
SNSで影響力の大きい「インフルエンサー」に企業の製品やサービスのPRをしてもらうマーケティング手法である「インフルエンサーマーケティング」。
広告臭が少なく、口コミによるオーガニック(自然的な)拡散によって、短期間にブランドの認知度を向上させたり、購買につなげることが可能な手法として大きく注目されています。
しかしながら、実際にインフルエンサーマーケティングを実施するにあたり「KPI設定」、すなわち施策の目標を何に設定し、どのように効果分析すればいいのかを悩んでいる企業ご担当者様が多くいらっしゃいます。
そこでこの記事では、インフルエンサーマーケティングのKPI設定と効果分析の方法について、詳しく紹介していきます。
これからインフルエンサーマーケティングを検討している場合はもちろん、過去実施したインフルエンサーマーケティングの効果に疑問を持っている場合も参考になりますので、ぜひお役立てください。
インフルエンサーマーケティングについてはこちら▼
インフルエンサーマーケティングとは? 基礎から応用まで5分で理解!
目次
KPIとは、最終目標達成のための「細分化した小さな目標」
まず、KPIについて簡単におさらいしておきましょう。
KPIとは
KPI(Key Performance Indicator)は、重要業績評価指標という意味になります。
わかりやすく言うと、最終目標の達成につながる細分化した目標数値(+アクション)のことを指します。
KPIを適切に設定することで、最終目標を達成するために必要な工程は何かを確認でき、どうすれば目標達成できるか、達成できなければなぜできなかったのかを分析することもできるようになります。
KPIのイメージ
たとえば、飲食店を経営していて、「売り上げ○○億円」を目標に設定したとしましょう。
基本的に飲食店では「客数」「客単価」「回転率」で売上を算出できますので、これら3つの要素をKPIとして設定します。
さらに具体的な施策もあわせて検討します。たとえば、
- KPI:客数を○○人増やす
⇒達成するために、店舗数を○○件増やす、店舗の座席数を○○席増やす、キャンペーンを○○回行う - KPI:客単価を○○円に高める
⇒達成するために、平均より○○円高いメニューを作る、セットメニューを○○件増やす - KPI:回転率を○○回転に高める
⇒達成するために、立ち食い、テイクアウトを導入して回転率を○○回転に高める
などのように具体的な数値とアクションに落とし込んでKPIを設定していきます。
KPIの設定は「売上アップのために頑張って売る」というあいまいさは排除し、「数値+施策アクション」で具体的に設定することが重要です。
KPIを設定する際には「SMART」を意識してみましょう。
- Specific:具体的に
- Measurable:測定可能な
- Achievable:達成可能な
- Related:目的に関連した
- Time-bound:期限を決めて
これらの要素を満たしていることで、より適切なKGI・KPI設定ができるようになります。
インフルエンサーマーケティングにおけるKPI
インフルエンサーマーケティングにおいて、KPIはどのようなものを設定すればよいのでしょうか。
ここからは、インフルエンサーマーケティングを行う際のKPI設定の基本的な考え方を解説していきます。
インフルエンサーマーケティングの目的に応じてKPIの種類は大きく変わる
インフルエンサーマーケティングはSNSでやるからといって「いいね数」や「フォロワー数」の伸びだけをKPIとして見ておくのはナンセンスです。
というのも、インフルエンサーマーケティングの施策の目的に応じてKPIの内容も細かく変わってくるためです。
適切なKPIを設定できていないと、施策の振り返りの際に実は気づかない点で効果が伸びていたのに「効果が低かった」と成果の誤認につながってしまいますので、施策の目的に応じてKPIを変えていきましょう。
ここでは施策の目的として
- 認知獲得
- 興味関心の向上
- 見込み客の増加(購買意欲の向上)
- 購買
- 話題性の獲得・ブランディング
に分けて、インフルエンサーマーケティングのKPIの例を紹介していきます。
【認知獲得】インフルエンサーマーケティングのKPI
認知獲得を目的としたインフルエンサーマーケティングのKPIの場合、成果判断の指標として「コンテンツがどれだけ多くの人の目に触れたか」が重要なKPIとなります。
具体的には以下のような指標をインフルエンサーマーケティングのKPIとして設定できるでしょう。
