
2016年の夏に公式にリリースされたインスタグラムのアクセス解析「Instagramインサイト」はビジネスプロフィールに変更すると利用できる、Instagram公式の分析機能です。
インスタグラムを運営するなら、投稿の解析を行い、インプレッションやエンゲージメントを高めていきたいと思うでしょう。
今回はInstagramインサイトの分析の仕方や効果を出していくノウハウをまとめました。
どのような視点で分析すればいいのか、実際のインサイトデータを見ながら効果的な分析をするための具体的な方法を徹底解説していきます。
目次
Instagramインサイトとは?
出典:Instagram、ビジネスコミュニティ向けのビジネスツールを日本で導入開始|Facebook newsroom
Instagramインサイトとは、自社のインスタグラムアカウントのフォロワー数の推移、フォロワーの男女比や年齢構成、オンラインの時間帯、反応が良かった投稿など、自分のInstagramアカウントの詳細情報を知ることができる公式ツールです。
自分の投稿の効果を測ったり、アカウント全体の分析をする際に非常に重宝する機能となります。
プロフィールページや各投稿に表示されているグラフアイコンをタップすることで、アカウントのインサイト(アナリティクス)を確認することができます。
ただし、Instagramインサイトはビジネスプロフィールに移行してからの投稿しか分析できません。
なるべく早い段階での導入を強くおすすめします。
ビジネスプロフィールへの変更方法は企業がInstagramビジネスアカウントを導入する3つのメリットの記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
Instagramインサイトで見ることのできる数値データ
Instagramインサイト機能は無料で利用できるツールですが、確認できる項目はとても多いです。
大きく分類すると、
- アカウント全体に関する数値
- 各投稿に関する数値
- フォロワーに関する数値
- ストーリーズに関する数値
についての数値を確認することができます。
それぞれどのような数値を見ることができるか紹介しましょう。
アクティビティ(アカウント全体)に関するインサイト
アカウント全体に関する数値を確認することができます。過去1週間分、各曜日ごとの数値が表示されます。
また、先週と比べた増減数についても知ることができます。
- インタラクション数
他のユーザーがアカウントで実行したアクションの回数 - インプレッション数
投稿した全ての写真が閲覧されたのべ回数 - リーチ数
投稿した全ての写真を閲覧したユニークアカウントの数 - プロフィールへのアクセス数
プロフィールへアクセスしたユーザーの数 - ウェブサイトクリック
ビジネスプロフィールに登録されているウェブサイトをタップしたたユーザーの数
コンテンツ(投稿した写真・動画)に関するインサイト
各投稿に関する数値を確認することができます。
- 今週の投稿数
過去1週間にインスタグラムに投稿した数 - インプレッション数
投稿した写真が閲覧されたのべ回数 - フォロー数
その投稿を見てフォローしてくれたユーザーの数 - リーチ数
投稿した写真を閲覧したユニークアカウントの数 - いいね!数
投稿に対するいいね!の数 - コメント数
投稿に対するコメントの数 - 投稿保存数
投稿を保存したユーザーの数 - ダイレクトメッセージ数
ダイレクトメッセージが送信された数
オーディエンス(フォロワー)に関するインサイト
自分のアカウントのフォロワーに関する数値を確認することができます。過去1週間分についての数値を確認することができます。
- フォロワー数
フォロワーの人数 - トップの場所
フォロワーの住んでいる地域の割合 - 年齢層
フォロワーの年齢構成の割合(すべて/男性/女性) - 性別
フォロワーの性別の割合 - フォロワーアクティビティ
フォロワーがInstagramを使用している曜日・時間帯
ちなみに、オーディエンス(フォロワー)に関するインサイトを見るためには100人以上のフォロワーが必要となります。フォロワー数が少ない内は、フォロワーに関する指標の確認はできないことを覚えておきましょう。
ストーリーズに関するインサイト
Instagramストーリーズに関する数値を確認することができます。最大で過去14日間までのストーリーズについて表示可能です。
- インタラクション数
ストーリーズを通して実行されたアクション数(プロフィールへのアクセスなど) - インプレッション数
投稿したストーリーズが閲覧されたのべ回数 - リーチ数
投稿したストーリーズを閲覧したユニークアカウントの数 - 返信
