昨今のビジネスシーンでは、インターネットやSNSの発達・普及により多種多様なマーケティング手法が用いられるようになりましたが、その中でも中小規模の事業者でも実施しやすい「ゲリラマーケティング」が注目されていることをご存知ですか?
そこで今回この記事では、
- ゲリラマーケティングとは
- ゲリラマーケティングのメリット
- ゲリラマーケティングの成功事例
などを分かりやすく紹介・解説していきます。
ぜひこの記事を最後まで読んでゲリラマーケティングについて網羅し、今後のマーケティングのバリエーションを増やすためにお役立てください。
ゲリラマーケティングとは
「ゲリラマーケティング」という言葉を聞いたことはあっても、具体的にどんなものを指すのか知らない方もいるのではないでしょうか。
そこでまずは、ゲリラマーケティングの基本情報について解説していきます。
ゲリラマーケティングとは、一言で表すと「低コスト&型破りな広告戦略」のことを指し、これまでの慣習に囚われない自由な発想が消費者から大きな注目を獲得していることが最大の特徴です。
また発想力がマーケティングの核となることから、データ分析能力や論理的思考力だけでなく、ユーモアや多角的な視点が求められることもゲリラマーケティングならではの特徴といえるでしょう。
それに加えて、低予算で実施できることから企業の規模にかかわらず注目されています。
ゲリラマーケティングのメリット
先ほどお伝えしたように、ゲリラマーケティングには「低コストで型破り」という特徴がありますが、そんなゲリラマーケティングには主に以下の3つのメリットがあります。
- 費用対効果が高い
- 記憶に残りやすい
- ターゲットにアプローチしやすい
それでは、以上のメリットについて詳しく解説していきます。
費用対効果が高い
高い宣伝効果があるとされるマス広告を利用する場合は、地域や時期によって違いはあれど1回あたり100万円以上の費用が掛かることも少なくありません。
しかし、ゲリラマーケティングは少ないコストで大勢に対して広告を打ち出すことが可能です。
そのためゲリラマーケティングは、中小規模の事業を展開している企業でも取り入れやすいマーケティング手法といえるでしょう。
また、SNSの発達が後押しする形で、拡散性の高まったゲリラマーケティングの費用対効果は近年さらに高まっていると考えられます。
記憶に残りやすい
斬新なアイデアを使ったゲリラマーケティングは見た人の記憶に残りやすく、同様に商品やサービスに興味を持ってくれる可能性も高まります。
また、SNS上の投稿が人気を獲得した場合は長期間にわたる広告効果が期待できるでしょう。
ターゲットにアプローチしやすい
ゲリラマーケティングは、ターゲットグループを確実に狙うことが可能なマーケティング手法です。
例を挙げると、
- サラリーマンがターゲットの場合…オフィス街のある駅の階段を利用する
- 家族がターゲットの場合…公園のベンチを利用する
などといったように、場所を限られないマーケティング手法だからこそ、確実にターゲットにアプローチできることは大きなメリットといえるでしょう。
ゲリラマーケティングの手法
前章ではゲリラマーケティングのメリットをお伝えしましたが、ゲリラマーケティングを実施する際にはいくつかの手法の中から適切なものを選ぶことが大事であり、その手法は主に以下の6つが挙げられます。
- ストリートマーケティング
- アンビエントマーケティング
- バイラルマーケティング
- アンブッシュマーケティング
- プロジェクションマーケティング
- 体験型マーケティング
それでは、以上の手法について詳しく見ていきましょう。
1.ストリートマーケティング
ストリートマーケティングとは、駅や道路などの公共の場で大胆におこなわれる広告手法のことを指し、ターゲットの日常の中で何度もアプローチしやすいことが特徴です。
また、ストリートマーケティングはインパクトを与えることを重視したものが多く、商品やサービス、ブランドの知名度を上げるためによく採用されています。
2.アンビエントマーケティング
アンビエントマーケティングとは、ambient(周囲)の言葉通り、日常のあらゆる場所に広告を潜ませる手法であり、
