
自社ブランドをどうやって広めて売上を拡大していくかは、企業のマーケターの悩みどころのひとつです。
現在TwitterやInstagramといったソーシャルメディアが普及し、ブランド戦略として「インフルエンサーマーケティング」を効果的に取り入れている企業が増加しています。
特に流行のめまぐるしく変わるファッションブランドやレディスブランドは、トレンドに敏感な世代に人気のあるインフルエンサーとコラボしてマーケティング活動を活発に行っています。
そんな中今回は、
- インフルエンサーマーケティングとは?
- ファッションブランドとインフルエンサーとのコラボ事例
- ファッションブランドのユニークなプロモーション事例
- 運用を参考にしたいファッションブランドのInstagramアカウント
- 人気ファッションインスタグラマー
目次
インフルエンサーマーケティングとは
インフルエンサーは英語で「影響を与える人」の意味です。
現在では主にSNS上でフォロワーが多く、自身の発信により多くの人に影響を与えることができる人を指します。
SNSにおけるインフルエンサーはインターネットでブランドや商品を紹介して、自身のフォロワーなどに購買意欲を促すことのできる影響力を持ちます。
マスメディアでの露出の高いタレントの他、フォロワーが多くいる人に自社商品を勧めてもらえれば大きな宣伝効果が期待できます。
なぜインフルエンサーを起用するのか
「トレンダーズ、女性のSNS利用と消費行動に関する調査」では、
トレンド情報の検索は「Google」から「Twitter」「Instagram」へ
約半数が「SNSから商品購入の経験あり」、決め手は「共感」と「画像」
といった調査報告がされており、消費者は自ら商品を検索エンジンで検索して探すという行動をしなくなってきています。
特にトレンドの移り変わりやすいファッションや流行を追うための情報は、TwitterやInstagramのインフルエンサーから得ていると回答している人が多くをしめます。
他にも普段からフォローしている対象には親近感があり、その人の趣味嗜好への共感も沸きやすくなっています。
ファッションなどイメージが重要視されるものでは、自分の理想のイメージを体現してくるような「素敵な」インフルエンサーの着用画像が圧倒的な訴求力を持ちます。
インフルエンサーがSNS内での広告塔になることで、実店舗やEC(オンラインショップ)での売り上げに貢献するという流れを作ることが重要になっているのです。
自分のスタイルを重視する世代
通販サイト『ZOZOTOWN』を運営するスタートトゥデイの小高洋介氏は
ブランドを重視した30代以上の世代とは異なり、購入時に「自分のスタイルに合っているか」を何よりも重視するのがプレッシャー世代
と述べています。プレッシャー世代とは1982-1987年生まれの流行と個性に敏感な人たちです。
そうした世代は一般的な広告や宣伝に左右されません。モノの価値を判断する若い世代へ商品を売り込むには「インフルエンサー」がキーワードになると小高氏は断言しています。
様々なファッション・アパレルブランドが人気のインフルエンサーを迎え、そのインフルエンサーのファンや支持層をブランドの新しい顧客層として獲得することもこれからのマーケティング戦略として注目されているのです。
インフルエンサーマーケティングについては、基礎から応用まで5分で理解するインフルエンサーマーケティングの記事にて詳しく解説していますので併せてご覧ください。
Instagramのインフルエンサー(インスタグラマー)を起用したファッションブランド事例
では、実際にインフルエンサーを活用して自社ブランドをPRしている企業の事例を見ていきましょう。
ZOZOTOWN X 吉岡里帆
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女優の吉岡里帆さんは「ZOZOTOWN」(株式会社スタートトゥデイ )のテレビCMにも起用されているので知っている人も多いと思います。フォロワー数も160万人を超える圧倒的なカリスマインフルエンサーです。
参考画像で吉岡さんが言及している「WEAR」はZOZOTOWNの運営する"スマホを使い衣料品店の店頭で商品バーコードを撮影すると、その商品をネットで比較しながら手軽に買えるサービス。"です。
広告を使うよりもインフルエンサーに自社サービスについて言及してもらうことで、ターゲットとするファンの人たちに情報を確実に伝えることができます。
UNIQLO × 鈴木裕子
出典:キララポスト
4歳と3歳の子供のいる美人ママ読者モデルの鈴木裕子さんは、ユニクロやGUの服をセンス良く着こなすインフルエンサーです。
プチプラアイテムをMIXした大人カジュアルやハンサムなコーディネートが得意とのこと。
UNIQLOはリーズナブルな価格で若い世代にもミセス世代にも人気のあるブランドですが、プチプラでもお洒落に着こなせるコーディネートを子育て中のママモデルが紹介することで、子育て世代のママたちへの親近感を上げることに成功しました。
