それぞれの消費行動は明確に区切られるわけではなく、それぞれが重なる部分もあります。
皆さんは、何かにお金を使う際、どんなことを重視していますか?
物価の高騰が叫ばれる中、どんなサービス・商品にお金を使うのかを選択するかといった価値観が変化していっています。
その背景には、SNSの普及や情報・供給の過多、地球環境の変化など様々な理由があります。
今回は、モノ消費、コト消費、トキ消費といった、消費活動にまつわる○○消費といった言葉を解説し、現代の消費活動を読み解いていきます!
現代ならではの新しい消費行動についてもご紹介していきますので、ぜひ最後までご一読ください!
目次
消費スタイルの変遷
消費スタイルの変化は時代の様々な影響を受けて常に変化を遂げていっています。
第二次世界大戦後、モノが豊かになっていったことで、自分の好きなものや生活を便利にするものへの消費行動が始まりました。
その後、何に対して消費を行うかを選択する幅が増加していったことで、様々な消費行動が生まれていきました。
消費スタイル | 特徴 | 流行した年代 |
モノ消費 | 希少性のあるブランド品を重視する | 1970年代〜 |
コト消費 | 商品・サービスを通じた体験を重視する | 1980年代 後半〜 |
トキ消費 | 一度きりの体験に消費行動で貢献する | 2000年代 後半〜 |
イミ消費 | 社会貢献できる商品・サービスを選ぶ | 2010年代 前半〜 |
エモ消費 | 感情を満たす消費体験を重視する | 2010年代 後半〜 |
ヒト消費 | 好きな人に関連する消費体験を重視する | 2020年代 前半〜 |
上記はそれぞれの消費行動が一般に顕在化した時期をまとめたものです。
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消費スタイルの種類
それでは、それぞれの消費行動はどのようなものであるのかを見ていきましょう。
モノ消費
モノ消費とは、その名の通り、モノの消費を中心とした消費スタイルで、消費者はお金を使うときに商品の所有を重視します。
一番起源的な消費行動であり、現代では日常的に多く行われています。
家電や車、アクセサリーや食べ物を購入する際に行われる消費スタイルです。
最初は衣・食・住や生活必需品から始まり、更に生活を豊かにする商品へとモノ消費の対象もシフトしていきました。
やがて、高級品・ブランド品といった価値を売り出す商品が増加し、精神面へアプローチする商品へと変化を遂げていきます。
コト消費
コト消費とは、サービスを利用することによって得られる経験や体験を重視する消費行動のことです。
「時間」を消費することを目的としている点が特徴です。
具体的には旅行や習い事、趣味やリラクゼーションを目的とした体験への消費行動などが挙げられます。
多くの消費者が生活必需品を手に入れており、インターネットが普及したことで「心の充実を満たしたい」という価値観へとシフトしたことがコト消費に拍車をかけたと考えられています。
7つのコト消費
コト消費には7つの種類があります。
①純粋体験型コト消費
純粋体験型コト消費は、ホテルや旅館などの宿泊や遊園地などのレジャー施設、アウトドアスポーツや工芸体験といった、企業が提供する商品自体が体験となっている消費のことです。
そこでしか味わえない体験ができるのが特徴ですが、手作り体験で出来たものを販売するなど、「モノ消費」につなげることもできます。
②イベント型コト消費
イベント型コト消費とは、デパートなどの商業施設で行うイベントでの消費や、ハロウィン・クリスマスパーティーといった非日常のイベントでの消費活動のことを指します。
イベント自体での利益ではなく、イベントに付随するものを販売することでモノ消費へと繋がります。
主催者は、イベントを打ちだすことで普段は獲得できない顧客を呼び、新規顧客を獲得することも出来ます。
③アトラクション施設型コト消費
アトラクション施設型コト消費とは、ショッピングモールなどの商業施設に併設したアトラクション施設で行う消費行動のことです。
映画館や美術館、アスレチック、子供向け教育エンタメ施設、水族館、動物園に行くついでに、併設の商業施設でショッピングや飲食をするといった行動が挙げられます。
