2024年3月現在、X(旧Twitter)のホーム画面は「おすすめ」と「フォロー中」で分かれています。
「フォロー中」はその名の通り自身のフォロワーのみのタイムラインですが、「おすすめ」はX(旧Twitter)がアルゴリズムにのっとり、各ユーザーにおすすめの投稿が掲載されることが特徴。
そのため、自身のフォロワーでないアカウントのポストも表示され、発信側としてはフォロワー外のユーザーへのアプローチをする場所として活用できるでしょう。
さらに、X(旧Twitter)のアルゴリズムを正しく理解し、それを踏まえた上で運用をすることによってバズらずともおすすめに載る可能性があります。
2023年3月31日、X(旧Twitter)社は「おすすめ(For You)」タイムライン表示に関するアルゴリズムを公開しました。
本記事では、上記の内容から、どのような投稿が効果的なのかを詳しくご紹介します。
目次
X(旧Twitter)アルゴリズムの重要なポイント
おすすめされるポスト決定までのプロセス
画像:Xs Recommendation Algorithm
おすすめポストが決まるまでには以下の3段階を踏んでいるとされています。
- 候補ソーシング:さまざまな推奨ソースから最適なポストを取得
- ランク付け:機械学習モデルを使用して各ポストをランク付け
- フィルタリング:ブロックしたユーザーからのポスト、NSFW(Not safe for work) コンテンツ、既に見たポストなど、今までの経験則に基づいて表示するポストを除外・フィルタリング
- ミキシング:広告やおすすめフォロワーなどの投稿を追加
つまり、まずはざっくりとおすすめポストを収集し、おススメ順にランキング、最終的には余分なものが除外されておすすめに表示されているのです。
候補ソーシングはどうやって選出されているのか?
上記の中で第1段階にあたる「候補ソーシング」はどのように選ばれているのでしょうか?
まず、フォローしているユーザーから750、していないユーザーから750、合計1,500のツイートが選抜されています。(ユーザーによってこの割合は50:50ではない場合もあります)
フォローユーザーのツイート選抜基準:リアルグラフ
リアルグラフとは、両者間のエンゲージメントの度合い(ポストの投稿者との交流に基づいた特定のポストへのエンゲージメント)を測る指標です。
この数値が高ければ高いほど、タイムラインに表示されるようになります。
フォロー外ユーザーのポスト選抜基準:ソーシャルグラフと埋め込みスペース
X(旧Twitter)でのアクティビティを増やすため、フォロー外からも関連性の高いツイートを見つけてこようとします。
そのための手段が「ソーシャルグラフ」と「埋め込みスペース」です。
まず「ソーシャルグラフ」とは、フォローしている人のエンゲージメントを分析し、その人がエンゲージしているポストと似たようなポストを探すことを指します。
現在、タイムラインの15%程度がこのアプローチによって表示されています。
もう1つの「埋め込みスペース」とは、ユーザーの興味やポスト内容を数値化することで、ユーザー、ポスト、ユーザーとポストのペアの類似性を調べるものです。
X(旧Twitter)は約3週間毎に更新される全145,000ものコミュニティに分けられており(下図参照)、そのコミュニティの中でユーザーに人気があると表示されやすくなります。
例えば、ユーザーが日本プロ野球が好きなら、日本プロ野球関連のポストの中でも人気のものが選ばれるというシステムです。
画像:X's Recommendation Algorithm
実際のX(旧Twitter)のランク付け方法
ランク付けはどのようにされているのか?
