SNSの需要が高まり、誰とでもつながりやすくなった現代社会。
そんな状況で昨今問題となっているのが「ネットストーカー(サイバーストーカー)」です。
ストーカーとはご存じの通り特定の人物を付け回す行動で、日本でも問題視され始めた2000年には「ストーカー行為等の規制等に関する法律」が制定されました。
ただ2010年代以降、個人の肉体的接触を狙ったストーカーだけではなく、インターネットを利用して特定の人物にしつこく付きまとうネットストーカーが増えています。
総務省発表の「平成27年版 情報通信白書」によると、SNS利用者の15.4%、20代以下に限定すると26%が「ネット上でトラブルを経験している」というデータもあります。
また、弊社が実施したインスタグラマーへのアンケートの結果、13.2%が「ネットストーカーの被害に遭った」と回答しています。
近年ではインフルエンサーだけでなく、企業アカウントでも仕事の一環で顔出し実名出しをする人が増えており、被害に遭うのあ個人に限らない時代になってきました。
さらにネットストーカーは現実のストーカーと比べ、「気づかないうちにネットストーカーになっていた」という人の割合も多いのです。
本記事では、ネットストーカーとはなにか、そしてその対処法をお教えします。
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目次
何をするとネットストーカーになるのか?
あらためてネットストーカーを一言で説明すると、「インターネットを悪用してストーカー行為を働き、特定の人物にしつこく付きまとう行為」です。
では実際にどんな行為がネットストーカーにあたるのか、具体例を挙げていきましょう。
SNSでの個人情報特定・流出
昨今のネットストーカーで最も多い事例がこちらです。
SNSにはプロフィール欄やアイコン写真をはじめ、投稿内容や写真・動画など、さまざまな情報を発信できます。
それだけに、たとえハンドルネームだったとしても個人情報を特定可能になる場合があります。
例えば高校生が学校名や部活を晒していた場合、インターネットに掲載されている大会の成績などから個人名を特定されるかもしれません。
中には「家から見える景色をアップしただけで家の場所を特定」、さらには「アイドルの写真の瞳に映った景色で最寄り駅を特定」といったケースも。
さらには、そのストーカーから恨みを買っていた場合、ネット上に個人情報を洗いざらい晒されてしまうかもしれません。
住所がバレていると、覗きや器物損壊、窃盗、宅配ピザなど出前ものの大量注文、さらには所属する学校や会社への嫌がらせなど、物理的にダメージがある被害にも発展しかねません。
近年ではドローンを使った覗きなど、物理的な被害にも最新の技術を使うこともあります。
ネット上での誹謗中傷
誹謗中傷をする人には従来のストーカーのように「愛がいつの間にか憎しみに変わり、嫌がらせをするようになったパターン」と、ネットストーカー特有の「最初から憎んでいたパターン」の2種類あります。
ただ、どちらにせよ悪質なものが多いのは変わりありません。
- 対象者のデマを流し名誉棄損する
- 匿名掲示板などにストーキング対象者の誹謗中傷を書き込む
- 対象者が表現者、または商売人の場合、作品や商品に低評価のレビューを書き込む
など、その方法は多岐にわたります。
対象者に成りすます
SNSという匿名性を逆手に取り、対象者に成りすまして被害を与える方法です。
例えば、
- SNSで偽物のアカウントを作り、他者の誹謗中傷をさも対象者がやっているかのように仕向ける
- アカウントを乗っ取り、ネットリサーチだけでは知りえなかった個人情報を収集する
などが挙げられます。
成りすましだったと知らない相手に対して評判を下げることもあり、見えない形での被害が拡大してしまいます。
対象者への過度な好意の押し付け
このパターンはこれまでの上記パターンとは異なりあくまで「好意を示す」ことなので、自身がネットストーカーになっているとは一番気が付きにくいので注意が必要です。
例えば、元恋人や一度フラれた相手に対してLINEなどのSNSでしつこく交際を迫る行為は、本人は「熱い思いを伝えているだけ」と思っていても、すでに相手にその気がなく嫌がっている場合はネットストーカーとなってしまいます。
対象者が恋人でなくアイドルや有名人であっても、しつこくDMを送る行為は同様にネットストーカーとなります。
ネットストーカーをすると罪に問われるのか?
ネットストーカーはストーカーと異なり肉体に危害が加えられないパターンも多く、それゆえ泣き寝入りしている被害者もいるかもしれません。
では、ネットストーカーの行為は罪に問われるのでしょうか?
