SNSを活用した採用活動「ソーシャルリクルーティング」が現在注目されています。求人誌や求人サイト、転職エージェントなどの従来の手法とは異なる特徴を持つソーシャルリクルーティングには様々なメリットがあります。
今回はSNSを活用した採用活動を行っている企業のアカウントをご紹介しつつ、どのように工夫してSNSアカウントを運用しているのかを見ていきましょう。
目次
SNSを利用した採用活動「ソーシャルリクルーティング」とは
ソーシャルリクルーティングとはSNSを通して行われる採用活動です。従来の採用活動の手法では
- 企業と求職者のコミュニケーションが一方向の繰り返し
- 採用後に期待通りのパフォーマンスが発揮されない
- 企業と求職者の認識の違いから離職者が発生してしまう
といったミスマッチによる問題が少なくありません。
ソーシャルリクルーティングでは企業と求職者で双方向のコミュニケーションが行いやすいSNSが利用されます。求職者は企業に対する理解を深めやすく、企業側からも求職者の人柄や性質を把握しやすい事から、ミスマッチによって発生する問題の解決がしやすいというメリットがあります。採用活動に掛かる時間や金銭的なコストの削減も可能で、採用現場の大幅な改善が期待できるのです。
一方でソーシャルリクルーティングならではのデメリットもあり、継続して情報発信を行わなければならないSNSの性質上、アカウントの運用・管理担当者に少なくない負担が掛かる点や問題のある投稿によって発生する「炎上」のリスクなど、SNSゆえのデリケートな側面も存在しています。
ソーシャルリクルーティングとは何か、詳しい特徴やSNSを使った採用活動を成功させるポイントなどはSNSで採用活動する「ソーシャルリクルーティング」の成功ポイントを詳しく解説の記事にて詳しく解説していますので併せてご覧ください。
Facebookで採用活動をしている企業事例
それでは、実際にSNSを活用して採用活動を行っている企業をご紹介してまいります。はじめにFacebookで採用活動をしている企業事例をご紹介します。
楽天グループ株式会社 採用チーム
画像:@RakutenRecruiting |Facebook
Facebookページ:@RakutenRecruiting |Facebook
「楽天グループ株式会社 採用チーム」は楽天グループ株式会社が採用活動に利用しているFacebookアカウントです。企業の公式アカウントとは別に採用活動専用のアカウントとしてこちらのアカウントを運用しています。2023年1月現在のフォロワー数は約6,200人です。
「楽天グループ株式会社 採用チーム」では、楽天グループ株式会社で実際に働いている人々にフォーカスした投稿が多いのが大きな特徴です。様々な部署で働く多数の社員の紹介やインタビューが投稿されており、社内の雰囲気が伝わりやすくなっています。親しみの持てる雰囲気で「この企業で働きたい」という感想を抱きやすいよう効果的に演出されているのが大変印象的です。
Inside Amazon
画像:@AmazonJapanCareer|Facebook
Facebookページ:@AmazonJapanCareer|Facebook
「Inside Amazon」は世界的ECサイト「Amazon」の日本支社であるアマゾンジャパン合同会社のFacebookアカウントです。2023年1月現在のフォロワー数は約22万5,000人となっています。
こちらのアカウントの最大の特徴はオンラインセミナーを実施している点です。配信中にリアルタイムで質疑応答が行われ、質問に対する回答がされます。
オンラインセミナーは、求職者の疑問をその場で解消し、自社理解を深めてもらえる効果的な方法です。
Webセミナーを開催する企業は数多くありますが、Facebookを含む様々なSNSから告知を行うことで、興味のあるユーザーを取りこぼすことなくリーチすることができます。また、自社のFacebookアカウントのフォロワー確保に大変意欲的な事例にもなっています。
DMM.com Group 採用・広報
Facebookページ:@DMM.comHRPR|Facebook
「DMM.com Group 採用・広報」はECサイトやビデオ・オン・デマンドをはじめ、オンライン英会話サービスやエネルギー事業、通信事業などの様々な事業を展開しているDMM.comグループのFacebookアカウントです。2023年1月現在のフォロワー数は約1,800人となっています。
「DMM.com Group 採用・広報」の特徴はオウンドメディアのコンテンツ投稿が多い点です。これは様々な事業を展開している「DMM.comグループ」ならではの特徴ですね。