認知獲得を目的としたインフルエンサーマーケティングのKPI例▼
- インプレッション数
投稿が表示された回数 - リーチ数
投稿を見たユーザー数 - シェア数
コンテンツがシェアされた数 - 動画再生数
動画が再生された回数 - インプレッション単価、動画視聴単価(CPM、CPV)
コンテンツ1表示・視聴にかかった費用
など
情報拡散力が圧倒的に大きい(フォロワー数が多い)インフルエンサーを起用するのが基本になります。
SNS広告やディスプレイ広告、リスティング広告など、その他の広告媒体とも組み合わせることで短期間に規模の大きい情報拡散が可能になります。
たとえば人気インフルエンサーの投稿画像を広告クリエイティブとして2次利用させてもらうなど、広告効果を高める活用法もよいでしょう。
【興味関心の向上】インフルエンサーマーケティングのKPI
興味関心の向上を目的としたインフルエンサーマーケティングのKPIとしては、「ユーザーからの反応」に焦点を当てた指標を設定します。
興味関心の向上を目的としたインフルエンサーマーケティングのKPI例▼
- いいね数・率
コンテンツへのいいね数、コンテンツを見た人に対するいいね数の割合 - 動画視聴完了数・率
興味をもって動画を最後まで見てくれた人の数、視聴者数に占める視聴完了者の割合 - コメント数・質
コンテンツに対する獲得コメントの数、ブランドに興味を持ったコメントの獲得 - 自社アカウントフォロワー数
自社ブランドのSNSアカウントフォロワーの増加数 - URLクリック数・率
自社ブランドサイト、ランディングページへのURLリンククリック数・率 - UGC数
製品やサービス、ブランドについてのSNS投稿数 - クリック単価(CPC)
目的のページへの遷移(クリック)1回の獲得にかかった費用
など
インフルエンサーマーケティングの施策としては、キャンペーンと連動したものが効果的です。
たとえばSNSキャンペーンを実施し、キャンペーンの告知や拡散役としてインフルエンサーを起用する方法などは消費者からの反応を得やすい施策となります。
例として、Twitterで行う「フォロー&リツイートキャンペーン」や、TikTokで行うユーザー参加型キャンペーンの「ハッシュタグチャレンジ」は興味関心(認知獲得も)を高める企画として参考にできるでしょう。
【見込み客の増加(購買意欲の向上)】インフルエンサーマーケティングのKPI
消費者にブランドや製品に関する検索や調査・比較検討などを通して購買意欲を高め見込み顧客を増やすことを目的としたインフルエンサーマーケティングのKPIとしては、「詳細なレビューの獲得」や「消費者との接触、情報獲得」を意識した指標を設定します。
見込み客の増加を目的としたインフルエンサーマーケティングのKPI例▼
- 投稿保存数
Instagramであれば「保存」、YouTubeであれば「後で見る」など、見返したいと思い保存された数 - レビュー(UGC)獲得数
モニターなどによる詳細なレビューの獲得数 - 質問コメントやDMの数・質
商品・サービスに関する質問、気になるなど購買熱量高いコメントの獲得 - ユーザー登録数
新規会員登録やメルマガ登録など、消費者の情報獲得数 - SNS経由URLクリック数・率
自社ブランドサイト、ランディングページへのURLリンククリック数・率 - SNS経由サイト滞在時間、回遊数
SNSを経由したサイト訪問者のサイト滞在時間、回遊数 - クリック単価(CPC)
目的のページへの遷移(クリック)1回の獲得にかかった費用
など
インフルエンサーマーケティングの施策アイデアとしては、製品の購入に向けて比較検討している消費者の購買意欲を高めるために、レビューが丁寧なインフルエンサーを起用し、対象製品についてレビューしてもらうとよいでしょう。
人気のインフルエンサーは専門性・権威性・信頼性を兼ねそろえており、発信する情報は多くの人の参考になっているため、製品への訴求力も高く上手に購買意欲を刺激してくれます。
【購買】インフルエンサーマーケティングのKPI
繁忙期などで製品の購入を増やし売り上げを高めることを目的としたインフルエンサーマーケティングのKPIとしては、シンプルに「購入」につながるプロセスに焦点を当てた指標を設定します。
購買を目的としたインフルエンサーマーケティングのKPI例▼
- SNS経由サイト遷移数
SNSのURL経由でサイトに訪問したユーザーの数 - ユーザー登録数
