーザーの期待値を大きく下回るものであった場合、SNS上でネガティブなイメージが拡散するリスクもあるためサービス品質に重点を置く前提は忘れないようにしましょう。
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SNSマーケティングにより無形商材やサービスをうまくPRしている4つの成功事例
それでは、実際に企業がSNSマーケティングを活用し無形商材やサービス商材をうまくPRしている4つの成功事例をご紹介いたします。
1. SNSアカウントでユーザーにメリットのある有益な情報を発信し、信頼関係を築いている成功事例
無形商材を提供する企業のSNS活用事例としてはじめにご紹介するのは、日本における3大メガバンクの一角を占める株式会社三井住友銀行の公式Instagramアカウント(@smbc_official)です。
フォロワー数約2万3,800人(2020年2月現在)と人気の高いInstagramアカウントとなっています。
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保険や投資、金融商品はお金や金融商品など銀行の扱う商材はどうしても複雑でわかりにくい印象を持ってしまいがちですが、お金に関する役立つ情報や豆知識を漫画にして発信することでビジネス色をなくし、消費者が企業や商材に興味を持ちやすいよう工夫されています。
また、同アカウントで紹介されている漫画は人気インスタグラマーによるコラボ漫画となっており、とても親しみやすい雰囲気をつくることに成功しています。
自社の無形商材・サービスが消費者にとって馴染みづらいもの、なかなか興味を持ってもらいにくいものである場合は、
- 生活に役立つ情報を発信して消費者にメリットを提供する
- イラストや漫画によりビジネス色を薄めて親しみやすくする
といったことを意識し、自社のSNSアカウントをフォローするメリットを感じてもらえるように運用してみましょう。
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2. 未来の楽しい生活・体験を具体的なシーンで訴求している成功事例
無形商材を提供する企業のSNS活用事例として次にご紹介するのは、楽天株式会社が運営する旅行・宿泊予約サイト・アプリ「楽天トラベル」の公式Instagramアカウント(@rakutentravel)です。
こちらのInstagramアカウントもフォロワー数約5万人(2020年2月現在)という人気アカウントとなっています。
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こちらのInstagramアカウントでは世界各地の美麗で素晴らしい写真が多数投稿されています。
投稿のキャプションには撮影地とその場所についての情報も記載されており、写真を見たユーザーに「こんな素敵な場所にいってみたい!」と思わせ、自社サービスの利用につなげるシンプルな形で訴求しています。
無形商材はモノではなく「未来の体験」をいかに魅力的に訴求できるかが重要になってきます。
したがって、こちらのInstagraアカウントのように、無形商材自体に着目するのではなく、無形商材・サービスを使った結果得られる「素晴らしい未来や結果」をわかりやすく提示するという方法は大変効果的です。
Instagraアカウントづくりとしては、投稿されている写真の多くが消費者が撮影した「UGC(ユーザー生成コンテンツ)」であり、オリジナルハッシュタグ「#rakutentravel」を付けられた消費者の投稿の中から楽天トラベルが厳選したものをこちらのアカウントで紹介しています。
ユーザーの写真を自社のアカウントで紹介させてもらうことでコンテンツを増やしつつ、ユーザーとのコミュニケーションも意識されている点も参考になります。
また、優秀作品には豪華賞品がプレゼントされるフォトコンテストなどのキャンペーンも積極的に開催しており、企業と消費者が協力して作り上げられた素晴らしいアカウントとなっています。
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現地に行った消費者の写真を通して投稿を見た消費者の旅行への興味を引き、自社の旅行商品の魅力を高める工夫がよく凝らされているほか、アカウントの世界観づくりや消費者との信頼関係構築が大変見事です。
自社のSNSアカウント運用を検討する多くの企業にとって大変参考になる事例と言えるでしょう。
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3. 消費者のレビュー、口コミでSNSユーザーの共感を得た成功事例
無形商材を提供する企業のSNS活用事例として続いてご紹介するのは、株式会社エウレカが運営する恋活・婚活マッチングアプリ「Pairs(ペアーズ)」の公式SNSアカウントです。
ペアーズはTwitterとInstagramを運用しており、それぞれ異なる方針でアカウントを運用している点が特徴的です。
こちらはペアーズの公式Twitterアカウント(@pairs_official)です。フォロワー数は約2.9万人(2020年2月現在)と人気の高いアカウントとなっています。
【卒会者インタビュー】
「もともとやりたいと思っていたんですけど、彼女がじつはサバゲー好きで一緒に連れて行ってもらっています。いまでは僕のほうがハマってしまっているくらいです笑」#ペアーズ #カップルライフhttps://t.co/UQ0hmMhEys
— Pairs [ペアーズ] (@pairs_official) January 25, 2020
デートプランについてよくご質問をいただくのですが、なんせ冬はインドア派なもので、この4択以外で思い…つかない…
ということで、みなさんのオススメ&理想のデートを教えてください…お願いいたします…!— Pairs [ペアーズ] (@pairs_official) January 25, 2020
