インターネット広告の手法が多様化しトレンドも目まぐるしく移り変わる中、どんなマーケティング施策が効果的なのかお悩みの企業担当者様も多いのではないでしょうか。
マーケティング施策の結果に基づきPDCAサイクルを回すことももちろん重要ですが、効果的なマーケティング施策を企画するためには、インターネット広告業界全体のトレンドを把握しておくことも非常に重要です。
そこで本記事では、2023年におけるインターネット広告の6つのトレンドをご紹介します。
今後のマーケティング施策立案にぜひお役立てください。
目次
2023年の最新動向!インターネット広告に関する6つのトレンド
インターネット広告のトレンドとしてご紹介するのは以下の6つです。
- インターネット広告は安定して伸長を続ける
- 動画広告がさらに伸長する
- ソーシャル広告は今後も安定して存在感を示す
- テレビメディアデジタルが好調
- データの活用とプライバシー保護の両立が重要になる
- インターネット広告に対する規制が強まり、信頼性が重視される
それぞれの詳細についてご説明します。
インターネット広告は安定して伸長を続ける
2022年2月に電通が発表した調査レポート「日本の広告費」によると、2021年の広告費総額は6兆7,998億円(前年比110.4%)。
その中でも、インターネット広告費は2兆7,052億円(前年比121.4%)と好調に伸びています。
以下のグラフから分かる通り、インターネット広告費は安定して伸び続けており、2021年にはインターネット広告費が初めてマスコミ四媒体広告費を上回りました。
画像:「2021年 日本の広告費」解説-広告市場は大きく回復。インターネット広告費がマスコミ四媒体の総計を初めて上回る | ウェブ電通報
インターネット広告の強さは、災害や不況などのリスクへの強さにあります。
インターネット広告費は、日本の経済全体が落ち込みを見せた2011年(東日本大震災)、2020年(コロナショック)にも安定して成長を続けています。
コロナ禍をきっかけとし、デジタル化がますます加速していく社会の中で、災害・リスクに強いインターネット広告市場は今後も安定して拡大していくと考えられます。
動画広告がさらに伸長する
2021年のビデオ(動画)広告費は5,128億円。2020年から132.8%もの伸びを見せています。
今後、この成長傾向はより強まると考えられ、2022年には動画広告市場は6,000億円を超えると予測されています。
画像:「2021年インターネット広告媒体費」解説。ビデオ(動画)広告、ソーシャル広告、現在のトレンドは? | ウェブ電通報
動画広告の好調を支える動画共有系SNS
画像:「2021年インターネット広告媒体費」解説。ビデオ(動画)広告、ソーシャル広告、現在のトレンドは? | ウェブ電通報
動画広告が好調である大きな要因の一つが、YouTubeやTikTokに代表される動画共有系SNSです。
2021年のソーシャル広告(SNSに掲載される広告)の内訳は、SNS系が3,168億円(41.5%)、動画共有系が2,610億円(34.2%)となっています。
動画共有系は、2020年の1,585億円から164.7%もの伸びを見せており、2021年~2022年には動画共有系の需要が大きく高まったことが分かります。
動画共有系SNSが浸透した原因はやはり、コロナ禍におけるおうち時間の増加ですが、その影響は今後も続いていきそうです。
また、これまで10〜20代前半の若年層向けと捉えらていたTikTokですが、ユーザーの平均年齢は年々上昇傾向にあります。
博報堂DYメディアパートナーズと博報堂の共同プロジェクトであるコンテンツビジネスラボが実施した「コンテンツファン消費行動調査」の2021年版では、「TikTokユーザーの平均年齢は34歳」というデータが公開されています(参考記事:日本の TikTok ユーザーは平均34歳、博報堂調査が示す実態 : 要点まとめ | DIGIDAY[日本版])。
YouTubeの浸透・TikTokの年齢層の広がりを受けて、今後、SNS上の動画広告はさらに大きく伸長すると予測されます。
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インストリーム広告の成長が期待される
伸長著しい動画広告市場の中でも、これから特に成長すると予測されているのはインストリーム広告(動画コンテンツの途中に表示される動画広告のこと。アウトストリーム広告はコンテンツ外に表示される動画広告のことを指す)です。