フォロー内・フォロー外かかわらず1,500のポストが抽出されていますが、この段階ではまだ平等に扱われています。
しかしこのままランダムに並べてはユーザーの興味がそがれてしまうので、関連性の高いツイートを表示させるようにランク付けする必要があります。
そのためX(旧Twitter)社では、ニューラルネットワークと呼ばれるプログラムを使用しています。
このプログラムでは、ツイートが他の人に「いいね!」されたかどうか、共有されたかどうかなど、さまざまな要素を見て予測を立てています。
これらの予測に基づき、ニューラルネットワークは各ポストにスコアを付けているようです。
ユーザーからポストへのアクション
投稿に影響するユーザーからのアクションは、以下のようにアクションごとに数値が決まっています。
(実稼働モデルとは若干異なる場合があります)
ポストがブースト対象となるポジティブなアクション
アクション | 数値 |
ポストへの「いいね」 | 0.5 |
ポストのリポスト | 1 |
リプライ | 27 |
ポストをタップしてからの「いいね」・リプライ | 11 |
ポストをタップして2分以上そこに留まる | 10 |
プロフィール確認後にポストに「いいね」・リプライ | 12 |
ポストへのリプライにエンゲージ(いいね・返信、リポスト) | 75 |
ポストがペナルティ対象となるネガティブなアクション
アクション | 数値 |
ネガティブフィードバック(表示回数を減らす・ミュートする・ブロックする) | -74 |
ポストを報告 | -369 |
参考:Github
アカウントやポストにおいて重視される要素
他にも、以下のような点が要素として重視されています。
加点対象
- フォロー数よりフォロワー数が多いアカウント
- X Premium (Twitter Blue)バッジを持っているユーザー
- ポスト/リプライ欄に2分以上滞在する人が多いポスト
- 画像や動画を含むポスト(文字だけのポストの2倍の点数がつく)
- トレンドにまつわるポスト(ツイートの関連性スコアは 6 時間ごとに 50% 減少する)
- 評価の高いアカウントとの交流
減点対象
- URLを含んでいるポスト
- ハッシュタグが2つ以上のポスト
- 評価の低いアカウントとの交流
ユーザー・ツイートのスコア付けが行われると、スコアが高いものから順に表示されるシステムになっています。
どのようなポストがフィルタリングされるのか?
ランク付けでどんなに点数が良くても、フィルタリングをクリアしなければ表示はされません。
では、どのようなポストがフィルタリングされるのでしょうか?
フィルタリングは下記のような内容で行われています。
- ミュート・ブロックした投稿
- ネガティブなフィードバックが多い投稿
さらに細かい調整として、スコアの高いアカウントの投稿に偏らないような調整や、フォロー内とフォロー外のバランスが取れるような調整も行われます。
最終的に、広告やおすすめフォロワーなどの投稿が加えられて(ミキシング)、おすすめのタイムラインが完成するのです。
認証バッジの重要性
X(旧Twitter)にはかつて「公式」を表す青色のバッジしかありませんでしたが、2023年にはバッジの仕組みが変わり、金色のバッジも登場するようになりました。
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X(旧Twitter)社は、今後多くの企業公式アカウントが金色のバッジを取得するように目指していると考えられます。
また、従来の青色のバッジのシステムが変わり、月額有料制サブスクリプション「X Premium(旧Twitter Blue)」になったタイミングで、これらのタイムライン表示において優先されるようになると発表されています。
タイムラインのおすすめに載せたいアカウントの担当者は、バッジの取得に向け動くべきでしょう。
X(旧Twitter)アルゴリズム変更にどう対応すべきか
企業のX(旧Twitter)アカウントを運用していくうえで、現在のアルゴリズムに対応するには、担当者は具体的にどのようなアクションを取ればいいのでしょうか?
