
2024年に、訪日外国人が過去最高となる年間約3,700万人を記録したことをご存じでしょうか?
コロナ後のインバウンド効果により、2025年現在も外国人観光客数は毎月過去最高を更新し続けています。
こうした背景から、観光業に関わる多くの企業がSNSマーケティングを駆使して外国人観光客にアプローチし、大きな経済効果を生み出しています。
しかし一方で、インバウンド向けに自社製品やサービスの宣伝を行いたくても、なかなかコストを掛けられない中小企業や店舗は少なくありません。
そこで今回は、インバウンド対策×SNSマーケティングに活用できる様々な補助金を紹介します。
SNSマーケティングの費用を抑え、外国人観光客へのアプローチを強化したい担当者さまにとって必見の内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
※本メディアの掲載事例は、弊社で取り扱っている事例以外にも他社様の事例もご紹介しております。詳細は各URLをご確認ください。
目次
補助金制度とは?
まずは、補助金について確認していきましょう。
補助金とは、国や自治体の政策目標を達成するため、事業者に対して事業資金を給付する制度のことを指します。
事業者は補助金を利用することで、コスト面の負担を減らし、より積極的に事業投資を行いやすくなります。そのため、資金の調達に悩まされる中小企業や小規模事業者にとって嬉しい制度と言えるでしょう。
しかしながら、事業にかかる費用が全額支給されるわけではなく、補助額には上限が設定されていることがほとんどです。
また、補助金は融資ではないため返済する必要はありませんが、補助金を貰うためには審査で採択される必要があり、申請したら必ずもらえるものではないという点は留意しておきましょう。
補助金を貰うまでの大まかな流れは、
- 「補助金のリサーチ」
- 「申請」
- 「採択」
- 「事業の実施」
- 「補助金の交付」
となり基本的に後払い(清算払い)です。
つまり、実際に正しく事業を実施されたかどうか、確認後に初めて受け取ることができるお金です。
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補助金制度の目的
補助金制度の目的を一言で言えば、経済を活性化することにあり、補助金を受けた事業が発展することで社会の活性化につながります。
また、補助金には様々な種類がありますが、企業が設備投資により生産性向上や業務効率化に繋げることが、多くの補助金の狙いとされています。
特に昨今は、インバウンド効果で外国人観光客が急激に増加しており、外国語の併記や外国人観光客向けの商品開発などに掛かるコストも当然増えます。
持続的に外国人観光客を呼び込み、日本経済の活性化や企業発展に繋げるためにも、積極的に補助金を利用することが重要になるでしょう。
インバウンド対策にSNSマーケティングが重要な理由
最近は地方都市もインバウンドの恩恵を受けており、大都市以外の街でも外国人観光客の姿が目立つようになりました。
かつては地方都市に関する情報を外国の方が知る手段は多くありませんでしたが、最近はSNSを活用する地方の飲食店や観光地が増え、
- 海外でもバズるような言語に頼らないショート動画
- 投稿のテキストや概要欄に英語表記を用いる
といった工夫でインバウンドマーケティングに成功している事例が増えています。
また、外国人インフルエンサーやグローバルに活躍する著名人とのタイアップ施策では、一気に海外での認知度を獲得することが期待できます。
主要SNSのほとんどは全世界共通のプラットフォームであるため、インバウンド対策にSNSを活用することは非常に合理的な手段と言えるでしょう。
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SNSマーケティングに活用できる主な補助金制度一覧
SNSマーケティングに活用できる主な補助金制度には、次のようなものが挙げられます。
- IT導入補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- 事業再構築補助金
- ものづくり補助金
- 岩手県地方創生起業支援金(地方自治体)
それぞれどのような補助金制度なのか詳しく解説していきます。
IT導入補助金
画像:IT導入補助金2025
IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者が業務効率化やDX(デジタルトランスフォーメーション)のためにITツールを導入する経費の一部を補助し、生産性向上を支援する制度です。
2025年度の主なポイント
- 最低賃金の引き上げに取り組む事業者に対し、補助率を最大2/3に引き上げ
- ITツール導入後の保守・サポート費用も新たに補助対象に
- サイバー攻撃などへのセキュリティ対策支援を強化
制度概要
- 提供機関: 経済産業省(中小企業庁)
- 対象経費: ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費など
- 補助上限額: 5万円~450万円
- 補助対象者: 全国の幅広い業種の中小企業・小規模事業者
申請フロー
- IT導入補助金の理解を深める
自社の課題と照らし合わせ、制度の活用を検討します。 - 「GビズID」の取得と「SECURITY ACTION」の宣言
申請に必須となる2つの事前準備を済ませます。 - IT導入支援事業者・ITツールの選定
補助金事務局に登録されたパートナー事業者と、導入するツールを決定します。 - 交付申請
IT導入支援事業者と共同で事業計画を作成し、『申請マイページ』から電子申請を行います。 - 交付決定
審査に通ると交付が決定され、ITツールの導入・支払いを進めることができます。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が自社の持続的な発展のために行う販路開拓や生産性向上の取り組みを支援する制度です。
制度の主なポイント
- 申請にあたり、地域の商工会議所・商工会と連携して事業計画を作成
- ウェブサイト制作や広告宣伝費だけでなく、新商品開発や店舗改装など幅広い経費に活用可能
- インボイス発行事業者への転換や賃上げで、補助上限額が大幅に上乗せ
制度概要
- 提供機関: 経済産業省(中小企業庁)
- 対象経費: 広報費、ウェブサイト関連費、店舗改装費、新商品開発費、設備投資費など
- 補助上限額: 通常枠 50万円(特別枠は最大200万円)
- 補助率: 2/3
- 補助対象者:
業種 | 常時使用する従業員の数 |
商業・サービス業(宿泊・娯楽業除く) | 5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業その他 | 20人以下 |
申請フロー
《注意》 申請は電子申請システム「Jグランツ」のみで、郵送は受け付けていません。
- 事前準備(GビズIDの取得)
電子申請に必須となる「GビズIDプライム」のアカウントを取得します。 - 事業計画の作成と相談
販路開拓のための事業計画を作成し、地域の商工会議所・商工会に相談の上、「事業支援計画書」を発行してもらいます。 - 申請
必要書類を揃え、「Jグランツ」から電子申請を行います。 - 審査・交付決定・事業開始
審査を経て、まず「採択通知(計画の合格通知)」が届きます。その後、経費の精査などを経て「交付決定通知(金額の確定通知)」が届き次第、補助対象の事業を開始できます。
事業再構築補助金
画像:事業再構築補助金
事業再構築補助金とは、ポストコロナ時代の社会変化に対応するため、思い切った事業の転換や新しい市場への挑戦を考えている中小企業を支援する、大規模な補助金制度です。
制度の主なポイント
- 市場が縮小している事業から、ITなどの成長分野へ転換する取り組みを支援
- 補助額が最大3,000万円(賃上げで最大4,000万円)と非常に大きい
- 条件を満たせば、SNSマーケティングなどの広告宣伝費も補助対象になる
制度概要
- 提供機関: 経済産業省(中小企業庁)
- 対象経費: 建物費、機械装置・システム構築費、広告宣伝・販売促進費、研修費など
- 補助上限額: 3,000万円(短期に大幅な賃上げを行う場合は最大4,000万円)
- 補助率:
・中小企業:1/2(大規模な賃上げを行う場合は2/3)
・中堅企業:1/3(大規模な賃上げを行う場合は1/2) - 補助対象者: 以下のいずれかに該当する事業者
・国内市場の縮小など、構造的な課題に直面している
・ポストコロナ社会に対応した成長分野へ、大胆な事業再構築に取り組む
申請フロー
- 事前準備(GビズIDの取得)