インフルエンサーの得意とする分野と自社ファッションブランドとのコラボにより、新しい層へマーケットを広げることもできます。
E hyphen world gallery CIRCUS X ゆうこす
「E hyphen world gallery CIRCUS」の面白い特徴は、インフルエンサー(SNSで影響力のある人)とコラボしたアイテムを開発している点。
開発した商品をインフルエンサー本人にInstagramなどのSNSを通して紹介してもらい、商品画像がアップされてから24時間の「いいね」の数に比例した数量を店頭とECサイトで販売するというユニークな仕組みを持っています。
インフルエンサーの一人「ゆうこす(@yukos0520)」さんも38万人以上のフォロワーを持つ人気インフルエンサーです。
ファッションに敏感な若い世代に影響力のあるインフルエンサーを使って宣伝し、インスタグラムの反響を見ながら在庫管理も行うという効率的な運営方法が成功しています。
UNIQLO /ZARA/GAP/ラルフローレン X 神田咲凛
大学生インフルエンサーの神田咲凛さんは一つのブランドにこだわらず様々なブランドの着こなしを高校生のころから積極的に発信し、若い世代の女性の支持を受けています。
高神田さんの投稿画像をタップすると着こなしているブランドのタグスタンプが表示されます。
普段の私服を着こなしてしてカッコよさと美しさのある表現で、若い世代のカリスマ的存在になっています。
インフルエンサーの抱えるフォロワー(この場合は10代~20代)と自社の狙うターゲットがマッチすることで、効果的なPRを行うことができます。
ファッション・アパレル業界のInstagramを活用したユニークなプロモーション事例
ここまで、企業とインフルエンサーのコラボについて紹介してきました。
インフルエンサーを活用して自社ブランドをPRしてもらうことも重要ですが、それと併せてどのようなプロモーションを実施して話題をつくり、多くの人に周知できるかも非常に大切です。
ここからは、ファッション業界のトレンドがめまぐるしく変わる中、ユニークなプロモーションキャンペーンを実施して注目を集めた成功事例を紹介していきましょう。
アニエス・ベーTOKYO/ みんなで作るアニエスベーのクリスマスギフトカタログ
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000036.000007744.html
人気ブランドのアニエス・ベーは、クリスマスに「みんなで作るアニエスベーのクリスマスギフトカタログ」というキャンペーンを開催しました。
「#agnesb_xmas」というハッシュタグをつけてクリスマスのプレゼントとしてあげたい商品をピックアップして投稿し、オンライン上にギフトカタログをつくるというコンセプトのキャンペーンです。
特典としてキャンペーン中に商品を購入した方の中から抽選でハイアットリージェンシーやグランドハイアットのアフターヌーンティー、そして店頭に来た人に先着でシャンパンのプレゼントを行いました。
オンライン上にギフトカタログをつくるというコンセプトはシンプルでわかりやすく、クリスマスのキャンペーンが終了しても商品を閲覧できるのがいいところです。またフォロワーを多く抱えるインフルエンサーに投稿を依頼しているところもポイントです。
丸の内 SPRING FASHION 2016 Instagram プレゼントキャンペーン
丸の内 SPRING FASHION 2016 Instagram プレゼントキャンペーンより
こちらの「丸の内 SPRING FASHION 2016 Instagram プレゼントキャンペーン」は、丸の内周辺の施設情報をまとめる「marunouchi.com」と集英社の女性誌2誌がコラボして展開したキャンペーンになります。
ファッションモデルのコーディネートに投票する形と自身のコーディネートを投稿する形というように、キャンペーンに参加する方法を2つ用意しています。
特典として、前者のキャンペーンに参加した場合は抽選で10名にイチオシのファッションアイテムを、後者のキャンペーンに参加した方にはコーディネート一式がプレゼントされました。
2社のコラボレーション、そして参加方法を2つ用意するという形で、キャンペーンの参加の間口を広くとっているところがポイントで、短い期間ながらもたくさんの投稿が集まりました。
MARC JACOBS/ #castmemarc
630万人ものフォロワーをもつアメリカのファッションブランドMARC JACOBSもインスタグラム上でキャンペーンを展開しました。
キャンペーンは「#castmemarc」というハッシュタグを使ってコーディネートを投稿してもらい、その中からInstgram上でのMARCJACOBSのモデルを選ぶという内容で、10万件以上の応募につながりました。
このキャンペーンが他のキャンペーンと違うところは、売り上げのUPや新商品のプロモーションを目的としていないところで、応募からモデルの決定、そしてその後の活躍までをすべてInstagram上で共有できるところにあります。
