世界で10億人、日本でも2,900万人が利用している人気SNSであるInstagram。
最近では紙媒体の雑誌に代わりInstagramアカウントを雑誌として運営し人気を集めているインスタメディアが数多く存在ます。
そうしたインスタメディアの中には「UGC」を活用してクオリティの高いコンテンツを上手に拡充しているものがあります。
UGC活用は、Instagramアカウントの運用コストを大幅に減らしつつ高クオリティのコンテンツを増やせるメリットがあるため、自社アカウント運営を円滑にする一つのアイデアとして導入している企業もあります。
今回は、Instagramを雑誌化し多くのフォロワーを獲得している人気インスタメディアの事例を紹介しながら、そのノウハウについて解説していきます。
目次
UGC(User Generated Contents)とは?
まず、UGCとは何かを説明しておきましょう。
UGCとはUser Generated Contentsの略で、ユーザーの手により作成されたコンテンツのことを言います。
たとえば、個人の撮影した動画や写真、SNSに投稿された動画像やイラスト、ウェブサイトに投稿された口コミやレビューなどの文章も含まれます。
UGCを活用してInstagramアカウントを人気雑誌化することは、つまり「他のユーザーが投稿したコンテンツを自身のInstagramアカウントでコンテンツの一つとして紹介する」という形になります。
Instagramのアカウント運用でUGCを活用するメリット
UGCの活用は、企業とユーザーそれぞれにメリットがあります。以下で解説していきましょう。
Instagramアカウント運用でUGCを活用するメリット~企業視点~
Instagramコンテンツの制作コストを大幅に削減できる
Instagramのアカウントを人気にするためには魅力的なコンテンツ(動画・写真など)を継続的に投稿する必要があるのが大変なところ。
企業やブランドのInstagramアカウントを運用する場合、専任の担当者がつけられないとか撮影のノウハウが乏しいケースがあり、コンテンツの制作が大きな負担となります。
UGCはすでに作成された他のInstagramユーザーの投稿を紹介するため、自身でクリエイティブを作成する必要がなくアカウント運用の障壁となる画像や動画の制作コストを大幅に減らすことができます。
全ての手間をなくすことはできませんが、兼任の担当者でも比較的アカウント運用がしやすくなります。
投稿(紹介)する写真や動画のクオリティを高い状態で維持できる
UGCを活用してInstagramアカウントを運用する場合、素晴らしい投稿をしている方の写真を自社アカウントで紹介させていただく形なので、自社にクリエイティブ作成のノウハウがない場合でも魅力的な投稿をアカウントに拡充することができます。
自社と親和性の高いインスタグラマーを発掘できる
写真を紹介していく際に、自社ブランドと親和性の高いインスタグラマーを見つけることができます。
自社のアカウントに親和性の高いインスタグラマーは、その分野の最新の流行を発信しているケースが多く、自社アカウント運用やサービス・製品開発のヒントを得ることができます。
広告臭がなく親しみが持たれやすい
企業のInstagramアカウントは商品の紹介が多かったりと広告臭がしやすいため、一般ユーザーのアカウントよりも気軽にフォローしにくい印象があります。
UGCを活用したInstagramアカウントの場合、ユーザーの普段の投稿を紹介する形になるので広告臭が少なくなり「企業のアカウント」というよりは「おしゃれな写真が集まる雑誌」をフォローする感覚になるためユーザーがフォローしやすいイメージのアカウントづくりができます。
Instagramアカウント運用でUGCを活用するメリット~ユーザー視点~
情報収集が簡単
基本的に、ユーザーはハッシュタグを用いてお気に入りの写真やアカウントをInstagramで検索していますが、やはり自分から情報を見つけにいくことは大変になります。
UGCを活用したInstagramアカウントは、フォローするだけで自分の求める世界観に近い投稿が1カ所に集まってくるため、ユーザーとしても情報収集が楽になるメリットがあります。
自分の知らないインスタグラマーを発掘できる
UGCは一般インスタグラマーのInstagram投稿を活用させてもらう性質上、様々なインスタグラマーの投稿が集まることになります。
InstagramはTwitterのリツイート機能のように拡散機能がないため、自分で調べないことには今話題のインスタグラマーなどをなかなか見つけることができません。
自分の知らなかったインスタグラマーの情報を知ることができるため、ユーザーにとっては貴重な情報源となります。
人気メディアに自分も掲載されるかもというワクワク感が生まれる