「フォロワー数のみ重視」ではなく「発話量(UGC数)重視」に
かつて、X(旧Twitter)ではフォロワーの多さが重要視されてきました。
ただし、フォロワーが多ければ多いほど良いという考えは前時代的になってきています。
もちろんフォロワー数も重要ではありますが、X(旧Twitter)社の現在の目標は「言論の自由が実現できるプラットフォーム」であり、「ユーザー同士が対話する場」が求められているのです。
つまり、メガインフルエンサーの一方的な配信ではなく、双方向のコミュニケーションが最も重要視されています。
実際、「Xマーケティング」の調査の中で、4人に3人以上がX(旧Twitter)上での商品に関する会話から購買に至っているということが判明しており、X(旧Twitter)での会話が需要創造にも役立っているということを示しているのです。
そのため、企業のアカウントでも「KPI=発話量(UGC数)」を設定し、フォロワー数とUGC数をともに重視すべきでしょう。
ユーザーからの発話が増えると、企業アカウントの投稿数や広告投資に依存せず、インプレッション数やエンゲージメント数、リンククリック数などのKPIが達成できます。
そしてそのUGCとは、ユーザーが投稿するクチコミのことを指します。
クチコミが増えればおのずとユーザーが目にする機会も増え、検索数も増えていきます。
さらに若年層はSNSのクチコミを参考にするユーザーが多いので、新規顧客への訴求力が高まっていくのです。
すなわち、クチコミ数を増やしていくことで、自社アカウントの投稿数にかかわらず低コストで持続的に購買貢献を拡大することができるのです。
アカウントをアクティブに運営する
先ほどの内容は「投稿数を増やさずとも伸ばせる」という内容でしたが、だからといって自社アカウントの運営をおろそかにしていいというわけではありません。
むしろ、X(旧Twitter)社に「アクティブなアカウント」だと思わせることができなければ、おすすめの表示からは遠ざかっていくでしょう。
アクティブなアカウントとは、
- 利用頻度が高い
- 毎日ポストしている
- フォロワーに対して「いいね」「リプライ」「リポスト」などのコミュニケーションを取っている
というポイントを満たしているものを指します。
つまり、ユーザーに対して有益な情報を与えるだけではなく、返信コメントに反応したり、時には企業名でエゴサーチして「いいね」をつけに行くなど、双方向のコミュニケーションにこだわればX(旧Twitter)アルゴリズムからの高評価にもつながるのです。
かといって、1日に何度も投稿をすればいいというわけでもありません。
バランスのいい投稿頻度を心がけましょう。
さらに、業種形態によっても投稿する時間帯の最適解は異なります。
アナリティクスツールなどを利用し、最も活発的なポストの時間を見つけることがおすすめです。
フォロワーを巻き込んだ投稿をする
発話数を伸ばすためには、企業は積極的にユーザーにお願いする、もしくは巻き込んでいくべきであり、たとえば、キャンペーンなどで拡散してほしい場合はフォロワーに直接リポストを求めるようにしましょう。
実際、リポストをお願いする際に「リポスト」という言葉を使うと、約23%のエンゲージメントの増加が見られるというデータもあります。
また、ハッシュタグや@メンションは、X(旧Twitter)でエンゲージメントを高めるために効果的な施策です。
これにより、アカウント同士の交流も生まれやすくなり、ほかにも、ユーザーが気になるような投稿をして注目を集めるなどの方法もあります。
具体的には、
- ちょっと立ち止まって考えさせるような質問をする
- 関連するトレンドのハッシュタグを使用する
- 人気のあるX(旧Twitter)キャンペーンに参加する
- ソーシャルリスニングをする
などです。
画像や動画を投稿する
X(旧Twitter)のアルゴリズムでのランク付けには、「リッチコンテンツかどうか」も大きくかかわってきます。
動画、GIF、画像、投票機能などがリッチコンテンツにあたり、単純にテキストのみの投稿よりも優先されやすくなっています。
たとえば動画の紹介であっても、YouTubeのリンクを貼るだけではなく、動画を1分前後に編集し直接X(旧Twitter)にアップロードするとインプレッションとエンゲージメントが高くなります。
「UGC重視」を意識しているアカウント例
X(旧Twitter)社の「UGC重視」の方針に適応しているアカウントとして、アイラップ【公式】さんが挙げられます。
画像:アイラップ【公式】|X
アイラップは岩谷マテリアル株式会社が1976年から販売している「マチ付きポリ袋」です。
40年以上前からある商品でしたが、全国区商品でありながらなぜか一部地域に売り上げが集中しており、2018年にSNSの担当者がぼやくポストをしました。
アイラップは全国区商品。
一部地域限定の商品ではありません(;ω;)ただ売上の75%が新潟、山形、富山、石川、福井に集中しているだけなの…。
すっごく便利なんだけどなぁ…。