電子申請に必須となる「GビズIDプライム」のアカウントを取得します。 - 事業計画の策定と電子申請
専門家などと相談の上、事業計画書を作成します。
準備が整ったら、電子申請システムにGビズIDでログインし、事業内容の入力や必要書類の添付を行い、申請を完了させます。 - 審査・採択・交付決定
事務局による審査が行われ、通過すると「採択」となります。
その後、補助金額が正式に確定する「交付決定」を経て、事業を開始できます。
ものづくり補助金
画像:ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業が取り組む革新的な製品・サービス開発や生産プロセス改善のための設備投資などを支援する制度です。
特に、海外展開を目指す事業者向けの「グローバル枠」では、インバウンド対策や海外への情報発信に繋がる経費も対象となります。
制度の主なポイント(グローバル枠)
- 海外市場を開拓するための新製品・サービス開発やブランディングを強力に支援
- 海外向けのSNS広告やプロモーション費用も補助対象になる
- 大幅な賃上げを行うことで、補助上限額が最大1,000万円上乗せされる
制度概要(グローバル枠)
- 提供機関: 経済産業省(中小企業庁)
- 対象経費: 機械装置・システム構築費、海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費など
- 補助上限額: 3,000万円
- 補助率:
・中小企業:1/2
・小規模事業者:2/3 - 補助対象者: 海外での事業展開を目的とし、新製品・サービスの開発・改良や、新たな販路開拓に取り組む事業者
申請フロー
- 事前準備(GビズIDの取得)
電子申請に必須となる「GビズIDプライム」のアカウントを取得します。 - 事業計画の策定と電子申請
海外展開を含む具体的な事業計画書を作成します。
準備が整ったら、電子申請システムにGビズIDでログインし、事業内容の入力や必要書類の添付を行い、申請を完了させます。 - 審査・採択・交付決定
事務局による審査が行われ、通過すると「採択」となります。
その後、補助金額が正式に確定する「交付決定」を経て、事業を開始できます。
岩手県地方創生起業支援金(地方自治体)
画像:岩手県中小企業団体中央会
岩手県地方創生起業支援金は、岩手県が抱える地域課題の解決を目的とし、デジタル技術などを活用して新たに起業する方を支援する制度です。
制度の主なポイント
- 岩手県内での新たな起業にかかる幅広い経費を支援
- SNS活用などの広報費やマーケティング調査費も補助対象となる
- 国の補助金など、他の補助金との併用が可能な場合がある(※)
※注意:併用を検討する際は、双方の補助金の要項をよく確認し、必ず各提供元に併用が可能か事前に問い合わせましょう。
制度概要
- 提供機関: 岩手県中小企業団体中央会
- 対象経費: 人件費、店舗賃借料、設備費、広報費、マーケティング調査費など、創業にかかる経費
- 補助上限額: 200万円
- 補助率: 1/2以内
- 補助対象者: 岩手県内で新たに法人登記や開業届を行う方など(詳細な要件あり)
申請フロー
- 事業計画の策定と応募書類の準備
地域課題の解決に資する事業計画を作成し、公募要領に従って申請書類を準備します。 - 応募書類の提出
定められた公募期間内に、必要書類を提出します。 - 審査・採択・事業開始
事務局による審査(書類審査・面接など)が行われ、通過すると「採択」となります。その後、所定の手続きを経て事業を開始できます。
補助金が採択されるための3つのポイント
補助金の申請を無事に採択させるためには、念入りな事前準備が不可欠です。
安定した財務状況
事業者の財務状況は、審査における重要な評価ポイントです。事業の継続性や将来性がなければ、「補助金を有効に活用できないのではないか」という懸念を審査員に与えてしまいます。
可能な限り、黒字決算の状態で申請できるよう、安定した経営基盤を整えましょう。
社会への貢献度
補助金は、事業を通じた地域経済の活性化や社会課題の解決を目的としています。そのため、申請時には自社の事業が社会にどう貢献できるのかを明確に記述することが求められます。
特に、賃上げや雇用の拡大は高く評価される傾向があり、一部の補助金では、賃上げを計画に盛り込むことで補助上限額が大幅に上乗せされる優遇措置もあります。ぜひ積極的に検討しましょう。