画像:「2021年インターネット広告媒体費」解説。ビデオ(動画)広告、ソーシャル広告、現在のトレンドは? | ウェブ電通報
2021年の動画広告費全体におけるインストリーム広告費は2,921億円(57.0%)、アウトストリーム広告費は2,207億円(43.0%)となりました。
2020年には、インストリーム広告が全体の46.6%、アウトストリーム広告が53.4%だったことを考えると、インストリーム広告がアウトストリーム広告以上に大きな成長を見せていることが分かります。
このインストリーム広告の好調に影響を与えているのが、TikTok・YouTubeのショート・Instagramのリールに代表されるショートムービー投稿プラットフォームです。
例えばTikTokは、2022年の総ダウンロード数が約6億7200万回に到達し、世界でもっともダウンロードされたアプリとなりました。
2023年には日本でも年代層を広げつつ、さらに人気を獲得していくと予想されます。
また、2021年7月に開始されたYouTubeのショート機能は1日平均300億もの再生回数を記録するほどの人気機能となり、2022年5月からは広告の出稿が可能となりました。
この動きは、2023年のインストリーム広告市場に好影響を与えるでしょう。
TikTokの登場をきっかけにショートムービーは動画形態の一つとして、視聴者に広く受け入れられつつあります。
ショートムービーの共有媒体であるTikTok・YouTubeのショート・Instagramのリールは今後広告の出稿先としてますます高い需要を獲得するでしょう。
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ソーシャル広告は今後も安定して存在感を示す
画像:「2021年インターネット広告媒体費」解説。ビデオ(動画)広告、ソーシャル広告、現在のトレンドは? | ウェブ電通報
2021年のソーシャル広告費は7640億円(前年比134.3%)と2020年から大きく伸長し、インターネット広告媒体費の35.4%を占めるようになりました。
年々存在感を増すソーシャル広告ですが、先述したYouTube・TikTok好調を受けて、今後も安定した成長を見せそうです。
テレビメディアデジタルが好調
安定した成長が続くインターネット広告費の中でも、マスコミ四媒体由来のデジタル広告費は前年比132.1%(1,061億円)と高い成長を記録しています。
その中でも前年比146.8%という高い伸びを見せているのがテレビメディアデジタルです。
なお、テレビメディアデジタルは「テレビ放送事業者など(衛星メディア関連も含む)が主体となって提供するインターネットメディア・サービスにおける広告費 ※テレビメディア広告費には含まれない」を指します(引用:「2021年 日本の広告費」解説-広告市場は大きく回復。インターネット広告費がマスコミ四媒体の総計を初めて上回る | ウェブ電通報の「日本の広告費推定範囲」より)。
画像:「2021年 日本の広告費」解説-広告市場は大きく回復。インターネット広告費がマスコミ四媒体の総計を初めて上回る | ウェブ電通報
テレビメディアデジタル好調の大きな要因は、巣ごもり需要における動画配信サービスの浸透ですが、その動画配信サービスの浸透に大きな役割を果たしたのが、2015年にサービス提供を開始した「TVer(ティーバー)」です。
東京オリンピックのライブ配信やコンテンツの拡充と共に視聴者数が増加し、2022年8月には累計アプリダウンロード数が5,000万に到達しています。
また、2022年3月には月間動画再生数が2億5,000万回に到達。月間での最高記録を更新しました。
2022年4月には、全キー局のリアルタイム配信が開始されており、TVerの快進撃はまだまだ続くと予想されます。
さらなるユーザーの獲得も期待されることから、テレビメディアデジタルの成長をこれからも牽引する存在であると言えそうです。
TVerに代表されるテレビメディアの好調が、今後のインストリーム広告の伸長に貢献するだろうと予測されます。
データの活用とプライバシー保護の両立が重要になる
個人情報保護の機運の高まりを受け、個人情報の取り扱いに関する法規制が各国・各地域で厳格化しています。
2018年5月にはGDPR(EU一般データ保護規則)が施行、2020年1月にはCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)の適用が開始されました。
日本でも、2022年4月に改正個人情報保護法が施行されています。