Instagram上で選ばれたモデルということで注目を集め、その後のインスタでのPRもより効果的に行うことができます。
T1200/ Tシャツお焚き上げ会
こちらはオリジナルTシャツを1200円でつくれる「T1200」というサービスのキャンペーンになります。
キャンペーンの企画がとてもユニークで、キャンペーン期間中にInstagramで「T1200」のアカウントをフォローし、捨てきれないTシャツの写真を「#Tシャツおたきあげ」で投稿してくれた人の中から抽選で賞品をプレゼントするという内容になっています。
参加者全員にも10%OFFのクーポンがプレゼントされました。
インスタグラムのキャンペーンはメディアの性質上、ハッシュタグを使って投稿して参加というシンプルな仕組みのものになりやすいですが、今回の例のようにちょっと変わったコンセプトで企画を設計すれば、より多くの人に届きやすくなります。
企画の切り口やアイディアがユニークなものになればInstagramだけでなくTwitterとも連動してキャンペーンを行うことでより多くの人に認知してもらうことができます。
vivi / サマンサタバサイベントのストーリーズ限定配信
Instagramのキャンペーンにストーリーズを利用することもオススメの一つです。
ViViでは雑誌で扱うブランドのサマンサタバサのオープンイベントの模様をストーリーズで配信しました。
Instagramストーリーズは通常の動画とは違って24時間限定でしか見られないという特徴があるので、面白いコンセプトのキャンペーンが企画できれば「一部の人しか見られなかった」というプレミア感が引き金になり、より多くの人に認知してもらうことが可能になります。
また、ライブ配信機能を使ってキャンペーンを行うことで「見逃せない」という限定感を生み出して話題を作ることもアイデアとして使えます。
動画コンテンツは写真に加えてさらに訴求力を高めることができるので上手く活用することで大きな効果を発揮できます。
ぜひ参考にしたい!ファッションブランドのInstagramアカウント事例
ユーザーがファッションブランドとの繋がりをもてるソーシャルプラットフォームとなったInstagramは、ファッション・アパレル業界においてFacebookやTwitterよりも多く活用されています。
また、単に「いいね」や「コメント」などのエンゲージメント率を上げるだけでなく、ブランドデザインのコンセプト決定、ファンユーザーとの交流、コンテンツマーケティングの分析などにも大きく活かされています。
ここからは、Instagramを上手く活用して自社ブランディングを成功させている人気ファッションブランド企業アカウントを紹介していきます。
レディースアパレルブランド「MOUSSY」
海外のレディースアパレルブランドとして有名な「MOUSSY(マウジー)」。フォロワー数は60万人を超えており(2018年12月現在)、多くのMOUSSYファンがアクティブユーザーとして参加しています。
InstagramをWEBカタログ+ECサイトへの入り口として活用
海外のトップモデルやプロモデルを起用し、美しくオシャレな写真が印象的で、WEBカタログのようなアカウントとなっています。
また、Instagramのショッピング機能が導入されており、そのままECサイトへ遷移して気に入った商品を購入することができます。
明確なブランドコンセプトを設定し、その世界観を保ちつつアカウントを作り上げていくことが人気をつくる秘訣です。
ECサイトの売上を上げるために欠かせないInstagramショッピング機能のノウハウは
の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。
海外で有名の「GUESS」
ジーンズやアクセサリーなど、幅広いジャンルを取り扱う海外アパレルブランド「GUESS」。
ブランドコンセプトに合った投稿で、多くのファンユーザーを獲得しています。フォロワー数は470万人を超えています(2018年12月現在)。
インスタグラム機能のストーリーを使用した活用事例
「GUESS」に限らず、海外のアパレルブランドは積極的にストーリー機能を活用しています。
例えば、ファッションショーのランウェイの様子、パーティの雰囲気や専属モデルたちの旅行の様子など、動画でしか伝わらない世界観はストーリーを使用して発信しています。
また、24時間が経ち公開が終了したストーリーズは、「ハイライト機能」を使うことでカテゴリーごとにまとめています。
「ライフスタイル」「環境保全」「旅行」といった発信したいメッセージごとにストーリーズをまとめて保存・公開することで、アカウントに来たユーザーへブランド理解を促しています。
若年層に親しまれるアパレルブランド「WEGO」
「WEGO(ウィゴー)」は、10〜20代の若年層をターゲットにしたアパレルブランドです。Instagramのアカウントはフォロワー数41万人を超える人気で(2018年12月現在)、多くのユーザーから支持されています。
