2018年、日本へのインバウンド訪日外国人訪問客は3000万人を突破しました。ラグビーワールドカップ日本大会、東京オリンピック、大阪国際万博などを控えた日本への外国人訪問客は今後ますます増えることが見込まれます。
それに伴い、日本へビジネスを進出(輸入)させ、マーケットを開拓しようという海外企業の動きも多く見受けられます。
そこで本記事では、日本へのビジネス進出時にインフルエンサーを起用した「インフルエンサーマーケティング」を行うことで様々な課題を解決しビジネスの認知拡大させるアイデアを紹介します。
- インフルエンサーマーケティングの特徴と現状
- 日本のインバウンド市場データ
- 海外企業が日本へビジネス進出する際の課題
- インフルエンサーマーケティングによる課題解決
- インフルエンサーマーケティングを活用した日本市場の新規開拓
- 実施時の注意点
について順を追って解説していきますので、日本へ進出しビジネスを拡大させる一つのアイデアとして参考にしていただければと存じます。
目次
日本のインフルエンサーマーケティングの特徴
人気のインフルエンサーを起用した「インフルエンサーマーケティング」は、自社ブランドを日本でマーケティングする際に活用できる一つの効果的な手段となります。
まず、日本のインフルエンサーマーケティングの特徴についてご紹介しましょう。
インフルエンサーマーケティングとは
インフルエンサーマーケティングとは、Instagram、YouTube、Twitter、Facebook、TikTokなど、人気SNSで多くのファンを抱える「インフルエンサー」に自社製品やサービスを体験してもらい、その感想をSNSに投稿し口コミ効果を生むマーケティング手法です。
従来のマスマーケティングと比べて
- インフルエンサーの抱えるファンに製品やサービスを訴求するためターゲティングがしやすい
- 一般的な広告よりも広告臭が少なく受け入れられやすい
- SNSを通して口コミと拡散が期待できる
- SNS(インターネット)上で行われるためデータが取得でき効果分析がしやすい
といった特徴があります。
また、以下は日本のインフルエンサーマーケティングで主に活用されているソーシャルメディアの日本国内ユーザー数一覧です。
SNS名称 | YouTube | |||
月間ユーザー数 | 2,800万 | 4,500万 | 2,900万 | 6,200万 |
発表時期 | 2017/09 | 2017/10 | 2018/11 | 2018/12 |
出典【最新版Excelデータ配布中】5大SNSユーザー数(Facebook,Twitter,Instagram,YouTube,LINE) と利用企業数比較
日本では様々なSNSが活用されていますが、それぞれのSNSプラットフォームごとにユーザー属性や特徴が異なります。自社製品やサービスと相性のよいSNSを選択することでより効果の高いインフルエンサーマーケティング施策を実施することができます。
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日本でのインフルエンサーマーケティング市場は拡大している
日本国内のインフルエンサーマーケティング市場も拡大しています。
株式会社サイバー・バズと株式会社デジタルインファクトの調査によると、2022年の日本国内インフルエンサーマーケティング市場規模は615億円。市場は徐々に拡大し2027年には1,302億円に達する見込みとなっています。
画像:【市場動向調査】2023年のソーシャルメディアマーケティング市場は1兆899億円、前年比117%の見通し。2027年には2023年比約1.7倍、1兆8,868億円に|株式会社サイバー・バズ
世界中で注目されているマーケティング手法であり、インターネット環境が良好でSNSの利用者数も多い日本でもインフルエンサーマーケティングが活用される機会は増えています。
世界のインフルエンサーマーケティング市場も拡大
Mediakixの調査によると、世界のインフルエンサーマーケティング市場規模は2020年には50億ドル~100億ドル(1ドル100円換算で5000億円~1兆円)に拡大する見込みとなっています。
画像:THE INFLUENCER MARKETING INDUSTRY GLOBAL AD SPEND: A $5-$10 BILLION MARKET BY 2020 [CHART]|mediakix