- 電車のつり革
- 公園のベンチ
- バスや電車の車体
といった身近なものがアンビエントマーケティングの対象として使われています。
また、アンビエントマーケティングは広告をターゲットに何度も見せることで、商品やサービスの刷り込みを目的としているケースが多いです。
3.バイラルマーケティング
バイラルマーケティングとは、SNSなどの口コミを使った情報拡散の手法のことを指し、特に費用が掛からないことが特徴です。
ただし、
- 広告効果を予測することが難しい
- 広告の内容次第ではブランドイメージを損なう可能性がある
といった点は注意が必要といえるでしょう。
4.アンブッシュマーケティング
アンブッシュマーケティングとは、自社が直接かかわらないイベントなどに便乗する形で広告を打ち出す手法のことで、
- オリンピック期間中にスポーツ関連のCMをつくる
…オリンピックによるスポーツ熱の高まりに便乗している - スポーツクラブにユニフォームを提供する
…試合の映像が流れるたびに自社の広告となる
などがアンビエントマーケティングに当たります。
また、許可のない便乗は著作権法や商標法の侵害になる可能性があるため、アンブッシュマーケティングは許可を得た環境下でのみ採用するようにしましょう。
5.プロジェクションマーケティング
プロジェクションマーケティングとは、ビルやホテルなどの建物に光を投影する「プロジェクションマッピング」などを指し、ゲリラ的に開催することで高い話題性を期待できます。
ただし、
- 高い技術が必要
- 各方面から許可を得る必要がある
- 頻繁におこなうことは難しい
などといった点は注意が必要です。
6.体験型マーケティング
体験型マーケティングとは、顧客の体験を通じて商品やサービス、ブランドのイメージをアピールする手法であり、車の試乗会やワインの試飲会などが体験型マーケティングに分類されます。
通常、広告は企業から一方的に送られるものが多い中で、体験型マーケティングは個人の体験によって広告効果が生まれることから、印象に残りやすいことが魅力といえるでしょう。
ゲリラマーケティングの成功事例5選
ここまではゲリラマーケティングの概要やメリットなどをお伝えしましたが、「実際、ゲリラマーケティングってどうやって使われてるんだろう?」と気になる方もいるでしょう。
そこでこの章では、国内外からピックアップした5つのゲリラマーケティングの成功事例をご紹介していくので、ぜひ今後のマーケティングにお役立てください。
それでは一つずつ詳しく解説していきます。
1.Volkswagen(フォルクスワーゲン)
まず最初にご紹介するのは、1937年にドイツで生まれた自動車メーカーの「Volkswagen(フォルクスワーゲン)」がおこなったゲリラマーケティングです。
フォルクスワーゲンでは、ストリートマーケティングと体験型マーケティングを組み合わせたゲリラマーケティングをおこないました。
動画:Speed up your life - Take the slide! | Volkswagen
上記の事例では、駅の階段にFast Lane(速く進めるコース)と名前を付けた即席の滑り台をつくり、駅の利用者に使ってもらうことで何気ない通勤・通学の風景に驚きや楽しさを与えています。
滑り台を体験してもらうこと自体が製品PRにつながっているわけではないものの、フォルクスワーゲンほどの有名企業であれば「フォルクスワーゲンが面白いことをやった」という事実だけでブランドイメージの向上に成功したといえるでしょう。
2.映画 Carrie(キャリー)
続いてご紹介するのは、1976年製作の傑作ホラー映画「Carrie(キャリー)」を2013年にリメイクした際にPRの一環としておこなわれたゲリラマーケティングです。
こちらの事例では、体験型マーケティングを採用したゲリラマーケティングがおこなわれました。
動画:Telekinetic Coffee Shop Surprise|CarrieNYC
上記の事例では、手を触れずに物体を動かす能力「テレキネシス」を操る少女が、カフェにいた男性と喧嘩をした際にテレキネシスを使って怒りを表すというドッキリで、店内にいる他の客が驚く様子が映し出されています。