主に古着を取り扱っていますが、オリジナルアイテムを展開させるなど幅広く活動しているのが特徴です。
インフルエンサーとのコラボがポイント
WEGOの主なインスタグラムの活用法は、ターゲット層となる10〜20代に人気のあるインフルエンサーとのコラボでを積極的に行っていることです。
商品紹介はもちろんですが、投稿内容の約8割がインフルエンサーによるコーディネートとなっています。
無駄な広告を行わず、自社の狙うターゲットに的確にリーチできる効率的なインフルエンサーマーケティング手法は非常に参考になります。
ファッションの人気インフルエンサー(インスタグラマー)を紹介
企業アカウントの事例で紹介したファッション・アパレルブランドをPRしているインフルエンサー(インスタグラマー)は、その影響力から多くの企業から注目されています。
最後に、ファッション・アパレルのコーディネート投稿をメインとして活動している人気インフルエンサー(インスタグラマー)を簡単に紹介していきましょう。
tanakaofficialさん
こちらはガーリーで女の子らしさがあふれるモデルの田中里奈さんのInstagramアカウントです。
旬のアイテムを上手にファッションに取り入れてコーディネートしているので、より多くの人のファッションの参考になりそうです。
maaanyakaさん
こちらはモデルの荒井愛花さんのInstagramアカウントです。色白でお人形さんのような顔のモデルさんですが、この荒井愛花さんという方は151cmとモデルにしては小柄で、より多くの人がファッションを参考にしやすいのも特徴です。
ちなみに茨城の『愛花の茨城散歩〜ゆるゆるゆるの旅〜』という番組にも出演されているようです。
catservalさん
こちらは映像クリエイター兼ファッションモデルの宮本彩菜さんのInstagramアカウントです。
自給自足など農業に興味があるのも特徴で、飾らずにナチュラルな投稿が多いのも魅力です。
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blaireadiebeeさん
こちらはAtlantic-Pacificという海外のファッションメディアを運営されているblair eadieさんのInstagramアカウントです。
伝統的でクラッシックな要素と、常に進化していく新しさを上手くミックスして、自分なりのスタイルをつくることがファッションのテーマとおっしゃっており、こちらの画像のようにビビッドな色合いの服から、
こちらのシックな色合いの服まで自由に着こなし、本当にオシャレを楽しんでいることが投稿からも伝わってくるアカウントです。
srhmikaelaさん
こちらはロンドン在住のブロガーsrhmikaelaさんのInstagramアカウントです。全体的にシックなテイストのファッションを多く着ていることが特徴的で、
モデルのようにただ立っているだけで絵になるのが魅力的です。ロンドンのオシャレな街並みの写真が見れるのも◎
imvely jihyunさん
こちらは韓国で大人気のモデル兼クリエイティブディレクターのimvely jihyunさんのInstagramアカウントです。
スタイルがいいことに加えて、あまり必要以上に飾りすぎないナチュラルなテイストのファッションも特徴的です。
インフルエンサーやブランドアンバサダー(インスタグラマー)の起用はキャスティング会社に依頼するのも一つの手
人気のインフルエンサーは自社で連絡を取ることも可能ですが、PRのために複数人をアサインして管理するとなると担当者に大きな労力と負担がかかります。
インフルエンサーキャスティング会社を利用することで、自社ブランドのイメージに合ったインフルエンサーをキャスティングしてもらうことができます。
今主流となってきている、インフルエンサーを「ブランドアンバサダー」として長期的に自社ファッションブランドをアピールしてもらうことも可能です。
アンバサダーを起用したマーケティングについては大注目の「アンバサダーマーケティング」を徹底解説!事例やメリットまとめの記事にて解説していますので是非ご覧ください。
本メディア「インスタラボ」を運営するFind Modelでは、人気インスタグラマーやユーチューバーをアンバサダーとしてご紹介することが可能ですので、お気軽にご相談ください。
最適なインフルエンサーを提案させていただきます。
さいごに
いかがでしたか。
Instagramを活用したファッション・アパレル業界のキャンペーン事例や、Inatagramアカウント、人気のインフルエンサーなどを紹介してきました。
適切なアカウントの運用、効果的なキャンペーンの実施、影響力のあるインフルエンサーとのコラボなど、さまざまな施策を継続的に行うことで、自社ファッションブランドを広く認知させることができます。
SNSの普及の加速に伴い、人と人のつながりを重視したマーケティング手法が非常に重要となってきています。
Instagramを通してターゲットに親近感を持ってもらい、性別や世代、ライフスタイルにあわせたコミュニケーションを取って影響を与え、自社のファンを増やしていきましょう。