日本において4,500万人ものユーザーが利用する人気SNS、Twitter。
個人としての利用はもちろん、昨今は企業がプロモーションのためにTwitterアカウントを運用しているケースも当たり前になりました。
では、企業がTwitterでアカウント運用する際、特に分析を行う際には、どんなことに気を付けるべきなのでしょうか。
今回はTwitterの運用における「KGI」「KPI」という観点から企業のTwitter運用・分析方法についてわかりやすくご紹介します。
目次
そもそもKGI、KPIとは
まず、ビジネス戦略の土台となる「KGI」と「KPI」について簡単にご紹介しましょう。
KGIとは「ビジネスの最終目標」
KGIとは、Key Goal Indicator(キー・ゴール・インジケーター)の略で、日本語では重要目標達成指標という意味になります。
もっと簡潔に言ってしまうとKGIとは最終目標のことです。
ビジネスにおいては基本的に「売上や利益目標」がKGIとなります。
この設定したKGIを達成するために運用の方向性や施策を練っていきます。
KGIを設定する際には具体的な数値で設定することが重要です。なぜなら、最終目標が具体的でないと、中間目標(KPI)や具体的な施策が立てられないからです。
Twitter運用でKGIを設定する際の指標は様々ですが、明確な数値で設定する必要があります。
KGIを決めるときは、経営計画や売上など、業績やデータに基づいて「売上○○億円」のような形で設定するのが適切です。
KPIとは「KGIを達成するための中間目標」
KPIとは、Key Performance Indicator(キー・パフォーマンス・インジケーター)の略で、日本語では重要業績評価指標という意味です。
簡潔に言うと、最終目標(KGI)を達成するためのより細分化された具体的な数値目標(+アクション)がKPIとなります。
最終目標を達成するために必要な工程は何かを確認し、どうすれば目標達成できるか。また、達成できなければなぜできなかったのかを分析する際にKPIを使用します。
KPIもKGIと同様に、数値+施策アクションで具体的に設定することが重要です。
たとえば、飲食店のKGIを「売り上げ○○億円」に設定したとしましょう。
基本的に飲食店では「客数」「客単価」「回転率」で売上を算出できますので、これら3つの要素をKPIとして設定します。
加えて、
- KPI:客数を○○人増やす
⇒達成するために、店舗数を○○件増やす、店舗の座席数を○○席増やす、キャンペーンを○○回行う - KPI:客単価を○○円に高める
⇒達成するために、平均より○○円高いメニューを作る、セットメニューを○○件増やす - KPI:回転率を○○回転に高める
⇒達成するために、立ち食い、テイクアウトを導入して回転率を○○回転に高める
などのように具体的な数値とアクションに落とし込んでKPIを設定していきます。
KGIやKPIを設定するときのポイント
KGIやKPIはとにかく具体的に設定することが重要です。
目標設定の際には「SMART」を意識してみましょう。
- Specific:具体的に
- Measurable:測定可能な
- Achievable:達成可能な
- Related:目的に関連した
- Time-bound:期限を決めて
これらの要素を満たしていることで、より適切なKGI・KPI設定ができるようになります。
- KGIは最終的なゴール
- KPIは最終的なゴールを達成するための中間目標
- KGI・KPIを設定するときは「SMART」を意識
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Twitter運用におけるKGIとKPIの設定方法
さて、KGIとKPIがどのようなものかを紹介したところで、Twitter運用におけるKGIとKPIを設定する方法を紹介していきましょう。
1. 運用目的を定める
まず、Twitterを運用する目的を明確にします。
よくありがちな失敗として、Twitterを運用すること自体が目的化してしまうことが挙げられます。
Twitterはあくまでビジネスの大きな目的(=売上・利益アップなど)を達成するためのツールですので何のためにフォロワーを獲得するのかを見失わないことが大切です。
せっかくTwitterのアカウント運用をしていても、ただ闇雲にツイートしているだけでは求める成果には繋がりません。
Twitterでのマーケティングを通して、どんな成果を出したいのかを確認しましょう。
Twitterは拡散力が高いため、うまく運用できれば、低コストで自社の商品やサービスを費用対効果高くプロモーションできます。
2. KGIを設定する
続いて目的に沿ったKGIを設定します。
KGIは基本的にビジネスの最終ゴールとして設定しますが、ここでは「Twitter運用の最終ゴール」としてKGIを設定してみます。
前述したとおり、具体的な数値目標を設定していきましょう。