UGCを活用したInstagramアカウントが人気メディアとなり有名になってくると、そのアカウントに掲載されることがユーザーとしての一つのステータスとなります。
「私も掲載されたい」と思われるInstagramアカウントに育てることで、ユーザーからの興味も増え、投稿を参考にする人も増え、話題性も増えるという好サイクルを生み出すことができます。
UGCを活用したInstagramアカウント運用の手順
UGCを活用したInstagramアカウントには様々なメリットがありますが、他人の投稿を紹介させていただく以上、適切な手順を踏む必要があります。
具体的には以下の4つ。
- 目的のInstagram投稿を見つける
- 投稿者から画像の使用許可をもらう
- リポスト(リグラム)アプリで引用投稿をつくる
- 投稿キャプションには引用元情報、感謝のコメント、リポストハッシュタグを入れる
ここでは、Instagramアカウント運用でUGCを活用する際の手順と注意点について詳しく解説していきます。
1. 目的のInstagram投稿を見つける
まず、自社の目指すInstagramアカウントのイメージに近い投稿を見つけます。
自社ブランドのオリジナルハッシュタグがある場合はそれを活用したり、投稿数の多いハッシュタグの人気投稿から見つける、店を紹介したいなら位置情報がついた投稿など、検索機能を使って理想の投稿を見つけましょう。
2. 投稿者から投稿の使用許可をもらう
自社のアカウントで紹介したいInstagram投稿を見つけたら、その投稿をしたユーザーにダイレクトメッセージやコメント欄などで投稿の使用許可をもらいましょう。
投稿の著作権、顔が写っている場合は肖像権、また、プライバシーの侵害にならないよう配慮することが大切です。
DMの送り方についてはインスタグラムのDM(ダイレクトメッセージ)の使い方とリテラシーの記事にて解説していますのでご活用ください。
3. リポスト(リグラム)アプリで引用投稿をつくる
投稿の使用許可をもらえたら、自社アカウントにて投稿を作成します。
Instagramにはシェア機能がありませんので、他人の投稿を引用したい場合は「リポスト(リグラム)」を利用します。※リポスト(リグラム)とは、Instagramでのシェアの総称です。
サードパーティが提供しているリポストアプリを活用すると、他の人のInstagram投稿をそのまま引用して投稿することができて便利です。
リポストアプリを使わずInstagram単体でもリポストはできますが、少し手間がかかるのでアプリの使用がおすすめです。
尚、UGCの著作権は作成したユーザーにありますので、加工は編集はしないようにしましょう。
リポストのやり方や便利なリポストアプリについてはインスタグラムのリツイート!リポスト(リグラム)アプリの使い方解説の記事で詳しく紹介していますので、併せてご覧ください。
4. 投稿キャプションには引用元情報、感謝のコメント、リポストハッシュタグを入れる
リポストで投稿をつくる際、投稿キャプション(テキスト)欄では、「引用元情報(メンション)」「感謝のコメント」「リポストハッシュタグ」を入れましょう。
引用元情報はInstagramのメンション機能を使うと便利です。メンション機能は「@+ユーザーネーム」の形で表され、指定するInstagramアカウントのプロフィールへのリンクとなります。
また、自身のアカウントのコンテンツとして紹介させていただくのですから、投稿を活用させていただいたお礼は欠かさず記載しましょう。
あわせて、リポスト投稿であるハッシュタグ「#repost」を追加するなどしてリポスト投稿であることを明記しておくと見ているユーザーにとって親切です。
UGCを活用したInstagramアカウントの成功事例4選
では実際にどのようなInstagramアカウントがあるのか、人気を集めているUGCアカウントを紹介していきましょう。
@frecious_officia|FRECIOUS
画像:@frecious_official|Instagram
@frecious_officialは、富士山の銘水株式会社が提供しているウォーターサーバーレンタルサービスの公式Instagramアカウントです。
@frecious_officialのInstagramアカウントでは、自社製品をレンタルしている家の内観投稿をUGCとして活用しています。
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InstagramなどSNSを活用したマーケティングでは、「商品そのものの紹介」よりも「その商品が自身の生活をどのように変えるか」を訴求することが求められます。