オウンドメディアは企業による「濃い」情報発信を通して自社への理解を深めてもらえるとともに、SEOによる集客も見込めるため大きく注目されています。
本ケースではFacebookの採用ページをオウンドメディアへの入り口にして、さらに豊富なコンテンツを見てもらうことで会社への理解を促しています。社員のインタビューや社内研修・勉強会に関する記事などの投稿も多く、企業の特徴や社内の雰囲気がわかりやすくなっておりオウンドメディアとSNSを上手く活用させている事例です。
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Twitterで採用活動をしている企業事例
続いてTwitterで採用活動を行っている企業事例をご紹介します。
日本オラクル採用(鈴木宏彦)
Twitterアカウント:@Oracle_JP_Saiyo|Twitter
「日本オラクル採用(鈴木宏彦)」は情報システム構築のためのソフトウェア・ハードウェア製品の製造・販売やソリューション・サポート事業を主に展開している日本オラクル株式会社が採用活動を行っているTwitterアカウントです。2023年1月現在のフォロワー数は約1,520人です。
将来のキャリアアップには、地道な努力や経験の積み重ねも、重要であると思います。エンジニアやコンサルタントであれば、ベンダー資格や公的資格の勉強。積極的なプロジェクトへの参画など、日々の努力は、自分のキャリアに結び付くと思います。きっとうまくいきます❗ pic.twitter.com/I9dHAjcwMo
— 日本オラクル採用(鈴木宏彦) (@Oracle_JP_Saiyo) December 5, 2022
こちらのアカウントの特徴は採用担当者が個人名を公開し、採用者視点での情報発信と運営を行っている点です。
求人情報や企業情報の他に、採用担当者の視点で就職活動を有利に運ぶためのコツや心構えについて投稿されており、求職者にとって有益な情報を多く投稿されているアカウントとなっています。
DeNA新卒採用
Twitterアカウント:@DeNA_shinsotsu|Twitter
「DeNA新卒採用」はモバイルゲームの開発・配信事業を主にSNSの運営やEC事業などを行う株式会社ディー・エヌ・エーが採用活動を行っているTwitterアカウントです。2023年1月現在のフォロワー数は約5,170人となっています。
\2024年度 本選考 受付開始🎉/
2024年4月入社の方を対象としたDeNAの本選考のサイトがオープンしました。
本日よりエントリー受付を開始します!▼詳細はこちらからhttps://t.co/zdXYDQhbPf
あなたのエントリーお待ちしております🙌✨
— DeNA新卒採用 (@DeNA_shinsotsu) October 3, 2022
こちらのアカウントは採用に関わる情報が大変豊富な点が特徴です。
- 求人情報
- 企業情報
- インターンシップ情報
- 社員の紹介
- 各種イベントの紹介
など多くの情報が集約されており、こちらのアカウントをフォローするだけで株式会社ディー・エヌ・エーの採用情報の多くを知ることができるようになっています。
また、情報を一カ所に集めることでユーザビリティを高めるとともに、通知機能もあるので情報の見逃し防止につながるメリットもあります。企業と求職者の双方の機会損失を抑えることができる事例です。
講談社 採用担当
Twitterアカウント:@kodansha_saiyou|Twitter
「講談社 採用担当」は大手総合出版社である株式会社講談社が採用活動を行っているTwitterアカウントです。2023年1月現在のフォロワー数は約1万人です。
— 講談社 採用担当 (@kodansha_saiyou) March 7, 2022
「講談社 採用担当」の特徴は親しみの持てる雰囲気づくりがされているです。企業の公式アカウント、それも採用関係の情報を発信するアカウントともなれば投稿内容もビジネスライクで堅苦しいものが多くなりがちです。
しかし、こちらのアカウントでは記号や顔文字などが多く用いられており、やや軽いノリの文章やハッシュタグが投稿されていたりと企業の公式アカウントとしては「ゆるめ」の雰囲気です。
求職者は緊張しがちなものですし、雰囲気は固くない方が親しみやすくなりますので、アカウントの雰囲気の良さは魅力的なポイントと言えるでしょう。
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Instagramで採用活動をしている企業事例