ペアーズのTwitterアカウントでは、オウンドメディアに掲載されている卒会者インタビュー記事への誘導や、Twitterユーザーへのアンケート・問いかけなどが多く投稿されています。
同アカウントのフォロワーや、アカウントの投稿を見たユーザーとの双方向でのコミュニケーションが重視されており、企業と消費者のコミュニケーションを通して安心感や実績の訴求を意識したアカウント運用がなされています。
消費者の意見を集めることでサービスの改善につなげられるほか、企業とサービスの新たなファンの獲得につながるような工夫が随所で見られるのも特徴です。
また、以下はペアーズの公式Instagramアカウント(@pairs.lv)です。フォロワー数は約6,900人(2020年2月現在)となっています。
ペアーズのInstagramアカウントでは、アプリを通して出会った人たちを写真で紹介しています。
テレビCMのような芸能人やモデルの起用ではなく、実際にアプリを利用して出会いや結婚といった結果を出した一般人が紹介されているため、写真やコメントを見た消費者の共感やアプリに対する期待感を上手に生み出しています。
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Instagramストーリーズのハイライトに設けられているQ&Aコーナーでは、消費者の疑問や悩みを解決する記事へのリンクも張られており、サービス・アプリを使う上での不安を解消し、企業と消費者の信頼関係構築につなげている点も特徴的で参考になるポイントです。
ユニークかつ工夫されている点も大変多いSNSアカウント運用事例であり、複数のSNSアカウントを運用する際には活用法の一例として特に参考になる事例と言えるでしょう。
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4. わかりやすい動画で理解促進。インフルエンサーによる消費者目線のレビューと情報拡散を実現した事例
画像:クラウド会計ソフト freee(フリー)|YouTube
無形商材を提供する企業のSNS活用事例として最後にご紹介するのは、主に小企業を始めとした法人や個人事業主向けの事務管理効率化クラウドサービスを開発・運営するフィンテック企業「freee株式会社」の公式YouTubeチャンネル「クラウド会計ソフト freee(フリー)」です。
チャンネル登録者数は約3,700人(2020年2月現在)となっています。
YouTubeチャンネルでは企業の紹介やCMなどのプロモーション動画や自社で提供しているサービスの使い方の解説などが投稿されています。
特にサービスの使い方の解説については、ひとつひとつ丁寧でわかりやすい動画を数多く投稿しているのが特徴です。
すでにサービスを利用している顧客にとってはマニュアルとして非常に便利なものとなっており、さらにサービスの便利さも消費者に伝えることができるため利用を検討している人の興味関心も高めています。
同社のターゲットである企業の労務部門や会計部門の担当者向けに社会動向を解説している動画も再生リストとしてまとめて投稿しているのも特徴的です。
画像:バックオフィスの基礎知識解説-freee|YouTube
社会動向をわかりやすい動画として提供することで、ターゲットとする法人担当者にメリットを感じてもらいファン(フォロワー)化を促進。
最終的に自社サービスを使ってもらうためのフックとしてYouTubeを活用している点は、無形商材やBtoB商材を販売する上で大変参考になりますね。
さらに、「クラウド会計ソフト freee(フリー)」は人気ユーチューバーを起用したインフルエンサーマーケティングも行っています。
上の動画はチャンネル登録者数約9.7万人(2020年2月現在)という人気を誇る有名税理士ユーチューバー「ヒロ税理士」さんとのタイアップ動画で、ヒロ税理士さんのYouTubeチャンネル「税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士」に投稿されています。
「会計freee」が通常会計ソフトで行うことができる記帳業務だけでなく会計業務全般の効率化が図れるところまで丁寧に解説されており、視聴者にサービスの魅力がしっかりと伝わる動画となっています。
ヒロ税理士さんの「税理士」という権威性も相まって解説の説得力は非常に高く、極めて訴求力の高い内容になっているPR動画です。
自社の無形商材・サービスに合った人気インフルエンサーを起用して効果的なインフルエンサーマーケティングを実施している成功事例といえるでしょう。
ユーチューバーやインスタグラマーは、一回の情報発信で数万人~数十万人という膨大なSNSユーザーへ高い訴求力で情報を届けることができますので、自社の無形商材をプロモーションする際にインフルエンサーマーケティングを取り入れるアイデアも選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。
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無形商材・サービスのSNS活用まとめ
無形商材についての解説とSNSを活用した無形商材・サービス商材のPR事例をご紹介いたしました。
無形商材は有形商材とくらべてSNSでPRしにくいと思われがちですが、SNSを活用することで効果的にPRすることができ売上向上を目指せる可能を秘めています。
自社で無形企業を扱っているのであればこの機会にぜひ、SNSを活用したマーケティングも選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。
SNSマーケティングメディア「インスタラボ」では、
- 無形商材・サービスのPR実績があるインフルエンサー(ユーチューバー、インスタグラマー)マーケティング
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