④時間滞在型コト消費
時間滞在型コト消費とは、主に商業施設にて居心地のいい空間を作り、長時間滞在してもらうことを目的とした消費のことです。
例えば、ゆっくりと本を選ぶことができるカフェを併設した本屋などがあります。
前述した「イベント」や「アトラクション施設」なども、広い意味では滞在時間を増やすことに繋がるので、ここにも含まれるでしょう。
⑤コミュニティ型コト消費
コミュニティ型コト消費とは、コミュニティを作り出し、活性化していくことでモノ消費へとつなげる消費のことです。
コミュニティは「商品を中心としたコミュニティ」と「商品とは関係ないコミュニティ」の大きく2つに分けられます。
商品を中心としたコミュニティは、ダイビングショップでダイバーが集まり、コミュニティを形成して情報共有をするなどことなどが例として挙げられます。
商品とは関係ないコミュニティとは、直接は商品とは関係ない社会活動や趣味などのコミュニティをつくるものです。
⑥ライフスタイル型コト消費
ライフスタイル型コト消費とは、商業施設や店舗が消費者のライフスタイルに沿った商品を提供し、ファンの獲得・購買の促進をするのが目的の消費です。
例えば、多様化する生活者のライフスタイルに合わせてインテリアショップや雑貨屋がさまざまな商品を組み合わせて訴求する、などがあります。
⑦買い物ワクワク型コト消費
買い物ワクワク型コト消費とは、モノを買うこと自体がワクワクするようなレイアウトや雰囲気の演出といった店舗づくりを行うことで、、買いたい気持ちにさせる仕組みを作る消費のことです。
購入特典や割引もこれに該当します。
買い物という行為自体に価値を見出すのが特徴で、モノ消費とのつながりが強いコト消費でもあります。
トキ消費
トキ消費は、その瞬間にしか味わえない体験に参加し、何らかの貢献をする消費行動です。
再現性のあるモノ消費・コト消費とは違い、一生に一度しか体験できないことへ自分も参画することに価値を見出します。
トキ消費にはコト消費と比較して3つの特徴があるとされています。
トキ消費の3要件
①非再現性・限定性
時間や場所が限定されており、そのときを逃すと同じ体験が二度と得られない体験を指しています。
②参加性
コンテンツというよりも、その場で参加すること自体に価値や目的があることを指します。
同じ趣味嗜好を持つ人たちが集まって盛り上がる場に主体的に参加することで、不特定多数の人と体験や感動を分かち合うことが重要な運動体です。
③貢献性
集まりやイベントに対して、各参加者が参加した成果が目に見えて分かり、その貢献を実感することができることです。
インターネットやSNSが普及しだし、家にいてもオンライン上でイベントの様子を知ることが出来、写真や動画を見ることで疑似体験をすることも簡単になりました。
そのような背景から、「今だけ」「ここだけ」という点や、プロセスに価値を感じる消費者が増加したことが考えられます。
例えば、ライブやフェスで盛り上がることでその場にいる人と同じ時間や感動の共有をすることや、クラウドファンディングでコンテンツの応援を行うこと等が挙げられます。
消費者が他人と一緒に生み出すトキ(ライブ感)に主体的に参加する点がコト消費と異なると言えるでしょう。
イミ消費
イミ消費とは、ホットペッパーグルメ外食総研エヴァンジェリストの竹田クニ氏が提唱した概念で、商品やサービスの社会的・文化的な意味を重視する消費行動のことを指します。
その商品・サービスを購買することで、二次的にどのような価値を生み出すかという点が重要です。
イミ消費は、2011年の東日本大震がきっかけで生まれた消費行動であると言われおり、当時は被災地に生活費需品を送ったり、現地の商品・サービスを購入することで復興を支援するという消費行動が行われました。
イミ消費における消費者の関心は、「環境保全」「地域貢献」「フェアネス(正義)」「歴史・文化伝承」「健康維持」など様々です。
最近ではSDGs(持続可能な開発目標)というワードを耳にすることも増えていることからも、環境や未来への活動へ対して消費者の関心が高まっていることが伺えます。