ストーリーズの「メッセージを送信」を使ってメッセージが送信された回数。 - ストーリーからの移動
ユーザーがストーリーズを最後まで見ずに、スワイプして別の人のストーリーズやプロフィールに移動した回数。(=離脱数)
(補足)Instagramの「インプレッション数」と「リーチ数」の違い
インプレッションとリーチ数は同じように思われがちですが意味合いが異なります。
インプレッションは「投稿が閲覧された合計回数」のことを指します。
それに対して、リーチ数は「投稿を閲覧したユニークユーザー数」となります。
たとえば、1人のユーザーが投稿を10回閲覧すると「インプレッションは10」と表示されますが、「リーチ数は1」とカウントされるのです。
分析をする際には、この2つの意味合いを分けて考える必要がありますので注意しましょう。
これらの数値データを見ながら、自分のサイトが理想の状態に向かって成長しているかを分析していきます。
Instagramインサイトを使った具体的な分析・改善方法
では、Instagramインサイト機能を使ってどのようにアカウントや投稿の分析を行えばいいのかを解説していきましょう。
Instagramインサイト機能を使った分析でいいねやフォロワーを増やしていく方法は基本的に以下の流れで行います。
- アカウントの現状確認
- 問題の仮説と改善点の洗い出し
- KPI(目標指標)を設定
- 改善点を反映して写真、動画、ストーリーズを投稿
- Instagramインサイトで投稿結果を分析
それぞれの手順について、詳しく解説していきましょう。
1. アカウントの現状確認
まず、自分のアカウントが今どのような状態になっているのかを知ることから始めます。
さっそくInstagramインサイト機能を使って見てみましょう。
- 現在のフォロワー数
- 各投稿の平均いいね数
- フォロワーの属性(年齢層、男女比、地域)
- プロフィールへのアクセス数
など、アカウント全体の現状を知ることで、伸ばすべき部分に気づくことができます。
2. 問題の仮説と改善点の洗い出し
自分のアカウントの現状がわかったら、なぜもっと数字が伸びないのか、原因の仮説を立てていきます。
たとえば、投稿のいいね数に伸び悩んでいたら
「投稿写真が全然フォトジェニックじゃないかもしれない」
「つけているハッシュタグがよくなかったのかもしれない」
「投稿した曜日や時間帯が悪かったのかもしれない」
のように、いくつか原因が考えられます。
こうした原因をもとに、改善するためにはどうすればいいのかを考えていきます。
「投稿写真が全然フォトジェニックじゃないかもしれない」
⇒ 写真をスタジオで撮ってみればいいのでは?
「つけているハッシュタグがよくなかったのかもしれない」
⇒マイナーなハッシュタグばかりだったから、もっと人気のハッシュタグをつければいいのでは?
「投稿した曜日や時間帯が悪かったのかもしれない」
⇒平日しか投稿していなかったから、休日に投稿してみればいいのでは?
というように、改善点が見えてきます。
ここで、仮説を立てたものを今後の投稿に反映して、実際に効果があるのかを検証していきます。
3. KPI(目標値)を設定
仮説を立てたら、改善された結果を測るためにKPI(目標指標)を決めましょう。
自分のアカウントのフォロワーを増やしたいなら「フォロワー数」を、投稿のエンゲージメント上げたいなら「いいね数」をKPIに設定します。ECサイトへのトラフィックを増やしたいなら「URLのクリック数」とするのもよいでしょう。
自分の求めている成果についてKPIを設定することが大切です。
InstagramなどのSNSは「投稿を見る」⇒「気に入ったのでフォローする」の流れでファンが増えていくので、基本的には各投稿のいいね数を増やすことを目指すとアカウント全体の成長につながります。
KPIの決め方はインスタグラムの効果測定はどうする?KPIの設定方法の記事で詳しく解説していますので、併せてご活用ください。
4. 改善点を反映して写真、動画、ストーリーズを投稿
効果をチェックするためのKPIを設定したら、改善案を反映して写真や動画を投稿していきます。
改善案が複数ある場合は、1投稿にすべての改善案を反映させるのではなく、1投稿に一つずつ反映させるようにしましょう。
というのも、複数の案を試して効果が上がったとき、どの改善案のおかげで効果が上がったのかがはっきりわからなくなってしまうためです。
いいね数やフォロワー数が増える分には問題ありませんが、数値が減るなど悪い結果になったときは、すぐにその改善案をやめなくてはなりません。
複数の改善案を試してしまうと、どの案が悪い影響を与えているのか判断できなくなってしまいます。