日本では2000年に「ストーカー行為等の規制等に関する法律」が制定されたと前述しましたが、SNSによるストーカー行為は該当していませんでした。
ただ、2017年に法律が改正され、
- 拒否されているのにもかかわらずSNSでメッセージを連続送信する行為
- ブログに執拗な書き込みをする行為
が規制対象に追加されました。
禁止命令も見直され、事前の警告がなされていない場合であっても被害者に危険が差し迫っている時には、公安委員会が加害者に禁止命令を出すことができるようになりました。
罰則も「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」に引き上げられ、禁止命令に違反してつきまとい等のストーカー行為を繰り返しはたらいた場合は、さらに厳しく2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科せられます。
さらに2021年にも法改正され、
- 位置情報を知らせる「位置情報記録・送信装置(GPS)」を相手の車に取り付ける
- スマートフォンにインストールしたアプリなどの所持品から位置情報を無断で取得する
といった行為も規制対象に加えられています。
今後もネットストーカーの手口に合わせて法改正は進んでいくことでしょう。
ネットストーカーの被害にあった場合、被害情報をなるべく細かく調べて証拠を控えるようにし、警察や弁護士に相談するようにしましょう。
ネットストーカーに遭わないためには?
ネットストーカーは罪の対象になりえますが、被害に遭わないに越したことはありません。
被害を未然に防ぐにはどうすればよいのでしょうか?
個人情報が特定できるものを出さない
SNSは多くの情報を発信できるがゆえ、どの情報を出すのか見極めが必要です。
たとえば大学に合格した新入生が入学前に「#春から○○大」「#○○生と繋がりたい」といったハッシュタグでつながりを持とうとすることがあります。
入学前から仲間ができるのは良い半面、このタグを付けて投稿したアカウントに対し、DMで性的な画像送付や勧誘を受けるという事件も発生しています。
このように、ハッシュタグだけでも被害に遭う可能性があるのです。
特に写真や動画は特定される要素をネットストーカーに多く与えてしまうので注意が必要です。
場合によっては店で撮影した写真をその場ではなく家でツイートするようにするなど、時間差での投稿も特定されないための有効な手段でしょう。
また、企業の公式アカウントで顔出ししている場合、すでに会社名と顔は知られていることになるので、特に注意が必要です。
過激な意見や特定の相手へのバッシングを控える
ネット上で顔を出していない場合は特に気が大きくなり、普段は面と向かって言えないような過激な意見やバッシングを言ってしまいがちです。
程度によってはその行為自体が違法になる可能性もありますが、そのレベルまで達していなくとも、誰かを陥れたいと考えるネットストーカーの標的になる可能性があります。
特に企業の公式アカウントの場合、バッシングが企業のイメージを損なう上、不買運動などにつながる可能性も十分に考えられます。
早期にSNSアカウントを乗り換える
たとえこちらに落ち度がない場合でも、難癖をつけられてネットストーカーの被害に遭う可能性もあります。
その場合、それまでの他のつながりを断ってしまうことにもつながりますが、あまり被害が広がらないうちにSNSアカウントを別の物に乗り換えることも有効な手段です。
最初から複数のアカウントを作成し、「趣味用」「仕事用」など分けておくと、一つのアカウントで被害に遭った時のリスクヘッジにもつながります。
ネットストーカーとのやり取りをしない
ネットストーカーはその特性上、「文面だけで相手とやり取りする」ということも可能です。
そのため、被害の初期段階で被害者が「やめてほしい」と相手に伝えることもできます。
しかし、そのやり取りは時に相手の加虐精神を煽ることになり、「これで苦しいなら、もっとひどいことをすればより苦しむはず」と考えさせてしまうかもしれません。
誹謗中傷などには返答せず、スクショを撮影するなどして証拠を残すだけに留めましょう。
相談窓口
ネットストーカーはストーカーと同じく、相手の感情が憎しみに変わったときに起こることが大半です。
自分に落ち度がある場合でもない場合でも、ふとしたきっかけで起こってしまうことが多いのです。
個人のSNSアカウントでも被害は大きいですが、企業のSNSアカウントで被害に遭ってしまうと、会社自体の経営に大きな影響を及ぼしてしまうかもしれません。
ネットストーカーに遭った場合は感情的になりすぎず、下記の相談窓口に連絡しましょう。
女性の人権ホットライン(法務局・地方法務局)
性的な画像を含むインターネット上の人権侵害情報についても相談に応じており、削除依頼の方法などの助言に加え、事案に応じてプロバイダ等に対する削除要請を行います。
0570-070-810(最寄りの法務局・地方法務局につながります)
受付:平日の午前8時30分~午後5時15分
違法・有害情報相談センター
インターネット上の名誉毀損、プライバシー侵害、人権侵害などに関する書き込みへの対応や削除要請方法、その他トラブルに関する対応方法などについて、アドバイスします。
セーフライン
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