ショートムービーSNSの先駆け的存在であり、今日まで世界中で人気を集めてきたTikTok。
しかし最近では、情報管理の安全性や未成年への悪影響などが懸念され、TikTokを規制・禁止する動きも見られます。
そこで本記事では、諸外国と日本のTikTokに対する方針や、規制・禁止の論点になっているTikTokで問題視される懸念点について解説していきます。
SNS業界の今後に関わる重要な内容となっておりますので、是非とも最後までご覧ください。
目次
TikTokで問題視される懸念点
まずは、TikTokの規制・禁止の論点である、問題視される懸念点について解説します。
未成年への悪影響
TikTokは、主に若年層を中心に人気を博すSNSであるため、未成年・児童保護の観点で問題視する声が挙がります。
当然、性的な内容や暴力的なコンテンツなどは他のSNSにおいても問題となりますが、特に若年層ユーザーに人気のTikTokでは、利用制限やコンテンツフィルターの厳格化が重要視されています。
また、発達途上の未成年ユーザーが物事の判断を誤ってしまうケースは多く、最近では、回転寿司チェーンでの問題行動が大きく取り上げられています。
こうした例は一概にTikTokのみの問題とは言えませんが、若年層ユーザーに人気のSNSだからこそ、未成年犯罪や問題行動の温床とならないための更なる対策が求められます。
セキュリティリスク
TikTokでは、過去に何度かハッキングによる個人情報流出の疑いが問題になっており、セキュリティ面を不安視する声が挙がっています。
特に、世界的に大きく取り上げられたのが、2022年9月の20億件のデータ流出疑惑です。
本件は、AgainstTheWestというハンドルネームのユーザーが、TikTokにハッキングしてデータベースから20億件のレコードを抽出したとされるものです。
TikTok側は、「セキュリティ侵害の証拠はない」旨を主張しましたが、ハッキング時のスクリーンショットがTwitterに投稿されたこともあり、結果的に多くのユーザーに不安を与えることとなりました。
本件に関して多くのサイバーセキュリティの専門家からは、
- パスワードのこまめな変更
- 2要素認証設定
が推奨されています。
また、上記のセキュリティ対策はTikTokに限らず他のSNSにも共通して推奨されるものです。
ユーザー1人1人がセキュリティリスクを踏まえた上で、しっかりと対策に取り組んでいきましょう。
中国政府への情報提供
TikTokの規制・禁止の論点として最も問題視されている懸念点が、中国政府への情報提供です。
まず本件には、中国の法律が大きく影響しています。
中国では、あらゆる組織・個人に対し中国政府の監視要求に対して責任義務を負うため、中国のByteDance社が所有するTikTokに対し、情報提供の恐れがあるとして各国が警戒の姿勢を強めているのです。
ここまでに前項で解説した「未成年への悪影響」や「セキュリティリスク」に関しては、正味TikTokのみに限った話ではありません。
しかしながら、中国政府への情報提供の懸念は、TikTokの運営元が中国企業であることに起因してしまうため、国際情勢などが絡む難しい問題になっているのが現状です。
TikTokに対する諸外国の方針・規制状況
それでは、中国と関連性の深い諸外国におけるTikTokに対する方針・規制状況を見てみましょう。
EU・イギリス
EU(ヨーロッパ連合)
EUの制作執行機関、欧州委員会は2023年2月に職員に対してTikTokの利用を禁止すると発表。
公用の携帯電話のほか、職務で使用する可能性のある個人の携帯電話でもアプリを削除するよう通達しており、該当者は約3万2000人に及ぶようです。
イギリス
イギリスでは、スナク首相が「機密情報の安全性を確保するために必要なあらゆる手段を講じる」と発言し、同様の規制を示唆しています。
アメリカ・カナダ
アメリカ
アメリカ政府は2023年2月、機密情報を保護を理由に連邦政府職員に対し、政府支給の携帯電話などから「TikTok」を削除すると発表。
さらに同年3月1日には、アメリカ議会下院外交委員会で、アメリカ国内でTikTokの利用を禁じる法案が賛成多数で可決されました。
完全な成立には上下両院の本会議での可決と大統領署名が必要になりますが、成立すれば1億人を超えるユーザーが該当することになるので、政策の進捗には引き続き注目が集まります。
カナダ
カナダ政府でも2023年2月、政府発行のモバイル通信機器でのTikTok使用禁止を発表。
あくまでフォルティエ予算庁長官は、個人が使用するか否かの決定は個人の選択としており、規制よりも国民のサイバーセキュリティー対策を強く呼びかけています。
インド・台湾・オーストラリア
インド
インドでは、2020年6月に中国企業の主要アプリ59種を禁止。さらに2021年1月には禁止措置の恒久化を発表。
すでに全ての国民が事実上半永久的にTikTokを利用できない状態になっています。
台湾
台湾では、2019年5月に、公的機関を対象にサイバー分野の国家安全保障に危害を与える企業の製品の使用を禁止する規則を公布。情報通信設備や管轄区域でもTikTokのダウンロード・使用が禁止されています。
