
2023年6月現在、Twitterのホーム画面は「おすすめ」と「フォロー中」で分かれています。
「フォロー中」はその名の通り自身のフォロワーのみのタイムラインですが、「おすすめ」はTwitterがアルゴリズムにのっとってその人におすすめしたいと思うツイートが並んでいます。
そのため、自身のフォロワーでないアカウントのツイートも入っています。
これはTwitterがユーザーにとってより有益な場所となることで、Twitterユーザーや1人当たりの利用時間が増えるようにするためです。
そしてこれは、企業のアカウントにとっては大きなチャンスです。
なぜなら、SNSでバズることができれば多くの人のおすすめに載る可能性が高いからです。
さらに、Twitterのアルゴリズムを正しく理解し、それを踏まえた上で運用を行えば、バズらずともおすすめに載る可能性があるのです。
2023年3月31日、Twitter社は「おすすめ(For You)」タイムライン表示に関するアルゴリズムを公開しました。
本記事ではその内容から、どのようなツイートをすべきかをご紹介いたします。
目次
Twitterアルゴリズムの重要なポイント
おすすめされるツイート決定までのプロセス
画像:Twitter's Recommendation Algorithm
おすすめツイートが決まるまでには以下の3段階を踏んでいるとされています。
- 候補ソーシング:さまざまな推奨ソースから最適なツイートを取得
- ランク付け:機械学習モデルを使用して各ツイートをランク付け
- フィルタリング:ブロックしたユーザーからのツイート、NSFW(Not safe for work) コンテンツ、既に見たツイートなど、今までの経験則に基づいて表示するツイートを除外・フィルタリング
- ミキシング:広告やおすすめフォロワーなどの投稿を追加
つまり、まずはざっくりとおすすめツイートを収集し、おススメ順にランキング、最終的には余分なものが除外されておすすめに表示されているのです。
候補ソーシングはどうやって選出されているのか?
上記の中で第1段階にあたる「候補ソーシング」はどのように選ばれているのでしょうか?
まず、フォローしているユーザーから750、していないユーザーから750、合計1500のツイートが選抜されています。(ユーザーによってこの割合は50:50ではない場合もあります)
フォローユーザーのツイート選抜基準:リアルグラフ
リアルグラフとは、両者間のエンゲージメントの度合い(ツイートの投稿者との交流に基づいた特定のツイートへのエンゲージメント)を測る指標です。
この数値が高ければ高いほど、タイムラインに表示されるようになります。
フォロー外ユーザーのツイート選抜基準:ソーシャルグラフと埋め込みスペース
Twitterでのアクティビティを増やすため、フォロー外からも関連性の高いツイートを見つけてこようとします。
そのための手段が「ソーシャルグラフ」と「埋め込みスペース」です。
まず「ソーシャルグラフ」とは、フォローしている人のエンゲージメントを分析し、その人がエンゲージしているツイートと似たようなツイートを探すことを指します。
現在、タイムラインの15%程度がこのアプローチによって表示されています。
もう1つの「埋め込みスペース」とは、ユーザーの興味やツイート内容を数値化することで、ユーザー、ツイート、ユーザーとツイートのペアの類似性を調べるものです。
Twitterは約3週間毎に更新される全145,000ものコミュニティに分けられており(下図参照)、そのコミュニティの中でユーザーに人気があると表示されやすくなります。
例えば、ユーザーが日本プロ野球が好きなら、日本プロ野球関連のツイートの中でも人気のものが選ばれるというシステムです。
画像:Twitter's Recommendation Algorithm
ランク付けはどのようにされているのか?