実際にウォーターサーバーが使用されている家の写真を多く紹介することで、見ているユーザーは自分の家にあてはめてイメージできるようになるため、購買意欲を刺激することにつながります。
アカウント内では自社製品である水と親和性の高い料理レシピを紹介しているなど、ウォーターサーバーが生活に寄り添うものであることをさりげなくアピールしているのもポイント。
さらに、キャンペーンの告知をしてファンを逃さず増やす工夫をしているなど、Instagramを最大限に活用しています。
UGCを活用して自社製品を上手に紹介している好例でしょう。
企業アカウント運用の基本的なノウハウはインスタグラムで企業アカウントを始める運用の4つのポイントの記事で紹介していますので、是非ご覧ください。
@visitjapanjp|JNTO(日本政府観光局)
@visitjapanjpは、JNTO(日本政府観光局)が運営している公式Instagramアカウントです。27万人以上のフォロワーをもつ人気アカウントの一つです。
海外から観光に来るインバウンド訪日外国人旅行客向けに日本の魅力を発信しています。
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外国人観光客をターゲットにしているため、投稿は全て英語表記となっています。
ハッシュタグ「#visitjapanjp」と写真が撮影された位置情報タグが付加されているInstagram投稿の中から、魅力的な日本の写真を選んで紹介しています。
キャプション(テキスト欄)では#visitjapanjpのハッシュタグをつけて投稿することを促しており、日本の魅力的な写真が増える工夫が見られます。
実際、#visitjapanjp のハッシュタグがついた投稿は2019年3月12日現在64万件を超えており、ブランドハッシュタグも非常に人気となっていることが伺えます。
Instagramユーザーの多くは話題のハッシュタグを検索して投稿へたどり着くため、ハッシュタグは自社の投稿への入り口と言えます。
適切に選定しなくては目的とするターゲットへのリーチ数を伸ばすことはできませんので、ハッシュタグ選びには力を入れましょう。
ハッシュタグ選定のコツはInstagramで人気投稿になるハッシュタグの効果的な付け方・選び方を徹底解説の記事にて詳しく解説していますのでご活用ください。
また、インバウンド訪日外国人観光客向けのInstagramアカウント運営のコツについては日本政府観光局(JNTO)に聞くインバウンド訪日外国人観光客向けSNSマーケティングの記事にて、JNTOのご担当者の方々に実際にインタビューしましたので併せてご活用ください。
@rili.tokyo|RiLi.tokyo
@rili.tokyoは、メディア「RiLi.tokyo」が運営しフォロワー数20万人を超える人気の公式Instagramアカウントです。
ファッション、スイーツ、ライフスタイル、カップル向け情報など、女性が気になる最新トレンドを発信しています。明るく淡い色合いのトーンで統一され、ブランドのもつ世界観がうまく表現されています。
サムネイル画像にブランド名とテーマとなるハッシュタグを表示してInstagramで検索しているユーザーの目に留まりやすい工夫もされています。
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また、@rili.tokyoはメディアとInstagramアカウントが連動している点も特徴的です。
RiLi.tokyoのメディアでもInstagramと同じようにUGCを活用してコンテンツを作成しており、テーマに沿って様々なインスタグラマーの投稿をチェックすることができます。
Instagramアカウントとメディアで集客し、オンラインショップへ促して商品を購入してもらうという導線設計がよく作られています。
自社でネットショップ(ECサイト)を持っており、ユーザーをオンラインショッピングに誘導したい場合はInstagramショッピング機能が非常に有効です。
Instagramショッピング機能は、Instagramの投稿から直接自社のネットショップ(ECサイト)へ簡単に遷移させることができ投稿から購入までをシームレスに行うことができます。
Instagramをネットショップ(ECサイト)としての上手に運営している事例やノウハウはECサイトがInstagramを活用してショッピング売上をアップさせる具体的方法の記事にて詳しく解説していますので、ネットショップの売上アップを目的として運営する際には是非ご覧ください。
@b_b_j.j|美女美容事情(ビジョビ)
@b_b_j.jは、株式会社レゾラムが運営するInstagramアカウントでフォロワー数は32万人を超える人気メディアとなっています。
Instagram上で活躍している女性たちの素敵な投稿を毎日数回紹介している積極的な運営でファンを飽きさせません。