次にInstagramで採用活動を行っている企業アカウントをご紹介します。
三井住友カード株式会社 新卒採用
Instagramアカウント:@smcc_recruit|Instagram
「三井住友カード株式会社 新卒採用」は株式会社三井住友フィナンシャルグループ傘下でクレジットカード事業などを行う三井住友カード株式会社が採用活動を行っているInstagramアカウントです。2023年1月現在のフォロワー数は約1,900人となっています。
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「内定者リレー」と称して内定者が一人ひとり自己紹介などをする投稿など、独自の面白い企画が行われているのが特徴です。社風や雰囲気を求職者が把握しやすいように社員の素顔にフォーカスした内容の投稿が中心となっています。
アダストリア新卒採用担当
画像:@adastria_recruit|Instagram
Instagramアカウント:@adastria_recruit|Instagram
「アダストリア採用担当」は東京都渋谷区に本社を置くカジュアル衣料品および雑貨を中心としたSPAブランドを展開している株式会社アダストリアが採用活動を行っているInstagramアカウントです。2023年1月現在のフォロワー数は約2,800人です。
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社内の雰囲気や社員をピックアップした投稿が多く、各種イベントに関する投稿なども行われています。アパレル店員を目指す人にとって有益な情報も発信されている点は大変魅力的です。Instagramはファッションとの相性が良いため、アパレル業界の企業がソーシャルリクルーティングを行うには最適のSNSと言えるでしょう。
現在ではインスタ映えするフォトジェニックな写真に加え、有益な情報を得られるアカウントが支持され人気となる傾向にあります。自社の専門的な知見を情報発信することで、就職活動としても専門知識を得るメディアとしても役立つアカウントとして人気を集めることにつながります。
(株)クーロンヌジャポン 裏舞台(採用)
画像:@couronne_recruit|Instagram
Instagramアカウント:@couronne_recruit|Instagram
「(株)クーロンヌジャポン 裏舞台(採用)」は茨城県南を中心にベーカリーを展開する株式会社クーロンヌジャポンが採用活動を行っているInstagramアカウントです。2023年1月現在のフォロワー数は約2,100人となっています。
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「笑顔元気溢れる会社日本一」を目指すとあるように、働く社員の方々の笑顔の写真が数多く投稿されています。投稿のテーマが統一されているため、見た人に社風と企業理念がはっきり伝わるアカウントとなっています。
Instagramではプロフィールをパッと見た時の印象によりアカウントをフォローするかどうかが決まります。写真の雰囲気を統一して自社の世界観を上手く伝えることでユーザーから興味をもってもらえるようになりますので、トンマナを意識しながらアカウント運営を行いましょう。
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YouTubeで採用活動をしている企業事例
続いてYouTubeで採用活動を行っている企業事例をご紹介します。
ソニーミュージックグループ新卒採用
YouTubeチャンネル:ソニーミュージックグループ新卒採用|YouTube
「ソニーミュージックグループ新卒採用」はソニーグループ傘下で音楽系事業を行っているソニーミュージックグループが採用活動を行っているYouTubeチャンネルです。2023年1月現在のチャンネル登録者数は約1,360人となっています。
動画投稿数は少なくチャンネル登録者数も決して多くないものの、動画の視聴回数はとても多いのが印象深いです。
中でもお笑いコンビ「バイきんぐ」の小峠さんがバーチャル面接官に扮する動画は約17万回を超える視聴回数(2023年1月現在)を誇っており、内容の面白さもさることながら動画の視点を360度回転させることができるなど、大変凝った作りで非常に高い評価を得ています。
就職活動が活発なZ世代やミレニアル世代は動画に費やす時間が増えているため、本事例のように人気芸人を起用したり360度体験型動画を提供するなどの興味を持ってもらいやすい動画による訴求は有効な手段となります。