フォロー内・フォロー外かかわらず1,500のツイートが抽出されていますが、この段階ではまだ平等に扱われています。
しかしこのままランダムに並べてはユーザーの興味がそがれてしまうので、関連性の高いツイートを表示させるようにランク付けする必要があります。
そのためTwitter社では、ニューラルネットワークと呼ばれるプログラムを使用しています。
このプログラムでは、ツイートが他の人に「いいね!」されたかどうか、共有されたかどうかなど、さまざまな要素を見て予測を立てています。
これらの予測に基づき、ニューラルネットワークは各ツイートにスコアを付けているようです。
基本的にはポジティブな操作(いいね、返信、リツイート、プロフィール確認など)によってスコアが加算され、逆にネガティブな操作(ミュート・ブロック・ツイートの報告などをされる)では減点されます。
今回公開されたソースコードからは、以下の点が読み取れます。
- 各ユーザーに影響力の数値スコアが割り当てされており、フォロワー数が多いほうがスコアが高い。すなわち、フォロワー数<<フォロー数なユーザーはスコアが低くなる
- 上記スコアは100点満点中の65が閾値となっており、65未満だとどんなに良いツイートが多くても3つまでしか選ばれない。65を超えていると無制限に選ばれる。
- Twitter Blueのバッジを持っているユーザーが優先。フォロワーの場合はアルゴリズムで 4 倍のブースト、フォロー外でも 2倍のブーストが得られる。
- 新鮮なツイートが優先される。具体的には、ツイートの関連性スコアは 6 時間ごとに 50% 減少する。
ユーザー・ツイートのスコア付けが行われると、スコアが高いものから順に表示されるシステムになっています。
どのようなツイートがフィルタリングされるのか?
ランク付けでどんなに点数が良くても、フィルタリングをクリアしなければ表示はされません。
では、どのようなツイートがフィルタリングされるのでしょうか?
フィルタリングは下記のような内容で行われています。
- ミュート、やブロックした投稿
- ネガティブなフィードバックが多い投稿
さらに細かい調整として、スコアの高いアカウントの投稿に偏らないような調整や、フォロー内とフォロー外のバランスが取れるような調整も行われます。
最終的に、広告やおすすめフォロワーなどの投稿が加えられて(ミキシング)、おすすめのタイムラインが完成するのです。
認証バッジの重要性
Twitterにはかつて「公式」を表す青色のバッジしかありませんでしたが、2023年にはバッジの仕組みが変わり、金色のバッジも登場するようになりました。
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Twitter社は、今後多くの企業公式アカウントが金色のバッジを取得するように目指していると考えられます。
また、従来の青色のバッジのシステムが変わり、月額有料制サブスクリプション「Twitter Blue」になったタイミングで、これらのタイムライン表示において優先されるようになると発表されています。
タイムラインのおすすめに載せたいアカウントの担当者は、バッジの取得に向け動くべきでしょう。
Twitterアルゴリズム変更にどう対応すべきか
企業のTwitterアカウントを運用していくうえで、現在のアルゴリズムに対応するには、担当者は具体的にどのようなアクションを取ればいいのでしょうか?
