
ステマ(ステルスマーケティングの略)とは、その制作物や活動(動画像、文章、レビュー、口コミなど)が宣伝であると一般消費者に気づかれないように欺く宣伝行為のことです。
ひとことで言うと「サクラ」行為に当たります。
インフルエンサーマーケティングを行う上で必ず対面することになる重要事項であり、一つ誤ると、最悪インターネット上で炎上してしまいます。
そして一度炎上してしまうと、インフルエンサーだけではなく依頼している企業のブランド価値も大きく損なう可能性のある非常にセンシティブなものです。
今回は、インフルエンサーマーケティングを行う上で必ず覚えておくべきステマ(ステルスマーケティング)防止のポイントをまとめました。
インフルエンサーマーケティングを行う際にぜひご活用ください。
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目次
ステマ(ステルスマーケティング)とは?
あらためてステマについて紹介しておきましょう。
ステマ(ステルスマーケティングの略)とは、その制作物や活動(動画像、文章、レビュー、口コミなど)が宣伝であると一般消費者に気づかれないように欺く宣伝行為のことです。ひとことで言うと「サクラ」行為に当たります。
たとえば、
- 企業の人間が自社と関連のない一般消費者になりすまして自社製品に有利な口コミを書く
- 有名人に金銭を渡しその事実関係を消費者に隠して自社製品を宣伝してもらう
といった活動は一般消費者を欺くステマ(ステルスマーケティング)に当たります。
ステマ(ステルスマーケティング)をしていることが発覚した場合、企業や個人の社会的信用が大きく損なわれてしまいますので、その後の活動に大きな打撃を与えることは避けられません。
「知らなかった」では済まされない致命的な状況に陥る可能性もあるため、リテラシーを高めマーケティングを行う際に配慮することが求められます。
実際のステマ(ステルスマーケティング)の事例
ステマ(ステルスマーケティング)とは実際にどのようなものなのか、ここで過去の事例をいくつか紹介しておきましょう。
ステマ(ステルスマーケティング)事例:Walmart
こちらは世界最大のスーパーマーケットチェーンを展開するウォルマートの事例です。
カップルであるジムとローラはフェイクブログ「Walmarketing Across America」を開設。アメリカ全土のウォルマートを訪れた経験を好意的なブログ投稿として掲載していました。
しかし、このブログは実はウォルマートから支援されて運営していたことが後に発覚。
ブログは閉鎖に追い込まれ、ウォルマートも大きな非難を浴びることとなりました。
参考:10 Best Stealth Marketing Campaigns|Delnext BLOG
ステマ(ステルスマーケティング)事例:Raging Cow(Dr.Pepper/7Up)
こちらは世界的飲料メーカーであるDr.Pepper/7Upの事例です。
Dr.Pepper/7Up は、自社の新製品である「Raging Cow」のプロモーションとして6名のブロガーに製品に関するブログ記事の執筆を依頼。
表向きにはDr.Pepper/7Upとブロガーとの関係性を隠したままブログ記事を公開しましたが、その後両者の関係性が発覚。
結果的に公開されたブログは炎上し、多くの批判が集まり、製品の不買活動にまで発展する大騒動となりました。
このように、ステマ(ステルスマーケティング)が発覚することで社会的信用、ブランドへの信頼、売り上げなどすべてを失うことにつながりますのであらかじめ防ぐことが大切になってきます。
ステマ(ステルスマーケティング)を防ぐためのガイドライン(WOMマーケティング協会)
こうしたステマ(ステルスマーケティング)を防ぐためには、マーケティングリテラシーを身につける他ありません。
ステマ(ステルスマーケティング)を防止し健全なマーケティング活動を行うため、WOMJではインフルエンサーマーケティングをはじめとした口コミ活用マーケティングのガイドラインを定めています。
WOMJ(WOMマーケティング協議会)は、WOM(Word of Mouth)マーケティング、すなわち口コミを活用したマーケティング業界の健全な育成と啓発を目的として発足した団体です。
インフルエンサーマーケティングは人気インスタグラマーや人気ユーチューバーといった有名人が生み出す口コミにより企業の製品やサービスを広くPRする手法のマーケティング施策であるため、口コミマーケティングの一つとして含まれます。
WOMJの定める口コミマーケティングのガイドラインに則って施策を行うことでステマ(ステルスマーケティング)を抑止する一助とすることができます。
炎上・ステマ(ステルスマーケティング)防止マニュアル
それでは、ステマ(ステルスマーケティング)を防ぐための重要なポイントを紹介していきましょう。
ここでは、WOMJの定める口コミマーケティングガイドライン