他の動画についても高い編集技術が見受けられ、今後どのような動画が投稿されるのか非常に楽しみなアカウントです。
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サイバーエージェント新卒採用
YouTubeチャンネル:サイバーエージェント新卒採用|YouTube
「サイバーエージェント新卒採用」はメディア事業、インターネット広告事業、ゲーム事業をメインに行う「株式会社サイバーエージェント」が採用活動を行っているYouTubeチャンネルです。2023年1月現在のチャンネル登録者数は約3,570人となっています。
「サイバーエージェント新卒採用」の特徴はYouTubeライブ配信でOBOG訪問を積極的に行っている点です。
ライブ配信では視聴者がチャット投稿も行うことができるため、リアルタイムで直接質問をすることも可能です。
また、上記のようなYouTubeライブ配信はチャンネル登録をしているユーザーのみ質問することができるため、チャンネル登録者数を伸ばすことにも繋がる上、少しでも企業に興味を持っているユーザーに今後の情報も届けやすくなります。
ライブ配信の他にも、下記投稿のような面接で聞きづらいことに回答するなど、ユーザーに企業へ親近感を持ってもらうためのコンテンツを多く投稿されている点も良いポイントです。
動画によるアプローチは、情報が最も詳細に伝わりやすいというメリットがありますので、YouTubeチャンネルを活用して親和性を高めることもできるでしょう。
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LINEで採用活動をしている企業事例
最後にLINEで採用活動を行っている企業・組織の事例をご紹介します。
LINE株式会社
画像:LINE新卒採用
LINE公式アカウント:LINE新卒採用
「LINE新卒採用」は、日本最大のメッセンジャーSNSである「LINE」などのサービスを提供しているLINE株式会社が運営している公式アカウントです。登録者数は2023年1月時点で19.5万人と非常に多くの学生が登録しています。
画像:LINE新卒採用
こちらの公式アカウントでは、同社のインターンシップ専用ページへの入り口として活用しています。
LINEではURLリンクを設定することができ、新着情報をメッセージとして登録者へ直接送ることができます。
特に、人気SNSである「LINE」の利用者は日本で8,600万人以上となっており、大半の日本人が日常的に利用されていることから学生との接点を作る上ではかなり心強いSNSです。
普段のコミュニケーションで使われるSNSのため閲覧頻度も多く、通知により学生が情報の見逃しを防ぎやすい点もLINEのメリットといえるでしょう。
【新卒採用2023】アコム株式会社
LINE公式アカウント:【新卒採用2023】アコム株式会社
「【新卒採用2023】アコム株式会社」は、三菱UFJフィナンシャル・グループが運営する消費者金融事業者「アコム株式会社」のLINE公式アカウントです。登録者数は2023年1月現在で約1,700名となっています。
【新卒採用2023】アコム株式会社では、可愛いキャラクターや先輩社員による仕事内容紹介を漫画によって知ることができます。LINE公式アカウントから漫画のページへとアクセスすることが可能です。
消費者金融といういわゆる「お堅い」イメージを持つ人に向けて、イラストや漫画を使うことで緊張感を無くし、より親しみやすい雰囲気を作ることに成功しています。
「この企業・組織に属したいか」という問いに対して雰囲気(社風)を重視する人も少なくないため、和やかな雰囲気によって親近感を持ってもらう方法は良い取り組みと言えるでしょう。
まとめ
日本においては未だソーシャルリクルーティングが一般的ではなく、アカウントのフォロワー数やチャンネル登録者数があまり振るわない印象です。しかしながら、どの企業もそれぞれ非常に特徴的で実際に採用活動の効果を発揮していることがお分かりいただけたかと思います。
一言でソーシャルリクルーティングと言ってもSNSの種類によって傾向が大きく異なってきます。ソーシャルリクルーティングを行う際には自社のイメージや採用したいターゲット層、演出したい世界観などに応じて利用するSNSを選択することが重要なポイントです。
SNSの場合は他の媒体と異なり、社内の雰囲気を伝えやすいのが大きな特徴でもあるので、この長所は活かしていくべきでしょう。
SNSで採用活動する「ソーシャルリクルーティング」の成功ポイントを詳しく解説の記事では、各SNSの特徴や活用方法を詳しく解説していますので併せてご活用ください。