みなさんは「クロスメディア」と呼ばれる言葉をご存じでしょうか?
クロスメディアとは、一つのメディアだけではなく、複数のメディアを利用して商品・サービスの広告を行うことを意味します。
クロスメディア戦略は、企業において採用されることの多い非常に効果的なマーケティング戦略の一環です。
本記事では、クロスメディアについて成功事例と併せて分かりやすくご紹介していきましょう。
クロスメディアとは
まずは「クロスメディア」の意味について解説していきましょう。
クロスメディアとは
クロスメディアとは、複数のメディアを組み合わせて、商品やサービスの宣伝活動を行う手法のことです。
例えば、テレビCMで
- 「続きはWebで」
- 「〇〇で検索!」
- 「詳細は本日の折り込みチラシで」
というセリフを聞いたことはないでしょうか。
テレビCMからWebサイトへ誘導する本手法は、不特定多数の消費者へリーチ出来るテレビCMと、詳細な情報を提供出来るWebサイトや折り込みチラシを組み合わせた、クロスメディアの代表例です。
そもそも「メディア」とは何かも簡単に紹介しておきましょう。
メディアとは、情報を伝える媒体になるモノ全般のことを指します。
テレビ、新聞、書籍、ラジオ、交通広告などオフラインのメディアがあれば、WEBサイト、SNS、動画・音声共有サービスなどオンライン上のメディアもあります。
クロスメディアに活用されるメディアの種類
次に、クロスメディアに活用できるメディアの種類とその特徴についてご紹介してきましょう。
マスメディア
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌は影響力の大きさから4大マスメディアと呼ばれています。
各媒体に固有のメリットデメリットは存在しますが、共通するメリットとして
- 幅広い層にリーチできること
- メディアへの信頼度が高いこと
が挙げられます。
マスメディアは、消費者の認知度向上を目指すために最適の媒体だと言えますね。
一方で、広告費用が高額なため、豊富なリソースが必要というデメリットに留意しておきましょう。
Webメディア
Webメディアには、SNS、自社Webサイト、メールマガジン等の、インターネットを通じて情報を発信する媒体が含まれます。
Webメディアのメリットとして、
- 消費者がインターネット環境下にいる限り、どこでも情報の提供が可能である(消費者の環境や背景を選ばない)こと
- 詳細な情報を発信できること
- (SNSであれば特に)高頻度で、タイムリーな情報発信ができること
- 費用を比較的安価に抑えられること
が挙げられます。
利用される主要メディアがマスメディアよりもWEBメディアで情報を収集している人が増えていることから、重要メディアとして多くのビジネスが活用しています。
アナログメディア
アナログメディアは、パンフレット、カタログや、チラシ、ダイレクトメール等、紙媒体を利用したメディアのことです。
アナログメディアのメリットとして、
- 消費者の居住地に合わせた情報を提供できること
- 詳細な情報を発信できること
が挙げられます。
一方で、制作コストが高額になったり、掲載までに時間がかかったりするケースが多いデメリットに留意しておきましょう。
「クロスメディア」と「メディアミックス」との違い
「メディアミックス」という言葉もまた、複数のメディアを利用する広告宣伝手法を指す言葉です。
度々クロスメディアと混同されることも多い言葉ですが、実はクロスメディアとメディアミックスの2つは目的が異なっています。
メディアミックスは、一つの作品をアニメ、漫画、映画、ゲーム等の様々なメディアで公開していくことによって、幅広い消費者の認知を獲得することを可能とする手法です。漫画や映画などのエンターテイメント作品でよく採用されています。
たとえば、世界的に人気の「ポケモン」はゲーム、アニメ、実写映画、テレビCM、書籍等、様々な媒体で公開されたことによって、年齢・性別・国境を超えて幅広い層から愛される人気作品となりました。
以上のように、メディアミックスは、複数の媒体を使うことによって、より多くの消費者にリーチし、認知を拡大することを目的としています。
ですので、クロスメディアとメディアミックスの違いを整理すると
- クロスメディア
各メディアで情報を補完しあって、消費者をあるメディアから別のメディアへ動かすことが主な目的 - メディアミックス
複数のメディアに露出して認知拡大~ファン化を進めることが主な目的
というイメージとなりますので、覚えておくとよいでしょう。
クロスメディアのメリット
次に、クロスメディアを行うメリットについてご紹介しましょう。
集客の幅が広がる
クロスメディアのメリットの一つ目は、購入意欲の高い見込み客を広く集客ができることです。