ですから、改善施策をいくつか思いついても一つずつ検証していくことが大切です。
1週間その改善案を試して、次の1週間は別の改善案を試してみる、というように期間を区切って一つずつ改善案の結果をチェックしていくとよいでしょう。
5. Instagramインサイトで投稿結果を分析
Instagramインサイトをつかって、改善施策を反映させた投稿とアカウントの分析を行っていきます。
最初に決めたKPIの数値が増えているか減っているかを確認しましょう。ただし、思わぬ部分が良くなったり悪くなったりしているケース(いいねを増やそうとしたのに、コメントが増えたなど)もありますので、基本的には全体を俯瞰しながら効果を見ていくことが大切です。
KPIの数値が増えているようなら、はじめに考えた仮説の通りだったことがわかるので、以後もその改善策を毎回続けていけば良いということがわかります。
反対に、数字があまり伸びない、悪くなったものについては適切な対策ではなかったとわかるので、止めて別の改善案に注力すればよいでしょう。
そして、また最初の現状分析にもどり、仮説を立て、検証して・・・を繰り返し、PDCAサイクルを回していきます。
検証結果をもとに、よい物は継続し、悪いものはやめる、ということを繰り返していくことで、自分のアカウントを成長させることができます。
Instagramインサイトを使って実際に分析と改善をした例
いきなり分析しようと言われても、どういう視点で考えればいいのかわからないこともあるでしょう。
ここでは、実際のInstagramインサイトを見ながらどのような視点で分析を進めていけばよいかを紹介します。
実際の投稿インサイト
以下は、とあるInstagramアカウントの投稿インサイトです。画像左が改善前、画像右が改善施策を取り入れた後となります。
以下のように仮説を立て、改善策を考えました。
現状分析と課題
他者の投稿に対して「いいね」「コメント」「フォロー」を積極的に行っていなかったので、自分の投稿に興味を持ってくれる人、反応してくれる人が増えないのではないか?
改善施策
他者の投稿やアカウントに対して積極的に「いいね」「コメント」「フォロー」をして交流を増やしていく。
KPI
いいね数
このケースでは、投稿内容やハッシュタグ内容を大きく変えず、外部的な要因(他者投稿へのアクション)でエンゲージメントが増えるかどうかを検証しました。
結果は以下の通りです。
良くなった点
- いいね数が増えた(47⇒57)
予想通り、いいね数が増えました。 - コメント数が増えた(1⇒9)
コミュニケーションを活性化させた結果、コメント数も伸びました。 - プロフィールへのアクセスが増えた(34⇒94)
プロフィールへの訪問も増えているので、アカウントに興味を持ってもらえていることがわかります。 - リーチ数が大きく伸びた(915⇒3036)
こちらも予想通り、多くの人に投稿を見てもらうことに成功しました。 - ハッシュタグ経由でのインプレッションが大きく伸びた(168⇒469)
ハッシュタグ経由で投稿を見た人が大きく増えているのは、投稿が「人気投稿」となって検索結果の上位に表示されたためだと考えられます。 - その他経由でのインプレッションが大きく伸びた
ハッシュタグ検索と同様に、投稿が話題になったことでインスタグラム内での露出が増え、数値が大きく伸びたと考えられます。
改善が必要な点
- フォロワー数は変わらなかった(1⇒1)
リーチ数やプロフィールへのアクセスが大きく伸びたのにもかかわらず、フォロワーは大きく増えませんでした。これは、投稿自体やプロフィールや過去の投稿を見てフォローするほどの魅力が感じられなかったためだと考えられます。 - リーチ数の増加率に対していいねの増加率が低い
リーチ数の伸びは 915⇒3036 なので約3.3倍。それに対していいね数の伸びは 47⇒57 なので約1.2倍でした。投稿を見てくれた人は多くなったけれど、投稿自体に魅力を感じず何もせずに離脱してしまった人が多いため、いいね数が伸び悩んだと考えられます。
分析のまとめ
- 他者の投稿に対して積極的に反応し、コミュニケーションを活発にすることで自分のアカウントに興味をもってもらいやすいことがわかった。
- Instagramでは写真や動画が何よりも大切
今後の対策
- 「投稿の内容に魅力が感じられず離脱してしまう可能性がある」という新たな課題が見つかったので、今後は投稿写真や動画をよりフォトジェニックにしていく
- 過去の投稿で、アカウントの世界観に合っていないものや反応が悪いものは削除する
細かい点は他にもありますが、おおよそ以上のような分析結果と考察をすることができます。
現状を把握し、課題を抽出し、KPIを設定し、投稿に反映し、結果を分析し、新たな課題を改善していく。
