こんにちは、インスタラボ編集長の吉田です。
InstagramやTwitterなど、人気のSNSアカウントを運営して成功している企業は大変多くいます。
一方で「今流行っているし、販促に使えるらしいし、自社にもSNSを導入しなくては」と、とりあえずSNSをはじめてみたものの、社内の人件費を喰らう割に思うようにフォロワー獲得や売上につながらず、SNSアカウントを放置しているといった企業も少なからずいるのではないでしょうか。
結論を申し上げると、SNSは今後【企業として必須】になります。SNSを生かせていない企業は淘汰されていく可能性が高いといえる状況です。
今回は、なぜSNSは企業として必須になるのか、その理由をデータを交えながら解説していきます。
本記事の内容は、ややポジショントークと思われてしまうかもしれませんが、一つの見解として、特に企業広報やマーケターをはじめ経営者の方にもぜひ留意いただきたい内容となっています。
長期的な企業成長のための参考としていただけますと幸いです。
近年ではコーポレートサイトの役割がSNSへシフトしてきている
まず、SNSが企業にとって必須となる理由としては「コーポレートサイトの役割がSNSへシフトしている」ことが挙げられます。
時代の変化により企業と消費者の接点が変わってきている
過去SNSが台頭する前は、企業と消費者がつながる場所はコーポレートページ(WEBホームページ)がほとんどを占めていました。
消費者が企業製品についての情報を得られる場所は企業のホームページしかなかったのです。
しかし、インターネットの普及、さらにはSNSの普及によって状況は大きく一転しました。
~1990年代は、企業がホームページを作成し、企業から消費者へ一方通行の形で情報発信をしていました。
ところが2000年代以降は、ネット掲示板、SNSなどをとおして消費者が製品やサービスの情報を発信するようになり、企業と消費者双方から情報を得られるようになりました。
さらにSNSが普及、一般化してからはSNSで情報を集めることが当たり前となっています。
この傾向は特に生まれた時からインターネットやSNSが身近にあったミレニアル世代、Z世代などの「デジタルネイティブ」と呼ばれる世代で顕著に見られます。
企業とのコミュニケーション(問い合わせ)にも大きな変化が
さて、インターネットやSNSが普及したことで、消費者は企業の製品・サービスの情報を様々な場所から手に入れることができるようになったわけですが、「企業への問い合わせ」においても大きな変化がありました。
過去、SNSが無い時代は当然、製品やサービス、あるいは株式関連の質問、クレームなどは企業のコーポレートサイトをとおして問合せされていました。
しかし、SNSの普及した今では、従来の問い合わせがコーポレートサイトに寄せられるのはもちろんなのですが、企業の運営するSNSの「コメント」や「DM(ダイレクトメッセージ)」によるの問い合わせも増えています。
SNSがコーポレートサイトとしての役割を担う形にシフトしてきている
SNSをブランディングや販促ツールとして捉えている方も多いと思われますが、実は、製品やサービスに関する質問や感想をはじめ、従来はコーポレートサイトに問い合わせられていた投資家向け情報、最近の戦略など企業の経営に関する質問や意見もSNSにしばしば寄せられているのです。
これは企業のSNSをコーポレートサイトとして捉えているステークスホルダー(企業に関係する様々な人たち)が増えてきていることを示唆しています。
つまり、企業の情報を得る・消費者の意見を企業に届ける場所がコーポレートサイトからSNSへ拡大、あるいは移り変わっているのです。
SNSを活用していないと企業の長期成長に不利になる
現在はまだ大丈夫かもしれませんが、「コーポレートサイトは唯一の製品・サービスの問い合わせ相手ではなくなった」ことは今後の企業の情報発信の在り方を大きく変える事実です。特に、
- SNSは人と人のつながりやコミュニケーション生み出すために設計されている
- SNSは企業へ気軽に質問・問い合わせしやすい
- デジタルネイティブ(2000年代生まれ)以降の世代はSNSで情報収集・交流する文化が定着している
といった理由から、少なくとも今後10年間は若い世代を中心にSNSを中心とした企業とのコミュニケーションが活発になることが予想されます。
さらに将来、SNSでメインに情報収集をしている20~30代以下の若い世代の消費者が成長した未来では、もはや消費者はコーポレートサイトではなく企業のSNSをメインの情報収集場所として活用する可能性も大いにあり得るといえるでしょう。
つまり、今SNSアカウントがない、SNSアカウントに注力していない企業は遠くない将来、「企業と消費者との接点を失ってしまう」ことになるため、競合企業にも後れを取りビジネスの競争で不利な立場に陥ることにつながってしまうのです。
SNSは販促のためのツールではなく、もはや販促を含めた企業の必須のツールです。