「フォロワー数のみ重視」ではなく「発話量(UGC数)重視」に
かつて、Twitterではフォロワーの多さが重要視されてきました。
ただし、フォロワーが多ければ多いほど良いという考えは前時代的になってきています。
もちろんフォロワー数も重要ではありますが、Twitter社の現在の目標は「言論の自由が実現できるプラットフォーム」であり、「ユーザー同士が対話する場」が求められているのです。
つまり、メガインフルエンサーの一方的な配信ではなく、双方向のコミュニケーションが最も重要視されています。
実際、「Twitterマーケティング」の調査の中で、4人に3人以上がTwitter上での商品に関する会話から購買に至っているということが判明しており、Twitterでの会話が需要創造にも役立っているということを示しているのです。
そのため、企業のアカウントでも「KPI=発話量(UGC数)」を設定し、フォロワー数とUGC数をともに重視するようにすべきでしょう。
ユーザーからの発話が増えると、企業アカウントの投稿数や広告投資に依存せず、インプレッション数やエンゲージメント数、リンククリック数などのKPIが達成できます。
そしてそのUGCとは、ユーザーが投稿するクチコミのことを指します。
クチコミが増えればおのずとユーザーが目にする機会も増え、検索数も増えていきます。
さらに若年層はSNSのクチコミを参考にする人が多いので、新規顧客への訴求力が高まっていくのです。
すなわち、クチコミ数を増やしていくことで、自社アカウントの投稿数にかかわらず低コストで持続的に購買貢献を拡大することができるのです。
アカウントをアクティブに運営する
先ほどの内容は「投稿数を増やさずとも伸ばせる」という内容でしたが、だからといって自社アカウントの運営をおろそかにしていいというわけではありません。
むしろ、Twitter社に「アクティブなアカウント」だと思わせることができなければ、おすすめの表示からは遠ざかっていくでしょう。
アクティブなアカウントとは、
- 利用頻度が高い
- 毎日ツイートしている
- フォロワーに対して「いいね」「リプライ」「リツイート」などのコミュニケーションを取っている
というポイントを満たしているものを指します。
つまり、ユーザーに対して有益な情報を与えるだけではなく、返信コメントに反応したり、時には企業名でエゴサーチして「いいね」をつけに行くなど、双方向のコミュニケーションにこだわればTwitterアルゴリズムからの高評価にもつながるのです。
かといって、1日に何度も投稿をすればいいというわけでもありません。
バランスのいい投稿頻度を心がけましょう。
さらに、業種形態によっても投稿する時間帯の最適解は異なります。
アナリティクスツールなどを利用し、最も活発的なツイートの時間を見つけることをおススメします。
フォロワーを巻き込んだ投稿をする
発話数を伸ばすためには、企業は積極的にユーザーにお願いする、もしくは巻き込んでいくべきです。
たとえば、キャンペーンなどで拡散してほしい場合、フォロワーに直接リツイートを求めるほうがいいのです。
実際、リツイートをお願いする際に「リツイート」という言葉を使うと、約23%のエンゲージメントの増加が見られるというデータもあります。
また、ハッシュタグや@メンションは、Twitterでエンゲージメントを高めるための素晴らしい施策です。
これにより、アカウント同士の交流も生まれやすくなります。
ほかにも、ユーザーが気になるような投稿をして注目を集める、という方法もあります。
具体的には
- ちょっと立ち止まって考えさせるような質問をする
- 関連するトレンドのハッシュタグを使用する
- 人気のあるTwitterキャンペーンに参加する
- ソーシャルリスニングする
などです。
画像や動画を投稿する
Twitterのアルゴリズムでのランク付けには、「リッチコンテンツかどうか」も大きくかかわってきます。
動画、GIF、画像、投票機能などがリッチコンテンツにあたり、単純にテキストのみの投稿よりも優先されやすくなっています。
たとえば動画の紹介であっても、YouTubeのリンクを貼るだけではなく、動画を1分前後に編集し直接Twitterにアップロードするとインプレッションとエンゲージメントが高くなります。
「UGC重視」を意識しているアカウント例
Twitter社の「UGC重視」の方針に適応しているアカウントとして、アイラップ【公式】さんが挙げられます。
アイラップは岩谷マテリアル株式会社が1976年から販売している「マチ付きポリ袋」です。
40年以上前からある商品でしたが、全国区商品でありながらなぜか一部地域に売り上げが集中しており、2018年にSNSの担当者がぼやくツイートをしました。
アイラップは全国区商品。
一部地域限定の商品ではありません(;ω;)ただ売上の75%が新潟、山形、富山、石川、福井に集中しているだけなの…。