また、台湾はTikTokの民間での全面禁止も視野に入れていることが発表されており、アメリカ同様、民間ユーザーからの注目が集まっています。
TikTok側の主張・対応
各国のTikTok規制を受けて、TikTok及び運営するByteDance社では、以下のような主張、対策が発表されています。
ByteDance社は第三者への情報提供を否定
ByteDance社は、中国政府を含む第三者への情報提供を一貫して否定しています。
また、諸外国からの懸念を受けて、次に取り上げる様々な対策を発表しています。
データセンターを各国に設置してデータを域内管理に
各国から情報漏洩の懸念を受け、ByteDance社ではTikTokのデータを各国のデータセンターで域内管理するように対応。
データセンターの増設も行われており、情報管理の透明性の確保を図っています。
18歳未満の利用制限設置
2023年3月、TikTokは、18歳未満のユーザーを対象に、1日の試聴時間を60分に制限する機能を自動的に設定すると発表。
- 制限時間を超えた場合の延長には暗証番号が必要
- 1日の合計閲覧時間が100分を超えると上限時間設定が通知で促される
など、未成年の健全性を守るための対応がとられています。
TikTokに対する日本の方針・規制状況
諸外国の例では、政治的側面の影響もあり各国の対応にも違いが見られました。
それでは、中国の隣国である日本ではTikTokに対してどのような方針・措置が取られているのでしょうか?
欧米と足並みを揃えつつも中立的な目線
日本では、松野博一官房長官が2023年2月の会見にて、「政府端末で要機密情報を取り扱う場合には、基準によりTikTokをはじめとするSNSなど外部サービスを利用することはできない」旨を発表。
公的機関での使用禁止という立場は欧米諸国と同様ですが、あくまで「特定の国、企業の製品、サービスを排除するものではない」とした上で「サイバーセキュリティの確保」を強調しています。
また、総務省ではネット上の誹謗中傷の対策などに力を入れており、TikTokに限らずSNS全体に対して治安強化を図る方針です。
日本でTikTokが利用禁止になる可能性は限りなく低い
ここまでの現状を考慮したとしても、日本の一般ユーザーがTikTokを利用できなくなる可能性は限りなく低いと言えるでしょう。
日本政府はあくまで、SNSも包括的に視野に入れたネット環境全体のセキュリティ対策やトラブル防止を掲げています。
私たち1人1人においても、正しいネットリテラシーを身に付け、より安全にSNSを活用できる社会を目指していくことに注力していくべきでしょう。
TikTokの今後に向けて私たちにできること・対策
最後に、現在のTikTokの状況を踏まえた上で、今後に向けて私たちができることや対策について解説していきます。
コンプライアンス徹底し、健全な発信を心がける
TikTokに限らずSNSを運営する上では、コンプライアンスに則り、発信する内容に問題はないか、常に配慮することが大切です。
- 差別的な表現はないか
- コンテンツの内容に危険性はないか
- 留意点がある場合の注意喚起は十分か
といった点を確認し、炎上やアカウント凍結などのリスクがないよう健全な発信を心がけましょう。
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拡散する情報を正しく選択し、時には「通報機能」を利用する
SNSで情報を拡散する際には、それが正しい情報かどうかを正しく判断する必要があります。
SNSの高い拡散力は、時として誤った情報を拡散してしまうリスクにもつながるため、信頼できるソースなのかを確認した上で情報をシェアするようにしましょう。
また、不適切なコンテンツを見つけた場合には「通報機能」を利用することで、SNS上の治安を維持していきましょう。
複数のSNSを同時活用してフォロワーを循環させておく
規制や禁止に限らず、サーバーのトラブルなどの万が一に備えて、複数のSNSを同時活用するのもおすすめです。
特に企業アカウントやインフルエンサーの場合には、複数のSNSを同時に活用することで、年齢層など属性の異なるファンを獲得することができます。
さらにSNS間で、リンクを設定、最新の投稿をシェアするなど、フォロワーを循環させておくことで取りこぼしなく発信を届けることができるでしょう。
まとめ
今回は、TikTokの今後について、規制・禁止の論点で問題視されている懸念点や、私たち日本ユーザーにできる対策などを解説させていただきました。
結論として、日本でTikTokが利用禁止になる可能性は限りなく低いと言えますが、SNSのセキュリティリスクやネットリテラシーについては、私たち1人1人が対策を実践し学んでいくことが重要です。
TikTokは、今もなユーザー層を拡大させている人気アプリです。
特に企業様にとっては、絶大なマーケティング効果につながるポテンシャルを持つことも事実ですので、コンプライアンスに則りつつ正しい活用を心がけていきましょう。
また、TikTokに限らず、SNSのアカウント運用でお困りの際には、是非ともFind Modelにご相談下さい!
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