DXが進められているなか、SNSの変化にも対応できるか否かで企業の存続に大きくかかわることを肝に銘じておくことを強くおすすめします。
実際に企業との接点がSNSに移っていくことを示唆しているデータ
ここまで、SNSの重要性について話してきましたが、企業とどのようにコミュニケーションをとりたいか、実際の調査データを交えつつ補足として紹介しておきましょう。
企業から情報を受け取る媒体はメルマガ⇒WEBサイト⇒SNSへと移り変わっている
以下は株式会社エイジアが2021年5月に発表した「企業に求める情報発信とコミュニケーション方法」に関する調査結果です。
「企業から情報を受け取る最適な方法は何か?」という質問に対して、各年代の結果は以下のようになっています。
あなたは企業から情報を受け取る最適な手段(方法)はなんだと思いますか【年代別分布】※複数回答可 ▼
画像:【調査レポート】1,110人の生活者に聞いた「企業に求める情報発信とコミュニケーション方法」|株式会社エイジア
年代別に企業から情報を受け取る方法の上位結果をまとめると概ね以下のようになります。
1位 | 2位 | 3位 | |
20代 | SNS | スマホアプリ | 企業WEBサイト |
30~40代 | 企業WEBサイト | メルマガ | スマホアプリ |
50代以上 | メルマガ | 企業WEBサイト | マスメディア |
各年代を見ていくと、年齢層が高い世代はPCやアナログを主体で情報を受け取っていました。それが時代が進むにつれてPCとスマホ(モバイル)がそれぞれ主体となり、さらにはスマホが主体として情報を得る媒体が移り変わっていることが読み取れます。
30代以上の消費者に対しては、依然としてWEBサイトやメルマガでの情報発信が効果的のようです。
一方で、20代ではすでにSNSを主体として企業の情報を得たいと思っている(得ている)ことから、20代より若い世代(今後消費の中心となる層)へ企業の情報を届けるにはスマホの活用は必須、さらにSNSも活用しなくてはならないことが容易に予想できるでしょう。
若い世代ほどSNSで企業とコミュニケーションしたいと思っている
つづいて、同調査における「あなたは企業と何でつながりたいと思いますか?」という質問に対する各年代別のデータを見てみましょう。
あなたは企業と何でつながりたいと思いますか?【年代別分布】 ※複数回答可 ▼
画像:【調査レポート】1,110人の生活者に聞いた「企業に求める情報発信とコミュニケーション方法」|株式会社エイジア
結果からわかるように、20代~30代の若い世代ほどSNSを通して企業と繋がりたいと考えている傾向が読み取れます。
また、同調査の「自分の意思を企業に伝える最適な手段(方法)は何だと思いますか?」の質問に対しては以下のような結果となっています。
あなたが自分の意思を企業に伝える最適な手段(方法)は何だと思いますか? ※複数回答可 ▼
画像:【調査レポート】1,110人の生活者に聞いた「企業に求める情報発信とコミュニケーション方法」|株式会社エイジア
企業の問い合わせフォームや問い合わせ窓口を利用する割合はが高いのは当然として、ここで注目すべきはSNS関連の項目です。
- 企業の公式SNSにダイレクトメッセージ:18%
- 自分のSNSへの投稿:13%
となっており、あわせるとおよそ3人に一人は自分の意思を企業に伝える方法としてSNS活用を考えていることが分かります。
企業の公式SNSへメッセージをもらえる点は「プル型」のコミュニケーションとしてわかりやすいでしょう。SNSで「お客様相談窓口」アカウントを作成して運用している企業もしばしば見られます。
さらに、SNSで製品やサービスの感想を発信している消費者を見つけ、企業側からアプローチをかけるというコミュニケーションも今後ますます重要となります。
実際、すでに大手企業ではSNSでの
- 自社ブランド検索(エゴサーチ)
- ブランド話題監視(ソーシャルリスニング)
を密に行い、お客様相談、顧客のクレーム対応、製品やサービス利用へのお礼などSNSでの積極的なコミュニケーションを行っています。
企業に(良くも悪くも)興味ある消費者をSNSで能動的に見つけ、積極的に声をかけていく動きも顧客満足度を高める企業活動として今後必須となってきているのです。
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SNSを企業に取り入れる際のポイント
以上のように、若い世代ほどSNSを通してのコミュニケーションを企業に期待している傾向が伺えました。
では、SNSを使うにあたり、どのような点に配慮すればよいのでしょうか。
最後に、企業がSNSを取り入れ、長期的な運用をする際に必ず押さえておくべきポイントを紹介しましょう。
IT・SNSのリテラシーが高い人物を専任する
SNSを運用するにあたり、IT・SNSのリテラシーが高い人物を選任することは大変重要です。