また、たとえば人気SNSであるInstagramを活用したインフルエンサーマーケティングだけで見ても、グローバルでは16億ドルが投じられているとされており、市場の大きさを物語っています。
画像:INSTAGRAM INFLUENCER MARKETING IS A 1.7 BILLION DOLLAR INDUSTRY|mediakix
日本はビジネス進出の場として注目されておりインバウンド市場は拡大している
続いて、日本のインバウンド市場について具体的なデータを見ていきましょう。
日本へのインバウンド旅客データ
日本へのインバウンド旅客数は年々増えており、2018年には3,000万人を突破しました。
ラグビーワールドカップ日本大会、東京オリンピック、大阪国際万博などの世界的な大イベントが控えている現況をみると、訪日外国人の数は今後も増え続けると予想されます。
日本へのビジネス目的のインバウンドデータ
日本へのビジネス目的のインバウンド訪日旅客も増えています。
日本へのビジネス目的のインバウンド外国人の年間訪問者数は、東日本大震災のあった2011年は年間約124万人だったのに対して、2017年は年間178万人を超えています。
日本の人口は減少していますが、ビジネスチャンスを感じ多くの企業が日本へ活動しに来ていることが分かります。
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海外の企業が日本へビジネス進出する際の課題
日本がビジネスの場として注目される市場の一つであることがわかりましたが、海外の企業が日本へビジネス進出するにはいくつもの課題があります。
言語の壁がある
まず何よりも言語に壁が存在します。
世界の英語教育を推進するEFの調査によると日本人の英語能力は世界88カ国中49位と、英語を公用語としない国の中では低いレベルにあり、日本語以外でのコミュニケーションを苦手としています。
日本へマーケットを拡大させるためには言語的な課題を解決する必要があります。
日本の文化や消費者ニーズやトレンドを深く理解する必要がある
自国ではあたりまえだった常識が日本では通用しないというケースも多々あるでしょう。
日本でのビジネス進出には、顧客属性のほかに日本独特の文化、今流行りのトレンドといった情報もリサーチを通して収集し自社ビジネスをローカライズしていく必要があります。
特に、文化的なものが日本人の肌感と合わない場合、ビジネスにメリットを感じてもらえても受け入れられないという事態になる可能性もあります。
WEBサイトや日本の店舗といった受け皿の準備が必要
ビジネスを日本へ進出させるために、ECサイトなどのWEBサイトや自社製品やサービスを手に取ってもらうための店舗といった「受け皿」が必要になります。
こちらも言語的な課題とあわせて日本人の好むデザインやインターフェースを準備するする必要があります。
ブランドや商品の認知度が低くマーケット開拓の難易度が高い
そもそも日本で自社ブランドの認知がないため、広告や広報活動を行い自社ビジネスについて日本人に知ってもらう必要があります。
そのための広告や広報活動を通してターゲットユーザーへ効果的にリーチさせるにはコストが大きくかかることも念頭に置かなくてはなりません。
インバウンドインフルエンサーマーケティングが日本へのビジネス進出の課題解決に貢献してくれる
日本へのビジネス進出の課題解決にはインフルエンサーマーケティングが貢献してくれます。
インフルエンサーマーケティングを行うことで日本へビジネス進出する際の課題をどう解決できるのか紹介していきましょう。
日本語以外の言語を話せるインフルエンサーの起用でコミュニケーションがスムーズに
海外の情報に敏感なインフルエンサーであれば、普段から日本語以外の言語でも情報収集を行っています。そのようなインフルエンサーは英語をはじめとした日本語以外の言語を話せる可能性も大きいでしょう。
自社ビジネスを拡大させるパートナーとしてインフルエンサーを起用した場合、コミュニケーション障害が緩和され、ビジネスを円滑に進めることができます。
インフルエンサーからアドバイスをもらうことで日本文化や日本人のニーズ、最新トレンドの理解ができる
たとえばファッション、コスメ、日用品など、日本で人気のインフルエンサーはその分野の専門家であり、日ごろから最新情報を収集しています。
自社製品と親和性の高いインフルエンサーに相談し日本市場への新規参入に向けてのアドバイスをもらうことで、製品を効果的にPRするためのアイデアを得ることができます。
また、日本向け製品を新たにつくる場合も、インフルエンサーに企画段階から監修してもらえばより日本人好みの製品アイデアを得ることもできます。