このように映画のコンセプトに沿ったドッキリを企画することで、映画に興味を持ってもらうことを目的としており、実際に2023年4月時点で7,800万回以上という驚異的な再生数を記録していることから、ゲリラマーケティングが持つ拡散性や注目度の高さが分かる事例といえるでしょう。
3.Bounty(バウンティ)
続いてご紹介するのは、アメリカのペーパータオルメーカーである「Bounty(バウンティ)」がおこなったゲリラマーケティングです。
バウンティでは、ストリートマーケティングを採用したゲリラマーケティングがおこなわれました。
上記の事例では、誰もが一度は経験したことのある「コーヒーをこぼす」という体験をフィーチャーし、自社製品(ペーパータオル)の必要性を上手く訴求しています。
また、バウンティは吸水力の高さが売りのペーパータオルであり、バウンティのペーパータオルを使えば少しの労力で大量にこぼしたコーヒーでもきれいに拭き取れるよ、というメッセージもあわせて伝えていることもポイントです。
4.NIKE(ナイキ)
続いてご紹介するのは、世界中で人気の大手スポーツブランド「NIKE(ナイキ)」がおこなったゲリラマーケティングです。
ナイキでは、アンビエントマーケティングと体験型マーケティングを組み合わせたゲリラマーケティングをおこないました。
画像:Nike Running Bench|SNEAKER NEWS
上記の事例ではベンチの座面部分がなくなっており、背もたれの中央にはナイキのロゴと「RUN」の文字がプリントされ、「座るより走ろう」といったメッセージが受け取れます。
以上のように、ユーザーにエナジーを与えることが得意なナイキは、ゲリラマーケティングを使ってランニングのモチベーションを上げることで自社製品の訴求につなげています。
5.JAグループ
最後にご紹介するのは、日本の農業者によって組織された協同組合の「JAグループ」がおこなったゲリラマーケティングです。
JAグループでは、ストリートマーケティングと体験型マーケティングを組み合わせたゲリラマーケティングをおこないました。
画像:一週間限定 東京メトロ新宿駅に野菜の柱 JA全中|農業協同組合新聞
上記の事例では、東京メトロ新宿駅内にある柱をニンジンやトウモロコシ、大根などの野菜に変身させ、国産野菜や日本各地のJAファーマーズマーケット(直売所)に興味を持たせることに成功しています。
また、壁面ポスターにはQRコードがプリントされており、コードを読み込むことで特設サイトから野菜を購入できる、という工夫もされていました。
ゲリラマーケティングの注意点
先ほどはゲリラマーケティングの成功事例をご紹介しましたが、実はゲリラマーケティングを行う際には注意しなければならないポイントがあるんです。
というのも、ゲリラマーケティングはターゲットにアプローチしやすい特徴がある一方で、特にSNSではターゲット以外にも広告が届きやすいため。
つまり、内容によってはゲリラマーケティングが不快に感じる人が出てくることが考えられ、ブランドイメージの低下につながる可能性もあるんです。
また、配慮が欠けたゲリラマーケティングは、自社ブランドイメージの低下を招くだけでなく、ゲリラマーケティング自体のイメージが悪くなる可能性も孕んでいます。
以上のことから、ゲリラマーケティングを企画する際には、ターゲットに対するアプローチだけでなく、幅広い属性に対して配慮した広告展開を意識することが大事なポイントといえるでしょう。
まとめ
今回この記事では、ゲリラマーケティングについて詳しく紹介・解説してきましたが、いかがでしたか?
ゲリラマーケティングは、奇抜な発想と適切な配慮のバランスが大切なマーケティング手法です。
そのため企画を綿密に考え抜いて実施することがポイントであり、アイデアを外注することも一つの手といえるでしょう。
また、ゲリラマーケティングに限らずさまざまなマーケティングに興味がある方は、インフルエンサーのリアルな感想を最大2億人以上に届けられるFind Modelにぜひご相談ください。
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