消費者は、付加価値へと対価を支払うことで充足感や貢献感を感じることが出来ます。
また、イミ消費の中には、本人の健康・予防につながる食品を選ぶといった個人主体のものもあります。
エモ消費
エモ消費は、コラムニストの荒川和久氏が提唱した、精神的な満足度を得るための消費行動を指す言葉です。
「エモ」は「emotional(感情的)」が語源で、「感情が満たされた、心が揺さぶられた」という意味合いで若者を中心に使用されている言葉です。
自分のためにお金を使うことが多い若年層や独身者がターゲットとなっており、単身世帯の増加がエモ消費に拍車をかけていると考えられます。
一人暮らしによる孤独や寂しさを満たすため、社会的な役割を果たしたり、同じ趣味を持つ人々とSNSなどを介してコミュニティを生成することが特徴です。
感情を共有することで自分の居場所を確認することができ、消費者ありきの消費行動であると言えます。
例えば、現像に手間のかかるフィルムカメラを使用してわざわざ写真を撮ったり、好きな芸能人の誕生日にグッズを作成したりケーキを買って祝う姿をSNSで共有する、といった行動が挙げられます。
エモ消費はまだ一般的に使われている言葉ではありませんが、オンライン上で完結できることが増加するにつれ、これから先多くの目に触れ概念が変化したり、異なる特徴が提唱される可能性もあります。
ヒト消費
ヒト消費とは、商品・サービスではなく“ヒト”の持つ魅力や物語をエンターテインメントとして捉え消費することを指します。
ここで言う“ヒト”には、芸能人やアーティスト、YouTuber、スポーツ選手といった実在する人物だけでなく、アニメや漫画、ゲームに登場する架空のキャラクターも含まれます。
「誰が、誰に、誰と、何をするか」という、その場にいるヒトが効用を生み出す起因となっている点では「トキ消費」と似ており、また、対象を応援する際の消費行動としてはエモ消費にも類似した部分があります。
コロナによる影響でイベントなどが中止されていた2020年から、オンライン上で自身の好きなヒトを応援する行為が増加したことがヒト消費を活発にさせたと考えられます。
動画配信アプリで投げ銭を行ったり、オーディション等の投票のためにCDやグッズを大量に購入する、といった消費行動が挙げられます。
「応援する対象の役に立っている」という自己満足感が自身の精神的充足に繋がっており、自分のために誰かを応援したいという意識が作用しているのです。
今後の消費活動
以上のように、最初は生活に必要なものを購入するという単純なモノ消費から始まった消費活動が、商品やサービス、インターネットやSNSの普及といった時代の変化により様々な消費活動へとシフトしていったことが伺えます。
しかし、消費活動の流れが変わっても他の消費活動を行う消費者がいなくなるわけではありません。
それぞれの消費活動は相互に関係していたり重なっているため、それぞれの関係性や繋がりを考えることが重要となります。
たとえば、アーティストのイベントを行う際にも、CDやグッズといったアーティストの商品を売り出す必要があり、購入の際には「アーティストを応援したいから」という理由もあれば「純粋に商品が魅力的だから」といった意見もあります。
また、アーティストのファンであるがイベントにはいかずCDやグッズを買うことが目的であるというファンもいるでしょう。
さまざまな消費行動が生まれているということは、人それぞれほしいモノややりたいと思うコト・トキが異なるということでもあります。
現在顕著に見られているヒト消費の流れも、いずれ別の消費行動へと変化していくと考えられます。
情報やコンテンツ、商品といった生産が増加することでニーズ自体も多様化しているため、消費者一人ひとりの消費行動のタイプを理解し、対応していく必要があるでしょう。
まとめ
以上、消費活動にまつわる○○消費といった言葉を解説していきましたが、いかがでしたか。
様々な消費行動を知ることで消費者の考えや価値観を理解し、何が求められているのか、そのためにどんなモノ・コト・トキが必要となるのかを考えて商品やサービスを創出していきましょう。
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