これを繰り返して、アカウントを成長させていきます。
Instagramインサイトを使ってさらに深い分析をするためのアドバイス
企業でアカウントを運用している場合は、Instagramが売り上げに大きく貢献してくれます。
売上につなげるためにも、Instagramでファンを獲得することは非常に重要です。
ここでは、Instagramを売り上げにつなげるための分析ポイントを紹介します。
フォロワーの属性が自社のターゲットとマッチしているか
自社の狙っているターゲット層とInstagramアカウントのフォロワーがマッチしているかを確認しましょう。
たとえば、20代女性がメインターゲットなのに、フォロワーに30代女性が多い場合、投稿内容がメインターゲットの心に響いていない可能性が考えられます。
男女比率や年齢層を確認し、自社のターゲットに相性の良い投稿をするようにしましょう。
投稿時間帯は適切か
ターゲット層とあわせて、ターゲットがもっともアクティブな時間も知る必要があります。
たとえば、自社のターゲットが「働く女性」だった場合、9時~18時の勤務時間帯はインスタグラムを利用していないため、投稿を避けるのがよいでしょう。
仕事が終わって落ち着いた頃を狙い21時~24時に投稿する。あるいは、12時~13時のランチの時間帯を狙って投稿するなど、戦略的に登校時間を意識しましょう。
プロフィールへの訪問数は上がっているか
投稿から自分のプロフィールへ訪問してくれることで、過去の投稿を見てもらうことができ、より自社の魅力をユーザーに伝えることができます。
ですので、プロフィールへの訪問数にも注目しておきましょう。
投稿者のアイコンをタップ(クリック)すると、プロフィールページが表示されますが、そのほかにも「メンション」を使っておきましょう。
メンションとは、タップするとプロフィールページを表示してくれる機能のことです。「@+ユーザーネーム」で表現し、投稿のキャプション(テキスト)欄にハッシュタグと同じように記載することができます。
スマホでInstagramの投稿を見ていると、投稿者アイコンは上部へと流れてしまい、ユーザーはスクロールして再び投稿者アイコンを表示する手間が発生してしまうので、なかなかタップ(クリック)されません。
キャプション欄にメンションを記載しておくことで、ユーザーが自然にプロフィールを表示できるようになるため、プロフィールへの訪問者の増加が見込めます。
URLクリック数は伸びているか
Instagramのプロフィールには自社サイトのURLを記載する欄があります。
URLをクリックしてもらい自社サイトに遷移してもらうことで売り上げにつながるため、URLのクリック率は非常に大切です。
そのURLはプロフィールページの紹介文の下に表示されるため、クリック率を上げたい場合は説明文を魅力的な内容に変更して検証してみましょう。
また、フォロワー数が1万人を超えている場合、ストーリーズにURLリンクを追加できるようになるため、フォロワー数が多い場合はそちらにもURLを追加して自社サイトへの窓口を広げましょう。
エンゲージメント率は高いか
エンゲージメント率は、自分のフォロワーに対する反応率を表したものです。
一般的に、
エンゲージメント率=(いいねの数+コメント数)/フォロワー数
の式で計算されます。
フォロワー数が多いにもかかわらず、投稿への反応率が少ない場合、フォロワーがアカウントに対して興味を失ってきている、投稿の質が下がってきているなどが考えられるため、早急に対策をする必要があります。
SNSは相互コミュニケーションにより親近感を感じてもらえるため、フォロワーに対するいいねやコメントを積極的にすることで、相手もこちらの投稿に興味を持ってもらうことができます。
Instagramインサイトを使って分析し、アカウントを成長させよう
いかがでしたか。
Instagramインサイトを分析して改善点を抽出し、それを反映させていく。
この一連の流れを繰り返すことで、よりユーザーに刺さる投稿やアカウントに成長させることができます。
有料の分析ツールなどはありますが、無料の範囲内でできることをまずやってからの方がノウハウを蓄積できるのでおすすめです。
フォトジェニックな投稿をしたい場合は誰でもおしゃれ写真が撮れる!Instagramの5つの撮影テクニック集の記事にて解説しています。
効果的なハッシュタグを選びたいときはInstagramで人気投稿になるハッシュタグの効果的な付け方・選び方を徹底解説の記事にて詳しく解説しています。
自身の投稿とアカウントを成長させるためにあわせてご活用ください。
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