すっごく便利なんだけどなぁ…。
応援してくれる人RTプリーズ… _(:3」z)_#一般人の方が時々誤解しておられること #アイラップ #応援RTお願いします pic.twitter.com/jWvmJyIpND
— アイラップ【公式】 (@i_wrap_official) July 18, 2018
この投稿は一気にバズり、よく売れている地域の人からは「全国で知られていないこと」に驚かれ、知らない地域の人には「この商品が気になる!」という興味を惹く結果になりました。
この投稿にも実は「リツイートを求めている」「#一般人の方が時々誤解しておられること という人気のハッシュタグを使う」というテクニックが使われているのです。
この投稿をきっかけにフォロワーが一気に増加していき、現在ではフォロワーが27万人(2023年6月現在)に。
取扱店も全国に拡大していき、レシピ本も出版するまでになりました。
そして現在でも、UGCを重視したアカウント運用をしています。
/
上記応募者へ #Wチャンス✨
\#アイラップはいいぞ のタグを付けて、このツイートを引用RTで…#非売品 オリジナルポケットティッシュ【#アイポケッシュ】が追加で1つ貰えるチャンス💕( ° ཀ ° )中のペーパーがオレンジカラーなのは超レアだぞ…❗️#懸賞 #プレゼント #キャンペーン pic.twitter.com/YWsFROzJUt
— アイラップ【公式】 (@i_wrap_official) June 1, 2023
まずは定番のキャンペーンですが、5周年記念のキャンペーンとしてアイラップやその関連商品、さらには非売品グッズも含めたセットを3名の方にプレゼントしています。
さらにWチャンスとして、「#アイラップはいいぞ」+引用RTでさらに非売品グッズが当たるようになっています。
「フォロー&リツイートキャンペーン」のため、この機会にフォローする人も増えますし、「#アイラップはいいぞ」をつけることでフォロワー外の人にもアイラップの良さが広まる可能性を与えています。
#アイラップ
枝豆を
アイラップでレンチン
すぐ出来て😋美味しい pic.twitter.com/S5MWU5GCJO— おおジロー (@dai_ska_rap) June 7, 2023
さらにアイラップさんはエゴサーチを行い、うまく活用しているツイートをリツイートしています。
これはリツイートされたアイラップファンのユーザーにとっては嬉しいことですし、アイラップさん側としても「アイラップを使ったレシピの共有」となるため、win-winなのです。
₍₍ ( ºωº Ξ ºωº ) ⁾⁾ おろ…?
₍₍ ( ºωº Ξ ºωº ) ⁾⁾ こないだ買ったやつだ…
₍₍ ( ºωº Ξ ºωº ) ⁾⁾ まだ食べてないから…
₍₍ ( ºωº Ξ ºωº ) ⁾⁾ 楽しみなのだ…✨#ポップコーナーズ https://t.co/9caSTQU9ct pic.twitter.com/BCr971W1BE
— アイラップ【公式】 (@i_wrap_official) June 8, 2023
₍₍ ( ºωº Ξ ºωº ) ⁾⁾ あの日を思い出す✨#ブルーインパルス✈️pic.twitter.com/E3zFmLikcS
— アイラップ【公式】 (@i_wrap_official) June 7, 2023
また、アイラップさんのアカウントでは、他の企業のツイートを引用リツイートしたり、その時話題のテーマについてつぶやいたりすることも多いです。
その際には顔文字も付けていることが多く、ユーザーにとっては「親近感がわく」ようになります。
アイラップを使用している人は主婦層が多いと思われるので、こういったツイートはアカウントのファンを増やすことになるのです。
これらのツイートは結果的にアイラップさんのツイートのインプレッション数やエンゲージメント数を伸ばすことにつながるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
Twitter社はイーロン・マスク買収後、さまざまな変革を進めています。
おすすめのタイムライン表示もその一つで、Twitter社はそのアルゴリズムも積極的に公開しています。
これらのアルゴリズムを公開しているのは、企業の担当者に「Twitterを双方向のコミュニケーションの道具としてうまく活用してほしい」というメッセージを送っているということなのではないでしょうか?
Twitter運用においてKPIの設定は大切ですが、アルゴリズムを理解したうえで適切なKPIを設定するようにしましょう。
もし、アカウント運営に不安な点がある担当者の方がいらっしゃいましたら、こちらまでお気軽にご相談ください。
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