消費者の情報特数。オンラインの場合クレジットカード情報登録数も - 購入数、売り上げ、利益
製品・サービスの購入数、それに伴う売り上げと利益の額 - 獲得単価(CPA)
売り上げ1件の獲得にかかった費用
など
インフルエンサーマーケティングの施策としては、フォロワー数の多い人気インフルエンサーも交えつつ、消費者との距離感が近い「マイクロインフルエンサー」を起用した施策も検討してみるとよいでしょう。
マイクロインフルエンサーはフォロワー数が数百万人などの人気インフルエンサーに比べ、一般的にフォロワーからの反応・アクション(エンゲージメント)を得やすい傾向があるためです。
インフルエンサーは「フォロワー数は多ければ多いほどいい」というわけではなく、施策の目的によって最適なインフルエンサーが変わってくることを十分理解しておきましょう。
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【話題性の獲得・ブランディング】インフルエンサーマーケティングのKPI
話題性の獲得を目的としたインフルエンサーマーケティングのKPIとしては「どれだけSNSでシェアされているか」に焦点を絞った指標を設定します。
話題性の獲得を目的としたインフルエンサーマーケティングのKPI例▼
- SOV(シェア オブ ボイス)
競合他社と比較して自社についての口コミや話題性を獲得できている割合 - ポジティブ/ネガティブコメント比
ポジティブなコメントとネガティブなコメントの割合 - シェア数
リツイート、シェアなど、ユーザーがコンテンツを共有してくれた数 - UGC数
テキスト、ハッシュタグ、画像、動画など自社に関する投稿数
など
インフルエンサーマーケティングの施策としては、製品・サービスのシンプルな紹介だけではなく、企画を交えて話題の瞬間風速を高めるのが効果的です。
たとえば、人気のインフルエンサーをイベントに招待してライブ配信するなど、エンタメ性や限定性を取り入れた企画は話題になりやすいでしょう。
また、社会に対するメッセージを鋭く発信すると人々の共感を広く得ることができます。ただし、メッセージを発信する場合は反発意見も少なからずあり、過激な発信は炎上のもとになりますので中が必要です。
インフルエンサーマーケティングのKPIを測定する方法
インフルエンサーマーケティングの実施にはあらかじめ目的を決め、KPIを設定して効果を計測しますが、具体的な計測環境も整えておく必要があります。
ここでは、インフルエンサーマーケティング施策で設定したKPIデータを計測する代表的な方法を紹介しましょう。
SNSの分析ツールを使う
インフルエンサーマーケティングの場合、各SNSに備わっている分析ツールを活用してKPIを計測したり分析を行うことが基本になります。
たとえばSNSの分析ツールとして、各SNSから以下の機能が提供されています。
- Instagram:
Instagramインサイト(Instagramアプリにて確認可能) - Twitter:
Twitterアナリティクス - YouTube:
YouTubeアナリティクス
SNSの分析ツールを活用することでPR投稿のパフォーマンス(インプレッション数(表示数)、いいね数、URLクリック数など)を確認できるので分析の際に役立てましょう。
インフルエンサーマーケティングを行う場合は、施策実施の一定期間後に起用したインフルエンサーからこれらの分析ツールのデータを共有してもらいKPI達成度を確認したり分析します。
また、インフルエンサーが登録するプラットフォームツールを使うことで、登録されているインフルエンサーのデータを一括で収集できるサービスを提供している企業もあります。
自社でインフルエンサーマーケティングを行う際は、データ収集の手間が少なく便利ですので検討するとよいでしょう。
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Googleアナリティクスを使う
WEBサイトのデータ計測ツールとしてGoogle社が無料で提供している「Googleアナリティクス」もインフルエンサーマーケティングのKPI計測・分析で重宝します。
GoogleアナリティクスはWEBサイトのページビュー(閲覧数)や訪問者数、どこから訪問してきたのか、どれくらい売上につながったのかなど、WEBサイトのデータを総合的に計測・分析できるツールです。
インフルエンサーマーケティングのKPIを計測する場合は、「パラメータ付きURL」を活用することで、どのインフルエンサーからサイトへ流入があったのかを計測することができます。