SNSは無料で集客~売上につなげることができる大変すばらしいツールである一方で、使い方を間違えると炎上して企業の価値を大きく毀損してしまう場合もありますので、SNS運用担当者は慎重に発信しなくてはなりません。
基本的には「一般常識が無い」「モラルがない」「批判や攻撃的な発言をする」など配慮の欠けた発信によって炎上は引き起こされます。
また、政治・宗教・性・社会問題といったテーマもセンシティブなため言及しない、あるいは企業の立ち位置がブレないよう発信するなどの慎重な配慮が必要となります。
そのため、良識をもった人物でありすでにSNSに慣れ親しんでいる人物、可能であれば個人のSNSで多くのフォロワーを抱えている人物を専任の担当者として選出しましょう。
獲得したいフォロワー(ファン)は誰かを明確にする
自社が獲得したい見込み客はどのような人かをはっきりとさせましょう。
「20代、女性、東京在住、OL」のようにかなり漠然としたターゲット設定をしている企業もしばしば見受けられますが、SNSでは「1対多数」のやりとりではなく「1対1」のマンツーマンのやりとりとなります。
ですので、たとえば「28歳、女性、東京都品川区在住、職業はデザイナー、JAZZをよく聞く、服装はシンプルでパンツ+シャツが多い、週1でランニング、シンプルライフを目指している、収入は・・・」のように具体的に1名をイメージできるくらいまで人物像を絞り込みましょう。
すると、その人へ向けた情報発信ができるため、より内容の濃い、見てくれた人の共感を得る発信ができるようになりますし、コンテンツ制作もしやすくなります。
このターゲットとする人物像(ペルソナ)がぼんやりしていると効果的にSNSを運用できませんし、自社のターゲット層とは異なるユーザーが集まってきてしまいますので、ぜひ最初に作り込みましょう。
分析・マーケティングのノウハウが必要
SNSは自社の発信一つ一つを分析して改善していくことが欠かせません。
反応が良かった投稿の成功要因、フォロワーが減った投稿の失敗要因、トレンドや季節的な外部要因、さまざまな要素を加味して分析を行い投稿を改善していきます。
覚えておかなくてはならないのは「企業が見せたい情報と消費者が見たい情報にはズレがある」ということです。
自分よがりな発信ではファンを獲得できません。消費者がどのような情報を、どのような形で、どんなタイミングで欲しているのかマーケティング的な視点を取り入れて、SNSを洗練させていきましょう。
SNSは人間関係と同じ。中長期的な施策と心得る
SNSは一朝一夕ではなかなかフォロワーが集まりません。売上につなげるとなるとさらに時間はかかります。
もちろんフォロワーは増えるだけではなく、時にはフォロワーが減る場面も出てきます。
SNSでの発信は企業として信頼を集める行為に等しいため、人間関係と同じように、長い期間(~数年)をかけてファンを獲得するものだと心得ましょう。
長期的にSNSで発信していてフォロワーが少ないと嘆く必要はありません。今いるフォロワーはあなたの企業の大切な顧客でありファンであり宝です。
新しいフォロワーの獲得を意識したいところですが、今のフォロワーにも注目し一人一人に是非丁寧に接して、良い関係を作っていきましょう。
ある程度は必ず自社でSNSを運用すること。いきなり外注はNG
ノウハウが足りなかったり、人的リソースが足りなくてSNSの運用が難しいと感じた時はSNS運用を支援している企業にサポートしてもらうのも一つの手です。
ただし、ノウハウがまったくない中でSNS運用を外注するのは避けましょう。
というのも、SNSを運用しないことにはSNSの勝手もわからず自社にノウハウもたまらないからです。
今では、本メディア「インスタラボ」のようなメディアやブログ記事、YouTube動画などを通して良質なSNS運用術を無料で手に入れることができます。有料の情報商材は必要ありません。
まずは、そうした無料で手に入る情報を学び「実際に自分(社内)の手を動かしてSNSを運用してみましょう」。実際の経験に勝る学びはありませんし、自分たちに何が足りないのか課題も具体的に見えてきます。
課題が見えれば「具体的にどんなアドバイスを得ればいいのか」もわかり、自分の頭で考えながら効果的に外注企業を活用することもできます。
インスタラボでも以下のようにSNS運用に関する記事を一般に公開していますので、あわせて是非お役立てください。
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まとめ
SNSがコーポレートサイトの役割を果たしてきている現状について解説してきましたがいかがでしたか。
本記事で紹介しているように、消費者と企業との接点は時代と共に変化しています。
DX(デジタル・トランスフォーメーション)に対応できない企業が淘汰されていくのと同じく、時代の変化についていけない企業は競合に後れを取り苦境に立たされる可能性が高いといえます。
もしあなたの企業のSNSが手薄になっているなら、本記事を一つのきっかけに、ぜひSNSに注力してみてください。