- 『WOMJガイドライン本文と解説2017』
- 『WOMJガイドラインFAQ2017』
の文書をもとに、本メディアがインフルエンサーマーケティングの実施に置き換えた際のステマ(ステルスマーケティング)防止に関するマニュアルとして独自の見解とあわせて要約し紹介しています。
WOMJの定めるガイドラインの原文は以下のリンクよりダウンロードできますので、マーケティング施策実施時に併せてご覧ください。
ステマ(ステルスマーケティング)防止マニュアル-言葉の定義-
ステマ(ステルスマーケティング)防止マニュアルとして紹介するにあたり、本記事では使用される言葉を以下のように定義しています。
広告主:
インフルエンサーを通して自社製品・サービス・ブランドなどのPRを行う主体となる企業・団体・個人。中間事業者は含まれない。
インフルエンサー:
ユーザーへ向けて情報(動画像やテキストなど)を発信する個人あるいは団体。主にSNS(InstagramやYouTubeなど)を活用し、多くのフォロワーを集めるSNSアカウントの所有者(インスタグラマー、ユーチューバーなど)。
ユーザー:
主にSNSを通してインフルエンサーから発せられる情報を受け取る一般消費者。
ステマ防止ポイント1:広告主とインフルエンサーの関係性を明示する
インフルエンサーマーケティングを行う際は、
- 広告主とインフルエンサーの関係性
- 広告主がインフルエンサーへ提供した金銭・物品・サービスがあること
をユーザーに明示しましょう。
たとえば、
広告主が金銭をインフルエンサーへ提供して自社サービスをPRしてもらう場合、インフルエンサーは「●●(企業名・ブランド名など)さんとのタイアップ投稿です」
広告主の新製品をインフルエンサーへ提供して体験してもらう場合、インフルエンサーは「●●(企業名・ブランド名など)さんから新製品をいただきました」
広告主の主催する有料のイベントにインフルエンサーを招待した場合、インフルエンサーは「●●(企業名・ブランド名など)さんのイベントにご招待いただきました」
などのような表現となります。
このとき「広告主」と「インフルエンサー」との間に仲介業者がいる場合は、中間業者とインフルエンサーの関係性を示すのではなく、広告主とインフルエンサーとの関係をユーザーに明示します。
明示の表現は文字に限らず、動画像や音声などでも問題ありません。
ただし、明示している表現がユーザーにとって分かりやすくなくてはなりません。文字が小さくて見づらい、音声が聞き取りにくいなどは関係性の明示方法としては不可となります。
また、たとえば広告主の製品をインフルエンサーに一時的に貸し出しするような場合も、二者間の関係性をユーザーが区別できないため関係性の明示が必要です。
ステマ防止ポイント2:ハッシュタグを活用して広告主とインフルエンサーとの関係性を明示する
たとえば広告主からインフルエンサーへ金銭の提供があった場合「●●万円いただきました」と直接的に表現するのは双方とユーザーにとって抵抗がありますので「ハッシュタグ」を活用して広告主との関係性を表現できます。
「ハッシュタグ」とは、SNSに投稿された個々のコンテンツの内容をわかりやすく記述したラベルのことで、「#●●●」のように表記したものです。
具体的には以下のようなハッシュタグを用います。
上図は広告主とインフルエンサーとの間に「金銭の提供があった場合」と「物品・サービスの提供のみがあった場合」に分けた推奨されるハッシュタグの一覧です。
日本では一般的に「#PR」の活用が多い印象ですが、「Public Relations」との混同を避けるためにWOMJでは別のハッシュタグの使用を推奨しています。
「#PR」以外では「#sponsored」「#タイアップ」などのハッシュタグもインフルエンサーマーケティングでは使いやすいでしょう。
また、インフルエンサーが「アンバサダー」としてすでに広告主と長期契約を結んでいる関係である場合は「#ambassador」「#アンバサダー」のハッシュタグをつけたり、インフルエンサー自身のプロフィールにて広告主との関係性を明示しておくことで、ユーザーが把握しやすくなります。
ハッシュタグはインフルエンサーマーケティング施策の内容により、適宜最適なものを選択していきましょう。
ハッシュタグについてはInstagramで人気投稿になるハッシュタグの効果的な付け方・選び方を徹底解説の記事にて詳しく紹介しています。
アンバサダーマーケティングについては大注目の「アンバサダーマーケティング」を徹底解説!事例やメリットまとめの記事にて詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
ステマ防止ポイント3:ユーザーに対して発信する事実や情報を偽装しない
ユーザーへ対する偽装は非常に悪質な行為です。
「WOMマーケティングにおける偽装行為」として、WOMJでは以下が重大な偽装行為にあたると定めています。