「パラメータ」とは、URLの末尾に様々なラベルを追加して集めるデータを細かく分類できるデータ計測の方法です。
たとえば、広告をつかってサイトへの訪問者を増やしたいとき、パラメータを付けておくことで「どの広告画像からサイトに来てくれたか」「いつのキャンペーンからサイトに来てくれたのか」など、流入元を細かく設定できるので精度高くデータ分析を行うことができるようになります。
参考ページ(知らない方は見ておきましょう)
カスタム URL でキャンペーン データを収集する|Googleアナリティクスヘルプ
パラメータ付きURLを使ってインフルエンサーマーケティングのKPIを計測する流れ
パラメータ付きURLによってインフルエンサーマーケティングを行う流れは
- あらかじめパラメータ付きURLを作成する
- 施策の際にインフルエンサーへパラメータつきURLを渡す
- インフルエンサーが商品ページ(パラメータ付きURL)をPRで紹介
- パラメータ付きURLをクリックした人はインフルエンサー経由であることが分かる
のようになります。
パラメータつきURLの形式
たとえば、複数人のインフルエンサーを起用してECサイトでの購入数を増やす場合、どのインフルエンサーが最も売上につながったのかを把握したいでしょう。
その場合は以下のようにURLを設定しておきます。
ECサイトの商品ページ
https: //ec-site.com/商品ページ/
への流入を促したいのであれば、
- インフルエンサーA
https: //ec-site.com/商品ページ/インフルエンサーAとわかるパラメータ - インフルエンサーB
https: //ec-site.com/商品ページ/インフルエンサーBとわかるパラメータ
のような形でURLをあらかじめ作成しそれぞれのインフルエンサーに渡しておきましょう。
どのインフルエンサーからECサイトへの流入が多いのか、さらに売り上げにつながっているのかを把握することで、成果の高いインフルエンサーを特定でき、次回リピートしたり似た特徴をもつインフルエンサーを選定する際にも役立ちます。
インフルエンサーのKPI達成度の計測や分析の際に重要となりますので、パラメータ付きURLやGoogleアナリティクスを導入しておくことをおすすめします。
ソーシャルリスニングツールを使う
インフルエンサーマーケティングの分析方法として、ソーシャルリスニングを活用するのも効果的です。
ソーシャルリスニングとは、SNSやインターネット上に投稿されたテキスト、画像、動画といった情報(ビッグデータ)をもとに総合的に施策の分析を行う手法です。
たとえば、インフルエンサー施策を行った前後で
- ブランドに関する投稿はどのようなキーワードが多いか
- どのような写真や動画が投稿されているのか
- ポジティブ/ネガティブなコメントはどれくらい増えたか
- 投稿している人はどのような年齢・性別・興味関心を持っているのか
- どのような地域に住んでいるのか
などを把握することができるため、インフルエンサーマーケティングの効果計測の際に役立ちます。
ソーシャルリスニングのレポート例▼
人力によるデータ収集には限界がありますが、ソーシャルリスニングを行うことで、ビッグデータを元にした分析が可能になります。
ソーシャルリスニング自体は企業のサービスとして提供されている場合が多いため、規模の大きい施策を実施する場合はあらかじめ専門企業に相談しておくとよいでしょう。
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インフルエンサーマーケティングのKPI・分析についてまとめ
インフルエンサーマーケティングのKPIや分析ツールの紹介をしてきましたがいかがでしたか。
インフルエンサーマーケティングに限りませんが、目的に応じた適切なKPIを設定しなくては施策の成果を見誤ってしまいます。
ぜひ今回紹介したKPI例を参考に、自社でインフルエンサーマーケティングを実施し、丁寧な分析を通して次回の施策につなげていきましょう。
なお、どんなに適切にKPIを設定しても「起用するインフルエンサー」や「PR施策の内容」による施策ありきですので、まずはインフルエンサーの選定や施策内容を丁寧に設計・実施することが大切ですのでお忘れなく。
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