世界的なプライバシー保護の潮流を受け、Googleは2020年1月にWebブラウザ「Chrome」におけるサードバーティCookieのサポートを段階的に廃止することを発表(当初は2022年に廃止予定でしたが、現在、廃止は2023年の後半に延期されています)。
サードーパーティCookieの廃止に伴う広告業界への影響としては、「リターゲティング」「オーディエンスターゲティング」等、サードパーティCookieを活用した広告手法が実施できなくなってしまうことが挙げられます。
サードパーティCookieの廃止以降、重要になってくるのがファーストパーティデータの活用です。
ファーストパーティデータとは、企業が自社Webサイトやアプリを通じて得た顧客情報ことを指します。
例えば、以下のようなものが含まれます。
- 購買履歴
- 自社で行ったアンケートのデータ
- 顧客管理システムなど各種システムに蓄積されたデータ
- 自社サイトの閲覧履歴
- POSデータ
- SNSでのやりとり など
引用:ファーストパーティデータとは|重要な理由や課題とデータの活用例を紹介 |パーソルテクノロジースタッフのエンジニア派遣
実際に、サードパーティデータを利用したマーケティングから、自社が保有するデータ(ファーストパーティデータ)を活用するマーケティングへシフトする動きが見られています。
例えば、LINE株式会社はCDP(顧客データの収集・分析を可能にするプラットフォーム)を提供しているトレジャーデータ株式会社との業務提携を2022年5月より開始。
自社が保有する顧客データをプライバシーに配慮したクリーンな環境下で活用しようと試みています。
一方で、各テクノロジーベンダーはCookieに代わる技術の開発・提供を行なっています。
例えば、GoogleはCookieに代わる技術として、2022年1月に「トピックスAPI」と呼ばれる技術を発表しました。
「トピックスAPI」は、個人を特定しない形でユーザーの関心を広告主と共有する技術で、現在も開発が進められています。
他にも、以下のようなベンダーがCookieの代わりになる技術を開発・提供しています。
画像:「文脈ターゲティング」、驚異の効果!次世代の運用型広告とは? | ウェブ電通報
*Googleが発表した「FLoC」の開発は、イギリス政府から独占禁止法に違反する可能性があると指摘を受けたことにより中断。現在は先述したトピックスAPIの開発が進められています。
2023年は、上記の技術を駆使しつつ、ユーザーのプライバシー保護と情報の活用を両立させることが重要な課題となりそうです。
インターネット広告に対する規制が強まり、信頼性が重視される
インターネット広告市場が拡大にするにつれ、アドフラウド(広告詐欺)やブランドセーフティの確保等にまつわる様々な問題が発生しました。
その問題に対処するため、広告関係3団体が2021年4月に設立したのがJICDAQです。
JICDAQは、「アドフラウドを含む無効トラフィックの除外」と「広告掲載先品質に伴うブランドセーフティの確保」に取り組むことで、インターネット広告業界の健全な発展を目指しています。
また、行政もインターネット広告への規制を強めています。
例えば、2021年8月には薬機法が改正され、違反した事業者には課徴金が求められることになりました。
また、2022年6月には消費者庁が景品表示法に基づいたアフィリエイト広告への指針を発表しています。
このように近年では、個人情報保護の観点だけではなく、広告の健全性・信頼性を高めるための規制も厳格化してきています。
インターネット広告業界は今後も力強く成長していくと予測され、健全な広告運用を求める規制も今後さらに強くなっていくと思われます。
2023年以降、事業者はこれまで以上に適正な広告運用が求められるでしょう。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
本記事では、2023年の広告トレンドとして以下の6つをご紹介しました。
- インターネット広告は安定して伸長を続ける
- 動画広告がさらに伸長する
- ソーシャル広告は今後も安定して存在感を示す
- テレビメディアデジタルが好調
- データの活用とプライバシー保護の両立が重要になる
- インターネット広告に対する規制が強まり、信頼性が重視される
効果的なマーケティング施策を実施するためには、インターネット広告業界全体のトレンドを把握しておくことが重要です。
今回ご紹介した内容が、今後のマーケティング施策の立案に少しでもお役に立てば幸いです。
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