- いいね!やフォローなどの投票行動に対価を支払い、評価を不正に操作すること。
- 動画の再生回数など閲覧行動を、自動プログラムや人為的な反復により不正に操作すること。
- クチコミサイトなどで、虚偽の推奨コメント(または批判コメント)を投稿したり、実態のない評価を意図的に作り上げたりすること。
- 消費者から発信された情報を改ざんすること。
- マーケティング主体の競合相手の評判をおとしめること。
- その他、明らかに情報受信者をあざむく行為と WOMJ ガイドライン委員会が定めるもの
引用:WOMJガイドライン
※ここで紹介している偽装行為だけがすべてではありませんので、実施をする際は倫理観を鑑みつつ判断しましょう。
インフルエンサーというSNS上で影響力の強い人々の権威性を借りることで実施されるマーケティングであるため、優良誤認・有利誤認が起こりやすいことは気をつけるべき点です。
優良誤認・有利誤認とは、実際の製品サービスよりも著しく優良あるいは他社よりも有利だと一般消費者(ユーザー)に誤認させることです。
広告主の製品・サービスの優位性やメリットを偽装あるいは誇張して表現するようインフルエンサーへ強要することは、優良誤認・有利誤認となる可能性がありますのでやめましょう。
広告主企業の社員が自社製品と関係性のない一般消費者として自社に著しく有利なコメントやレビューを投稿するといった行為もステマ(ステルスマーケティング)と捉えられますので、SNS活用のルールを定めたマニュアルの整備や社員教育の実施など対策をすることが大切です。
ステマ(ステルスマーケティング)を防ぐためのポイント整理
以上がステマ(ステルスマーケティング)を抑止するためのマニュアルとなります。
ポイントを整理すると、大きくは以下の3つ
- 広告主とインフルエンサーの関係性を明示
- 広告主がインフルエンサーへ提供した金銭・物品・サービスがあることを明示
- 情報の偽装をしない
を遵守することが、ステマ(ステルスマーケティング)を防ぐことに大きく寄与します。
自社でインフルエンサーマーケティングを実施する際は本記事およびWOMJのガイドラインに準拠するようにしていただければと存じます。
WOMJの定めるガイドラインは以下よりダウンロードできますのでご活用ください。
ステマを未然に防ぐ「ブランドコンテンツ広告」を活用する
ステマ(ステルスマーケティング)対策の一つとして、Instagram公式から「ブランドとのタイアップ投稿タグ」「ブランドコンテンツ広告」が提供されています。
これは、広告主と製品やサービスのプロモーションを依頼しているインフルエンサーとの関係性を閲覧しているユーザーにわかりやすく表示しつつPRや宣伝ができる機能です。Instagramの写真や動画投稿、ストーリーズ投稿、Instagram広告にタグを追加することができます。
画像:Instagramのブランドコンテンツツール|Instagram Business
投稿や広告上にブランドとのタイアップであることを示すタグが表示される、つまり企業とインフルエンサーの関係性が明示されるので、ステマ(ステルスマーケティング)を未然に防ぐことができます。
詳しい導入方法は以下の関連記事にて詳しく紹介していますので併せてご覧ください。
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ステマ(ステルスマーケティング)をしない健全なマーケティング活動を
ステマ(ステルスマーケティング)を防ぐための根本的な考え方は、「ユーザーが正しい情報を知る」権利を尊重することにあります。
ステマ(ステルスマーケティング)によりユーザーを欺き利益を得ることは、一時的な利益を生むことにはなりますが、自社の長期的な成長にはつながりません。
自社製品やサービスに対する素直なフィードバックをインフルエンサーや消費者からもらい、不満点を改善して製品やサービスをブラッシュアップさせていくことが、長期的な成長につながります。
インフルエンサーマーケティング業界としても、インフルエンサーの信用の上に成り立っているビジネスのため、その信用を失う行為をすることは業界の信頼性を損ない衰退の一途をたどることになります。
正しく有益な情報を消費者へ発信する誠実なマーケティング活動が、結局のところ企業や業界の成長につながるのです。
ステマ(ステルスマーケティング)の危険性を認識し、健全なマーケティングを行いましょう。
本メディア「インスタラボ」を運営するFind Modelでは、インフルエンサーマーケティングのリーディングカンパニーとしてステマ(ステルスマーケティング)を排除した健全なマーケティング活動に努めています。
自社で検討しているインフルエンサー施策がステマとなるかどうか、ブランド毀損になる恐れがあるか、リスクチェックが必要と感じたりお悩みの際はお気軽にご相談ください。
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