WEBサイトの制作アドバイスをインフルエンサーからもらい広告クリエイティブも2次利用できる
インフルエンサーから自社ECサイトやランディングページについての助言をもらい、日本のターゲットが好むWEBサイトのデザインやインターフェースを準備することができます。
また、インフルエンサーがSNSで製品を紹介してくれた投稿写真を2次利用して自社のWEBサイトに掲載することで、訪問してくれた日本人に安心感と共感を持ってもらいやすくなります。
WEBサイトでの日本語表現もインフルエンサーに監修してもらうことで日本人に受け入れられやすいWEBサイトをつくることにも貢献してくれます。
インフルエンサーのコミュニティを活用させてもらうことで製品の認知を大きくアップさせられる
インフルエンサーはすでに数万~数十万人というフォロワー(ファン)を抱えているので、フォロワーの人々に効率的に製品をPRすることができます。
一からからファンを開拓することも大切ですが、効率的にブランドを認知しファンの獲得につなげられることは大きなメリットです。
その際、自社製品についての魅力を理解し、積極的に情報発信してくれるインフルエンサーを「アンバサダー」として長期パートナーとして宣伝してもらうという案もあります。
自国インフルエンサーと日本インフルエンサーを相互に紹介し合える
「海外の有名インフルエンサーが使っているあの商品が日本上陸!」のように、自国(海外)の有名人が使ったという実績があることで、日本ユーザーへの訴求力が増します。
インフルエンサーマーケティングを行う際にも、海外の有名なインフルエンサーとコラボした実績があると製品を紹介しやすくなります。
ビジネスの日本進出を目的としたインバウンドインフルエンサーマーケティングのアイデア例
では、実際にどのようにして日本のマーケットへ新規参入し、認知を拡大させていけばいいのか、具体的なマーケティングのアイデアをご紹介しましょう。
インバウンドインフルエンサーマーケティングによりビジネスを日本へ進出するアイデア
たとえば自社がファッションブランドを展開しており、日本へ新規参入しようと計画している場合、インフルエンサーマーケティングにより以下のような施策を展開することができます。
- 日本のトップインフルエンサー(タレント)に製品を利用してもらい認知を促す
- インフルエンサーのクリエイティブをECサイトのLPや広告で2次利用。各小売店に商品スペース確保
- マクロ/マイクロインフルエンサーに製品を紹介してもらい広告とあわせて一般層にさらにリーチさせる
- 製品を目にする機会が増え、小売店やECサイトでの購買につながる
- (+α)ブランドが人気になってきたら実店舗をオープン。インフルエンサーに来店してもらいPRと集客
以下に各フェーズの解説をしていきましょう。
1. 日本のトップインフルエンサー(タレント)に利用してもらい認知を促す
まず、日本での活動のベースをつくるために日本のトップインフルエンサー(タレント)に商品を紹介してもらいます。
製品を多くのフォロワーにリーチさせることができますが、情報感度の高いユーザーが一定数反応するくらいとなり、コンバージョン(売上)にはまだつながりにくい状態です。
2. インフルエンサーのクリエイティブをECサイトのLPや広告で2次利用。各小売店に商品スペース確保
トップインフルエンサーの投稿クリエイティブを自社ECサイトのランディングページや広告のクリエイティブとして2次利用します。人気のインフルエンサーがおすすめしている商品ということをアピールし、ユーザーへの訴求力を高める材料一つの材料として活用していきます。
また、各小売店に製品を店頭に置いてもらうよう営業をかけます。トップインフルエンサーの方が使ってくださったという実績は小売店のスペースを確保するためのアピール材料として後押しとなります。
3. マクロ/マイクロインフルエンサーに紹介してもらい、一般層にさらにリーチさせる
さらに、フォロワーが数十万人のマクロインフルエンサー、フォロワーが数万人のマイクロインフルエンサーにも商品をPRしてもらい、製品が一般消費層の身近な存在になってきていることをアピールします。
投稿クリエイティブはECサイトや広告へさらに2次利用で活用し一般ユーザーに製品が身近になっている印象を生みます。
4. 製品を目にする機会が増え、小売店やECサイトでの購買につなげる