TwitterにおけるKGIとしては、たとえば
- ブランドの認知度向上
KGI:1年後のブランド認知度を30%にする - 自社商品・サービスの売上向上
KGI:1年後のTwitter経由の売上を100万円にする - ブランドのファン獲得
KGI:1年後の新規フォロワー数を5,000人にする
といった、マーケティングゴールを設定します。
認知・売上経路によってはSNSが占める割合を出してKPIを設定したり、また、Twitterを本格的に使っていない企業などに関しては、SNSが貢献できる領域を探しつつ指標を定める必要があるでしょう。
3. KGI達成にむけたKPIを設定する
では、設定したKGI達成に向けてKPIを設定しましょう。
たとえば、先ほどあげた目標に繋げるKPIと施策アクションは、
- ブランドの【認知度向上】
KGI :1年後のブランド認知度を30%にする
KPI :インプレッション(閲覧数)を○○以上にする
施策:Twitter広告配信、1日1投稿(年間365投稿) - 自社商品・サービスの【売上向上】
KGI :1年後のTwitter経由のEC売上を100万円にする
KPI :TwitterからのEC遷移率を○○%以上にする
施策:セールの告知、インフルエンサーによるPR - ブランドの【ファン獲得】
KGI :1年後の新規フォロワー数を5,000人にする
KPI :1ヶ月420名フォロワーを獲得する
施策:毎月Twitterキャンペーンを実施、製品愛用者へダイレクトメッセージ、もらったコメント全てに返信
のような形に設定することができるでしょう。
KPIはKGIに沿った数値とアクションではなくてはいけません。
「いいね、リツイート数」はしばしば注目されがちですが、例えばTwitter運用のKGIが「売上」であれば「売上に直結するKPI」を設定した方が適切といえます。(※いいね、リツイート数は直接的に売上に関連しないため)
あるいは、「サービスの好感度」を指標とするのであれば、「いいね、リツイート数の向上」や「ポジティブなコメントの数」をKPIに設定して達成を目指すとよいでしょう。
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Twitter運用におけるフォロワー獲得のKPIと向上させる要素
Twitterにおける具体的なKPI指標として、特にフォロワー数を獲得する際には代表的な3つの指標として
- インプレッション数(ユーザーのツイート閲覧数)
- プロフィール閲覧数
- フォロー完了率
を注視しておきましょう。
Twitterのデータは公式提供されている無料ツール「Twitterアナリティクス」で確認できます。
自分のTwitterアカウントや投稿のパフォーマンスを把握できますので、必ずチェックしておきましょう。
Twitterは基本的に
ツイートを見る ⇒ プロフィールを見る ⇒ フォローする
の流れでフォロワーの獲得に至ります。
ですので、
インプレッション数(ツイートを見てもらう頻度が上がる)
⇒ プロフィール閲覧数が上がる
⇒ フォローに繋がる
といった流れを上手く作り出すことが重要となります。
以下で3つのKPIごとに詳しく内容を見ていきましょう。
インプレッション数
インプレッション数とは、ユーザーがツイートを閲覧した回数のことです。
いいね!やリツイート数の増加も、結果的にインプレッション数の増加に繋がります。
というのも、ツイートに対する反響が大きければ、より多くのユーザーの目に留まり、必然的にインプレッション数も上昇していくからです。
より多くのいいね!やリツイートを獲得できるような良質なツイートをすることで、フォロワー数の増加にも繋がってきます。
また、Twitterのシステムでも話題になっているツイートはおすすめ表示されやすくなります。
画像や動画を使ったり、役立つ情報を盛り込んだり、トレンドに乗ったり、ユーザーの目を惹くような工夫を凝らした投稿をしてKPIであるインプレッション数を高めましょう。
プロフィール閲覧数
プロフィール閲覧数も、Twitterマーケティングにおける重要なKPIです。
なぜなら、気に入ったTwitterユーザーをフォローするためには、基本的にプロフィール画面を見る必要があるからです。
よって、「この情報の発信者はどんな人だろう?」とターゲット層のユーザーの興味をもってもらえるようなツイートをすることが求められます。
投稿内容も、ターゲットユーザーの役に立つ、あるいは訴えかけるようなツイートであるのが理想的です。
仮に、奇をてらったツイートで注目を集めたとしても、プロフィール閲覧に繋がらなければフォロー率はなかなか上がりません。
プロフィール閲覧数を上げるためにも、フォロワーとして獲得したいターゲットユーザーの興味のある投稿を継続しましょう。
フォロー完了率
プロフィールを見てもらった際にどれだけフォローしてもらえたかを表す「フォロー完了率」も重要なKPIとなります。
フォロー完了率は以下のように算出できます。