専門家の活用
申請期間中、事務局には数多くの申請書類が届くため、その質が採択を大きく左右します。ノウハウに不安がある小規模事業者の場合、専門知識を持つプロの力を借りるのも一つの手です。
中小企業診断士や行政書士などに相談すれば、自社に最適な補助金の提案や、質の高い申請書類の作成サポートなどが受けられます。専門家への相談は、事業主の不安を解消し、本来の業務に集中できるというメリットもあるでしょう。
補助金を活用したマーケティング施策成功事例
最後に、実際に補助金を活用したマーケティング施策事例について解説していきます。
【ものづくり補助金】株式会社プリムローズガーデン|SNSライブ配信で海外顧客を獲得
鳥取県で結婚式場を運営する株式会社プリムローズガーデンは、「ものづくり補助金」を活用し、海外市場の開拓に挑戦しました。
施策内容
- ターゲットである香港のカップル層に対し、SNSでのライブ配信を実施。
- 配信を通じて現地の反応やニーズをデータとして収集し、インバウンド顧客をスムーズに受け入れる体制を構築。
成果
- 約178組の海外顧客誘致に成功し、地域の観光事業者との連携も強化。地域経済の活性化に大きく貢献しました。
- ライブ配信を通じて、これまで気づかなかった地域の新たな魅力発見にも繋がりました。
この事例は、補助金を活用したSNSマーケティングが、海外での認知度向上と具体的な顧客獲得に直結することを示した好例と言えるでしょう。
参考:山陰の観光とウエディングによる『旅するウエディング』の展開
【小規模事業者持続化補助金】ダイブイン浜|HP改修とSNS連携で新規顧客が増加
施策内容
- 新規顧客獲得のため、ウェブサイト(HP)をリニューアル。
- 保有する船にGPS魚群探知機を設置し、サービスの魅力を向上。
成果
- リニューアルしたHPからSNSへの流入が増え、Instagramのフォロワー数が約2倍に増加。
- SNS経由で訪れる新規顧客が増え、持続的なファン獲得に繋がった。
事業者の方からは、「費用面でためらっていたHPリニューアルを、補助金が後押ししてくれた」との声も上がっており、補助金が事業の新たな一歩を踏み出すきっかけになることが分かる事例です。
参考:利用客の利便性をアップする機材導入をHPでPRし顧客満足度増
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海外フォロワー2,000人増!インバウンド向けInstagramキャンペーン&広告配信の成功事例を解説!
【IT導入補助金】株式会社中村製作所|ECサイトとSNS活用で新たな販路を開拓
航空宇宙部品などを製造する株式会社中村製作所は、「IT導入補助金」を活用し、BtoC市場への新たな挑戦を開始しました。
施策内容
- 自社製品の家庭用調理器具(萬古焼土鍋)を販売するため、ECサイトを構築。
- ECサイトへの流入を増やすため、SNSでの情報発信を実施。
成果
- SNSのフォロワー数増加は課題となったものの、効果的なPR手法を模索する気づきを得た。
- コロナ禍のニーズに合わせた新商品開発に成功し、事業の新たな柱を確立。
この事例からは、たとえ最初のSNS施策が計画通りに進まなくても、補助金を活用した挑戦そのものが、事業の新たな可能性や次なる課題の発見に繋がることが分かります。
参考:「新しい生活様式にあった萬古焼土鍋”bestpot”のEC・クラウドファウンディングによる販路開拓」
まとめ
今回は、インバウンド対策とSNSマーケティングに活用できる補助金について解説しました。
外国人観光客が増加する中、「新たな施策を打ちたいが、コストが課題だ」と感じている事業者の方は少なくないでしょう。
しかし、本記事でご紹介した補助金制度を有効活用すれば、資金的な負担を抑えつつ、効果的なマーケティング活動を展開することが可能です。自社の事業に合った補助金を見つけ、ぜひ積極的な活用を検討してみてください。
また、インバウンド対策として、インフルエンサーの起用やSNS広告、アカウント運用代行にご興味をお持ちでしたら、豊富な実績を持つ「Find Model」へお気軽にご相談ください。貴社の長期的な成長戦略をサポートします。
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