応援してくれる人RTプリーズ… _(:3」z)_#一般人の方が時々誤解しておられること #アイラップ #応援RTお願いします pic.twitter.com/jWvmJyIpND
— アイラップ【公式】 (@i_wrap_official) July 18, 2018
この投稿は一気にバズり、よく売れている地域の人からは「全国で知られていないこと」に驚かれ、知らない地域の人には「この商品が気になる!」という興味を惹く結果になりました。
この投稿にも実は「リポストを求めている」「#一般人の方が時々誤解しておられること という人気のハッシュタグを使う」というテクニックが使われているのです。
この投稿をきっかけにフォロワーが一気に増加していき、現在ではフォロワーが31万人(2024年3月現在)に。
取扱店も全国に拡大していき、レシピ本も出版するまでになりました。
そして現在でも、UGCを重視したアカウント運用をしています。
/
上記応募者へ #Wチャンス✨
\#アイラップはいいぞ のタグを付けて、このツイートを引用RTで…#非売品 オリジナルポケットティッシュ【#アイポケッシュ】が追加で1つ貰えるチャンス💕( ° ཀ ° )中のペーパーがオレンジカラーなのは超レアだぞ…❗️#懸賞 #プレゼント #キャンペーン pic.twitter.com/YWsFROzJUt
— アイラップ【公式】 (@i_wrap_official) June 1, 2023
まずは定番のキャンペーンですが、5周年記念のキャンペーンとしてアイラップやその関連商品、さらには非売品グッズも含めたセットを3名の方にプレゼントしています。
さらにWチャンスとして、「#アイラップはいいぞ」+引用RPでさらに非売品グッズが当たるようになっています。
「フォロー&リポストキャンペーン」のため、この機会にフォローする人も増えますし、「#アイラップはいいぞ」をつけることでフォロワー外の人にもアイラップの良さが広まる可能性を与えています。
おはようございます。
今朝は「アイラップ」でレンチンしたゆで卵を使ってタマゴトースト。
卵2個を600w、2分20秒加熱するも、やや固め。
次回は2分でやってみよう♪
今日は午後から某飲食店組合の方と打ち合わせ。
皆様も心豊かな1日を(^^)/#朝食 #家モーニング #カメラマン #ライター #フリーランス pic.twitter.com/totbkR8RIW— 永谷 正樹 (@shuzaiya) March 1, 2024
さらにアイラップさんはエゴサーチを行い、うまく活用しているポストをリポストしています。
これはリポストされたアイラップファンのユーザーにとっては嬉しいことですし、アイラップさん側としても「アイラップを使ったレシピの共有」となるため、win-winなのです。
₍₍ ( ºωº Ξ ºωº ) ⁾⁾ おろ…?
₍₍ ( ºωº Ξ ºωº ) ⁾⁾ こないだ買ったやつだ…
₍₍ ( ºωº Ξ ºωº ) ⁾⁾ まだ食べてないから…
₍₍ ( ºωº Ξ ºωº ) ⁾⁾ 楽しみなのだ…✨#ポップコーナーズ https://t.co/9caSTQU9ct pic.twitter.com/BCr971W1BE
— アイラップ【公式】 (@i_wrap_official) June 8, 2023
₍₍ ( ºωº Ξ ºωº ) ⁾⁾ あの日を思い出す✨#ブルーインパルス✈️pic.twitter.com/E3zFmLikcS
— アイラップ【公式】 (@i_wrap_official) June 7, 2023
また、アイラップさんのアカウントでは、他の企業のポストを引用リポストしたり、その時話題のテーマについてつぶやいたりすることも多いです。
その際には顔文字も付けていることが多く、ユーザーにとっては親近感が湧くようになります。
アイラップのメインターゲットは主婦層であると想定でき、上記のようなポストはアカウントのファンを増やすことになるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
X(旧Twitter)社はサービスのアルゴリズムを積極的に公開しています。
これらのアルゴリズムを公開しているのは、企業の担当者に「X(旧Twitter)を双方向のコミュニケーションの道具としてうまく活用してほしい」というメッセージをとも解釈できます。
X(旧Twitter)運用においてKPIの設定は大切ですが、アルゴリズムを理解したうえで適切なKPIを設定するようにしましょう。
もし、アカウント運営に不安な点がある担当者の方がいらっしゃいましたら、こちらからお気軽にご相談ください。
インスタラボ編集部の公式記事。
支援実績11,000件、最大2.6億リーチ可能なFind Model(ソーシャルワイヤー株式会社)が運営しています。
ILライター:M.N・Y.O・T.S・R.S・K.Mの5名で運用。
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