フォロー完了率
= フォローされた数 / プロフィール閲覧数
たとえば過去1ヶ月で、プロフィールが閲覧された数が1,000回、10名にフォローされたなら
フォロー完了率
=10フォロー/1,000回
=1%
となります。
プロフィールが閲覧されてもフォローされなければ機会損失になります。
有益なツイートの継続はをはじめ、プロフィール自体も丁寧に作っておくようにしましょう。
TwitterのKPI数値を伸ばすためのヒント
さいごに、TwitterのKPI数値達成の助けになるアイデアをご紹介します。
1. Twitterのプロフィールを充実させておく
他人のTwitterアカウントをフォローするかしないかを決める上では、投稿内容も重要ですが、プロフィール内容も重要になります。
プロフィールにはあなたのことが一目でわかるアイコンとTOPバナー、説明文を記載しておきましょう。
あなたが何者であるか、ホームページやブログのURLも設定し、Twitterアカウントをフォローすることでどのような情報・メリットを得ることができるのかを記載しておくことでフォローしたい気持ちを後押しできます。
また、Twitterには過去のツイートをプロフィール直下に固定できる機能があります。
反応の良かったツイートや重要なツイートを固定することで、アカウントの魅力を訴求できますのでプロフィールとあわせて設定しておきましょう。
ツイートの固定表示は
- 固定したいツイートを表示
- 右上のメニュー(…)をタップ
- プロフィールに固定する
の手順で設定可能です。
プロフィール欄をみたユーザーの興味・関心を惹くようなプロフィール作りを心がけましょう。
2. コミュニケーションによるエンゲージメント向上
一方的な情報発信だけでなく、企業とユーザーがコミュニケーションがとれるのもTwitter運用の強みです。
ユーザー同士のコミュニケーションが活発になりやすいTwitterの特徴を企業が生かすのも、とても有効な手段です。
ツイートに対するコメントへの返信や、リツイートへのいいね、自社を話題にしているユーザーへの反応などを通して、ユーザーとの関係を深めることはもちろん、フォローへ繋げることも可能になります。
これは一例ですが、家電メーカー大手である「SHARP」のTwitter運用は見事にユーザーとの関係を作ることに成功しています。
買う気がない人や買う必要がない人への買え買え広告は暴力だとすら思う私ですが、興味や必要に迫られて検討中の人なら話は別です。たとえば「今年中に大型テレビを買おうかな」とお考えの方、リプください。耳寄りな情報をご案内します。
— SHARP シャープ株式会社 (@SHARP_JP) December 17, 2020
誰もが知る家電の大手メーカーというイメージとは裏腹に、砕けた言葉遣いやユーザーとの積極的なコミュニケーションによって、親しみやすさや気軽に絡みに行ける印象を与えています。
また、ユーザー目線で疑問や質問に答えたり、商品やお得な購入方法などをコメントでやり取りするといった対応も行っており、ユーザーからの信頼も獲得しています。
このようにTwitter上でのコミュニケーションを上手く利用することで、商品やサービスをアピールするだけでなく、会社自体の印象や好感度を上げることができます。
3. キャンペーン実施におけるフォロワー増加
画像:2019年度「Twitter企業公式アカウント」の利用実態を調査|アライドアーキテクツ株式会社
キャンペーンの実施もTwitter運用の醍醐味です。
上記のデータにもあるように、Twitter上のキャンペーンは、ユーザーが企業アカウントの存在を知る大きなきっかけになります。
また、企業アカウントのツイートそのものでなくとも、リツイートからアカウントの存在をアピールすることもできます。
ハッシュタグを利用したキャンペーンや、リツイートやフォローを促すことで情報を拡散し、まだ商品やサービスを利用したことがないユーザーに、自社の商品に触れるきっかけを作ることができます。
普段の投稿内容やプロフィールが魅力的であれば、有効にフォロワーを獲得できる可能性も上がります。
Twitterは拡散力の高いSNSであり、その特性を生かしたキャンペーン施策はKPI達成の上で大きな助けになるでしょう。
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まとめ
今回はTwitter運用における「KGI」と「KPI」についてご紹介しました。
KGIに設定した指標ごとに、効果的なKPIを見極めることが重要となります。
施策実施後には、必ず効果測定とKPI・KGIの達成状況の振り返りを行いましょう。
- 届けたい情報がどれだけの人の目に触れたのか
- 閲覧された投稿に、どれだけの興味・関心が集まったのか
これらの数値を検証し、次の施策に繋げていくことで、より効果的な運用が期待できます。
140字という制限の中、綿密なKGIとKPIで、有効なTwitter運用を行っていきましょう。