SNSなどをはじめ、インフルエンサーにマーケティングを依頼するという例は以前に比べてかなり増えてきました。
しかし、インフルエンサーマーケティングを依頼する際、法律に則って依頼する必要があり、依頼側は法律に引っ掛からないように留意しなければなりません。
本記事では特に、医療系の案件において守らなければならない法律をもとに、考慮すべき点を解説いたします。
結論から言うと、医師や看護師・美容師のように、薬品などを取り扱う国家資格などの資格を保有しているインフルエンサーには、インフルエンサーマーケティングの依頼を避けなければなりません。
ではどのような法律により避けなければならないのでしょうか?
医療系の案件をインフルエンサーに依頼したい企業の担当者の方は、ぜひご確認ください。
薬機法について
薬機法とは「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」のことを指します。
名前の通り、
- 医薬品
- 医薬部外品
- 化粧品
- 医療機器
- 再生医療等製品
の品質と有効性及び安全性を確保するために、製造、表示、販売、流通、広告などについて細かく定めたものになります。
そのため、医薬品等を製造、販売、広告する際には、必ずかかわってくる法律なのです。
そして薬機法における「広告」とは
- 顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること。
- 特定医薬品等の商品名が明らかにされていること。
- 一般人が認知できる状態であること。
のいずれの要件も満たす場合であると定められています。(医薬監第148号(平成10年9月29日)より)
すなわち、テレビや雑誌での広告に限らず、SNSなどのインターネットも範囲内であり、さらにはインフルエンサーマーケティングも薬機法では「広告」とみなされるのです。
薬機法で特に広告主とインフルエンサーが共に留意すべき内容は「広告規制」とされており、虚偽・誇大広告等の禁止(薬事法第66条) を守るように十分留意しなければなりません。
広告規制に関する詳細などは、下記の関連記事に詳細に書かれていますので、参考にしてみてください。
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【表現記載例あり!】化粧品やサプリメントは要注意!PR投稿時の注意すべき表現は?【薬機法・景品表示法・ステマについて】
薬機法が与える「インフルエンサーの起用範囲」
実は薬機法では広告内容だけに気をつけていればいいというわけではなく、起用するインフルエンサー自体も留意する必要があるのです。
具体的には「医療関係者ならびに資格・免許保有者」の場合、医薬品などの商材を宣伝すること自体が禁じられているのです。
なぜなら薬機法第66条2項には
医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布すること
が禁止されていると明記されており、医療にかかわっていた経験のあるインフルエンサーのマーケティングは「保証したものと誤解されるおそれがある記事」に該当してしまうのです。
また、保証とまでは言えなくとも、医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等において、
医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所、薬局、その他医薬品等の効能効果等に関し、世人の認識に相当の影響を与える公務所、学校又は学会を含む団体が指定し、公認し、推せんし、指導し、又は選用している等の広告を行ってはならない。
と定められており、より広い範囲で影響力がある団体等が推薦する広告等を出すことが禁じられているのです。
この趣旨は
医薬品等の推せん広告等は、一般消費者の医薬品等に係る認識に与える影響が大きいことに鑑み、一定の場合を除き、例え事実であったとしても不適当とする
という考えから成り立っており、すなわち一般消費者からすれば「医療従事者が商品の推薦をしているのであればいいものなのだろう」と考えてしまうからです。
インフルエンサーマーケティングは広告に見えにくいものの、金銭が発生している場合がほとんどなので、医療従事者が推薦する商品=医療的に素晴らしい商品とは限らないのです。
また、「元」医療従事者に関しても、知識を有しているので一般消費者に与える影響が大きいという点は現役の医療従事者と変わらないので、依頼は避けるようにしましょう。
インフルエンサーに依頼する際のOK/NGの判別
一般的に医療従事者・関係者・免許保有者と言われると医師や看護師が思いつきますが、薬剤を取り扱うという意味では美容師や化粧品関係の方も含まれるため、依頼する際は注意が必要です。
- ヘアケアアイテムをPRする際、一般の方であればOKですが、美容師免許を保有しているインフルエンサーに依頼するとNGになります。
- 健康食品は薬機法の適用外のため、医療従事者のインフルエンサーでもPRは可能ですが、病気の予防や治療効果があると謳ってしまうと薬機法第68条の「承認前医薬品等の広告の禁止」にあたってしまうので留意が必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
企業が医薬品や化粧品などを販売する際、より詳しい、もしくは権威のあるインフルエンサーにマーケティングを依頼したいと考えるかもしれません。
しかし場合によっては薬機法に該当する可能性もあるため、十分注意が必要です。
自社が宣伝したい商材とインフルエンサーの職歴を照らし合わせ、法律違反をしないような依頼をするように心がけましょう。
インフルエンサーマーケティングの依頼に不安が残る、という企業の担当者の方は、こちらまでお気軽にご相談ください。
インスタラボ編集部の公式記事。
支援実績11,000件、最大2.6億リーチ可能なFindModel(ソーシャルワイヤー株式会社)が運営しています。
ILライター:M.N・Y.O・T.S・R.S・K.Mの5名で運用。
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