日本国内での認知が拡大することで、消費者が小売店に行った際「SNSで見かけたことのあるブランドだ」と手に取り購買につながる可能性を大きくすることができます。
製品を日常的に目にするようになるとECサイトからの購買にもつながりやすくなります。
(+α)ブランドが人気になってきたら実店舗をオープン。インフルエンサーに来店してもらいPRする
さらに、日本で人気となりブランド地位が確立されてきたら日本に実店舗をオープン。インフルエンサーに来店してもらい店舗とブランドの認知および集客を行います。
インフルエンサーの性質として、フォロワーが多い「メガ・マクロインフルエンサー」よりもフォロワーが比較的少ない「マイクロインフルエンサー」の方がコンバージョン率(いいね!やコメントなど反応してくれる割合)が高い傾向にあります。
インフルエンサーマーケティングは単発で終わらせるのではなく、認知~購買~リピートへの筋道を立てて計画的に実施することでその効果を大きくすることができます。
海外ビジネスの日本進出を目的としたインバウンドインフルエンサーマーケティングの注意点
インバウンドインフルエンサーマーケティングを行い自社ビジネスを日本へ進出(輸入)させるアイデアを紹介してきましたが、注意すべき点がいくつかあるので紹介しておきます。
インフルエンサー選定時にフォロワー属性を確認する
インフルエンサーを選定する際はインフルエンサーのフォロワー属性を確認しましょう。
たとえば、自社が女性向けファッションブランドで人気の女性インフルエンサーを起用する場合、そのインフルエンサーのフォロワーが男性ファンばかりだったのでは情報を届けたい女性ターゲットへ効果的にリーチできません。
フォロワー数のみではなく、フォロワーの属性、インフルエンサーの人柄やファンとのコミュニケーションの内容、通常の投稿の質など、自社のブランドイメージと親和性が高いインフルエンサーを選定することが重要です。
海外製品や新製品への感度が高いインフルエンサーを起用する
普段日本の製品しか使わない人、日本の情報しか発信しない人が、急にSNSで海外ブランドの写真投稿をするとフォロワーは違和感を感じてしまい、効果が薄れてしまいます。
もともと海外製品に興味があったり、トレンドに敏感で最新製品の情報を積極的に発信しているインフルエンサーであれば、海外ブランドのPRも違和感が生まれにくくなります。
フォロワー属性や海外・新製品への感度が高いインフルエンサーを探すことは難しい条件になるかもしれませんが、マーケティングの効果に大きく影響する部分ですので手を抜かず選定しましょう。
ターゲットやマーケティングの目的に沿ったSNSの選択する
先に紹介したように、日本では様々なSNSが活用されています。
SNSプラットフォームごとに特徴や強みが変わってきますので、たとえば、
- 製品の世界観やイメージを訴求したいなら写真に強い「Instagram」
- 製品の使い心地や便利さを紹介したいなら動画で解説できる「YouTube」
- キャンペーンを拡散して話題作りをしたいなら拡散性の高い「Twitter」
のように、マーケティング施策に合ったSNSプラットフォームを選ぶことが大切です。
また、SNSプラットフォームごとに利用しているユーザーの属性や性質が異なることにも留意しておきましょう。
ステルスマーケティングを防止する
インフルエンサーマーケティングを行う際、インフルエンサーに報酬を渡していたにも関わらず、企業とインフルエンサーの関係を隠したまま製品を宣伝する行為はステルスマーケティングとなります。
ステルスマーケティングが発覚した場合、自社ブランドとインフルエンサーは大きく批判され信用を大きく失うことは避けられません。
消費者を欺く悪質な行為をしないようリテラシーを高めましょう。
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日本へのインバウンドインフルエンサーマーケティングまとめ
インバウンドインフルエンサーマーケティングを通して自社製品を日本へ進出させるアイデアを紹介してきましたがいかがでしたか。
本記事で紹介した「インフルエンサーマーケティング」による市場開拓手法は、日本へ進出する際のマーケティング施策の一つのアイデアとして紹介させていただきました。
インフルエンサーマーケティングだけではなく、他にも様々なPR手法は存在しますので、自社製品やサービスと相性のよい方法を活用してマーケティングの効果を最大化させることが大切です。
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