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また、Instagramを活用してインフルエンサーマーケティングを行っているのも特徴。
Instagramで人気のインスタグラマー(インフルエンサー)に商品やサービスをPRしてもらい、多くのユーザーに認知してもらうインフルエンサーマーケティングは、SNSマーケティングの効果的な施策として今注目されています。
自社のInstagramアカウントを人気雑誌メディアとして成長させ、インフルエンサーマーケティングと組み合わせることで、例えばInstagram投稿を広告枠として企業に提供し、広告収入を得るといったビジネスモデルも考えられます。
インフルエンサーマーケティングで実際に商品やサービスをPRした成功事例についてはインフルエンサーに依頼し、商品を魅力的にPRできた成功事例8選の記事にて詳しく紹介していますので、併せて参考にしてみてください。
UGCを活用してInstagramアカウントを人気雑誌メディア化するポイント
UGCを活用して人気雑誌となっているInstagramアカウントの事例を紹介してきましたが、人気雑誌化するためのポイントを紹介しておきましょう。
アカウントの世界観を統一する
Instagramユーザーは、魅力的な世界観や得られる情報を気に入ってそのアカウントをフォローしますので、アカウントの統一感は非常に重要です。
UGCは他のユーザーの投稿を活用させてもらう性質のため選択肢が多くなりやすく、意識しないとアカウントの統一感を保つことが難しくなります。
「コスメの投稿があると思ったら急にラーメンの投稿が出てきた。このアカウントは何を伝えたいのかわからない」というちぐはぐなメディアにならないように、アカウント設計の最初の時点でテーマを綿密にねっておきましょう。
ブランドハッシュタグや親和性の高い検索用ハッシュタグを用意する
自社でUGCを活用する場合、自社の世界観と親和性の高いInstagram投稿を探すことが必要になります。
アカウントを開設してすぐの場合は自社の目指すInstagramアカウントの雰囲気とマッチするハッシュタグをメインに設定しUGCを検索する。
その上でアカウントがある程度成長し人気になってきたら、ブランド用ハッシュタグを用意してそのハッシュタグを投稿につけてもらうようユーザーに促すと、ユーザーが自主的に投稿して自社に親和性の高いコンテンツが増えていき、検索性も高まります。
UGCを活用するとはいえ、クオリティの高い投稿を探すことも大変な作業となるため、効率化を図るようにすると継続しやすくなります。
メディアに紹介されるとお得なクーポンがもらえるキャンペーンなどインセンティブをつくる
人気を高める起爆材として、例えば「メディアに紹介されるとお得なクーポンをプレゼント」といったキャンペーンを実施することで投稿が促され、自社メディアと親和性がある魅力的なコンテンツの増加につながります。
キャンペーンを行う際は、SNS上での施策となるためSNS広告を配信したり、あるいは先ほど紹介したインフルエンサー(インスタグラマー)に依頼してキャンペーンを宣伝してもらうなどするとよいでしょう。
分析と検証を繰り返して、アカウント運営を継続する
アカウントに投稿が増えてきているのに、いまいち人気が出ていないと感じる場合は分析と検証を行うことが大切です。
Instagramにはアカウントのユーザー属性や閲覧数などを知ることができるインサイト機能がありますので、定期的にチェックして狙ったターゲット層に投稿が刺さっているのかを分析しましょう。
そして分析結果から新しい課題を抽出し、次からの投稿に反映して投稿の反響を見ていくというPDCAサイクルを回し、地道に効果検証することが実はアカウントを成長させる近道となります。
Instagramのインサイト機能や分析のコツについては【徹底解説】instagramインサイトの分析で過去最大の効果を出す具体的な技術の記事にて詳しく解説していますので、是非ご覧ください。
UGCを活用してInsstagramを人気雑誌メディア化するコツまとめ
自社でInstagramアカウントを運営していても、コンテンツを作成する負担が大きく手が回らないのが悩みの種。
その点、アカウント全体の投稿全てではないにしても、UGCの活用によってアカウント運用の手間を大きく減らすことができる可能性があります。
もしInstagramのアカウント運用に悩んでいるようでしたら是非一つの打開策として参考にしてみてください。
本メディア「インスタラボ」を運営するFind ModelでもInstagramアカウント運用やSNSマーケティングについてアドバイスできますので、お悩みの際にはお気軽にご相談ください。