例えば、テレビCMを使って自社Webサイトへの誘導を行った場合、
- テレビCMで幅広い層の消費者から認知を獲得
- 興味のある消費者がWEBサイトを訪問
といった流れを生み出すことが可能になります。
テレビCMはいまだ情報伝達力の高いメディアであり幅広い層にアプローチをすることができます。
WEBサイトでもは、検索エンジンからの自然流入に加えてオンライン広告等も活用して集客できるので、複数メディアを組み合わせることで相乗効果を生むことができる点が魅力的です。
情報の補完により広告効果を高められる
クロスメディアのメリット二つめは、情報の補完が出来ることです。
各メディアにはそれぞれ強みと弱みがあります。
クロスメディアを採用すると、あるメディアの弱みを、他のメディアを使って補うことが出来ます。
例えば、折込チラシには詳細な情報を載せることが出来ますが、テレビCMほど多くの消費者にリーチ出来ません。
一方で、テレビCMは情報伝達力はあるものの、伝える情報はごく限られてしまいます。
しかしクロスメディア戦略では、テレビCMと折込チラシを併用し、テレビCMから折込チラシへの導線を作ります。
結果的に、
- 折込チラシの情報を届ける弱みをテレビCMでカバーする
- テレビCMの情報の少なさを折込チラシでカバーする
ことが可能になるため、より多くの消費者へより多くの情報を届けることができるようになるのです。
各メディアの効果測定から最適な方法を探し出せる
クロスメディアのメリット三つ目は、各メディアの効果測定を通して目指す成果に最適なアプローチ方法を見つけやすくなることです。
特に、オフラインメディアは効果計測が難しい傾向がありますが、たとえば落ち込みチラシに「折り込みチラシ経由とわかるQRコード」をつけておけば、折込経由でWEBサイトを訪問してくれたことがわかるようになります。
クロスメディアを実施した結果、
- 折込チラシ:
サイト訪問数は少ないが、新規登録しやすい - WEB広告:
サイト訪問数は多いが、新規登録につながりにくい。ただしリピート購入につながりやすい
のようなデータが得られれば、
新規顧客獲得には「折込チラシ」
リピーターの獲得には「WEB広告」
を重点的に進めるとよさそうだと施策の方向性を決めることも可能になります。
各メディアのデータを比較することによって、宣伝に効果的なメディアや、今後の課題等を素早く把握することが出来るので、企業のマーケティング戦略に大いに役立ちますね。
クロスメディアの展開例
では、実際にどのメディアとどのメディアを組み合わせれば効果的にプロモーションができるのでしょうか。
企業のマーケティングにおすすめのクロスメディアの一例をご紹介します。
テレビCMとWebサイト
テレビCMとWebサイトの組み合わせは、クロスメディアの代表例です。
テレビCMの最後に、「続きはWebで」や「〇〇で検索!」というセリフを聞くことは、珍しくありません。
テレビCMで幅広い層からの認知を獲得し、より強い関心を持った消費者をWebサイトへ誘導することによって、興味の高い消費者により詳細な情報に触れてもらうことが可能になります。
また、WEBサイト経由でそのまますぐに会員登録など必要なアクションにつなげやすい点も使いやすいですね。
SNSから自社サイトへ
SNSから自社サイトへ誘導をする手法も、近年多く見られる手法です。
近年では、SNSユーザーから大きな人気を獲得して、多数のフォロワーを抱えている企業の公式SNSアカウントが多く見られます。
また、消費者側では、TwitterやInstagram等の人気SNSを使って口コミによる情報収集をする行為が一般的になってきました。
SNSで自社サイトの宣伝を行えば、アカウントのフォロワーだけではなく、あるワードで検索してきたユーザーにまで情報を届けることが可能に。
さらに、SNSでは消費者間で投稿がシェアされることで、瞬く間に情報が拡散されていく可能性もありますね。
企業は、まずSNSを窓口として、自社の商品・サービスの知名度上昇を図ることで自社サイトへの流入の飛躍的増加も見込めるでしょう。
【重要】クロスメディアを成功させるためのポイント
次に、クロスメディアを成功させるために押さえておきたい、重要なポイントをご紹介します。
ターゲットに合わせたメディア選ぶ
まず1つ目のポイントは、ターゲットに合わせたメディアを選ぶことです。
例えば、ターゲットが10代から20代の若者である場合、テレビや新聞広告等のマスメディアよりも、TikTok・Twitter・InstagramなどのSNSを利用した方が効果的であると予測出来ます。
なぜなら若年層は、新聞やテレビへの接触機会が、他の年代層と比べて低いからです。
逆に、ターゲットがシニア層であれば、SNSよりもマスメディアを利用する方がはるかに有効でしょう。
メディアの選定は結果に大きく影響しますので、慎重に選定しましょう。
また、主要なメディアごとのおおよそのターゲットや特徴は以下の通りです。
メディアの種類 | ターゲット | 特徴 |
新聞 | 50代以上 | 信頼性が高い/ニュースの理解を助ける |
テレビ | 40代以上 | 速報性が高居い/幅広い属性に届けられる |
雑誌 | 10~60代 | 特定のジャンルに特化/訴求力が高い |
ラジオ | 40~60代 | 速報性が高い/片手間に情報収集ができる |
ブログ | 30~50代 | 文章が主体/ストック型メディア |
SNS | 10~50代 | 双方向コミュニケーションができる/フロー型メディア |
消費者の心理・行動を予測する
続いて2つ目のポイントは、メディアを見た消費者の心理や行動を予測しておくことです。
消費者は、商品を認知した後、情報収集、比較検討というステップを踏んで購買に至るのが一般的。
消費者が購買に至る各段階において、企業は消費者が期待するものを具体的に予測しておくことが大切になります。
例えば、消費者が「いくつか比較検討して購入を検討している」段階では商品の大まかなイメージや概要よりも、商品の詳しい使用感、価格、口コミなど、より購買に結びつきやすい情報をメディアに組み込むことが重要です。
消費者が期待したものと、実際に提供されたものとの乖離が激しい場合、消費者が商品の購入に至るまでに断念することが多いため、消費者の目線に立ったイメージを持つことが必要ですね。
クロスメディアの成功事例
最後に、クロスメディア展開の成功事例をご紹介します。
クロスメディアの好事例として、
- 株式会社miHoYo
- 株式会社キングジム
- 日本マクドナルド株式会社
の事例をご紹介してきましょう。
株式会社miHoYo
一つ目の事例は、株式会社miHoYoが運営するモバイルゲームの「原神」のクロスメディア戦略です。
株式会社miHoYoは、電車の車内広告を利用して、「原神」を大々的にプロモーションしました。
本プロモーションでは、原神ラッピング車両の全ての広告スペースに、原神の広告が掲示されました。
電車内は、多くの乗客の手にスマートフォンがあり、気軽に検索してもらいやすい環境ですよね。
ですので、電車の広告スペースをフルに使う本手法は、Webメディアへの誘導に非常に適したものだと言えます。
本事例は、消費者をWebサイトやモバイルゲーム、SNSへ誘導したい企業はぜひ参考にしたい事例となりました。
株式会社キングジム
二つ目の事例は、株式会社キングジムの公式Twitterによるクロスメディア戦略です。
同社のTwitterフォロワー数は、43.4万人(2022年1月現在)にも上り、Twitterで非常に人気のある企業アカウントです。
同社の公式アカウントでは、定期的に同社の商品を紹介するツイートが投稿されていますが、当ツイートには、同社のオンラインストアへのWEBリンクが添付されています。
企業の公式Twitterに一定数のフォロワーがいる場合には、ツイートで宣伝することによって、フォロワーを自社サイトへスムーズに誘導することが出来るのです。
また、自社アカウントだけでなく、SNSで著名なインフルエンサーを「口コミメディア」として起用し、自社の商品・サービスを紹介してもらうインフルエンサーマーケティングもクロスメディアで効果的な戦略です。
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日本マクドナルド株式会社
三つ目の事例は、日本マクドナルド株式会社です。
マクドナルドは、様々なメディアを活用することによって、顧客の囲い込みを行なっています。
マクドナルドは、
- 各種広告(テレビCM、新聞、ラジオ、SNS等)
⇒ 消費者との接点回数を確保 - SNS
⇒新商品情報、キャンペーン実施、ファン化による見込み客維持 - 紙のクーポン
⇒ポスティングや新聞折込などで配布 - 自社アプリ
⇒クーポン、モバイルオーダーなどで注文・来店促進 - WEBサイト
⇒企業情報、活動アピールによるイメージ向上
など多様なクロスメディア戦略を展開しています。
クロスメディア戦略を採用することで、複数のメディアで多角的に消費者へリーチし、顧客の囲い込みを行なうことが可能になりますね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、クロスメディアについて事例も併せて詳しくご紹介してきました。
企業のマーケティングにおいて、クロスメディア展開を行うと、各メディアの弱点をカバーして、効果的に情報を発信することが出来ます。
本記事を参考に、今後のマーケティング戦略にお役立ていただければ幸いです。
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