企業がSNSアカウントを運用することにより、ユーザーとのコミュニケーションを図りながら、より近い距離でアプローチを行うことが可能となり、多くのメリットが存在します。
拡散力の高いSNSにおいては、「バズ」を生み出すことで商品の売り上げが増加する事例も多く見受けられるため、話題を生み出す投稿を試みた経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
SNSを上手に活用すれば多くのメリットが得られますが、運用方法や投稿内容を誤ると、炎上を引き起こす可能性もあります。
一度炎上が発生すると、ユーザーにマイナスイメージが定着し、商品やサービス、ブランドに対する不信感を抱かせることとなるでしょう。
企業SNSアカウントを運用する上で、炎上は絶対に避けたい事態です。
本記事では、実際に発生した企業アカウントの炎上事例を基に、炎上の主な原因や未然に防ぐための対策についてご紹介いたします。
「自分は大丈夫」と思っていても、思わぬところに炎上リスクが潜んでいる可能性があります。
企業アカウントの運営を担当されているSNSご担当者様は、ぜひ最後までご一読ください。
企業SNSの炎上事例5選
実際にあった企業SNSの炎上対策としては以下のような例が挙げられます。
1.飲料会社がSNSマーケティングで使用した「○○女子」に批判殺到
2018年、新商品発売のプロモーションに際して、ある飲料会社がX(旧Twitter)に投稿した内容が批判を浴び、炎上した事例があります。
その投稿では、商品の種類に応じて「モデル気取り自尊心高め女子」「ロリもどき自己愛沼女子」「仕切りたがり空回り女子」「ともだち依存系女子」といったタイプをイラストと共に紹介していました。
「○○女子」というキーワードはSNS上でもよく見かけますが、上記の内容は女性を貶めるように感じられるネガティブなキーワードであったため、女性ユーザーを中心に批判が殺到。
上記の結果、プロモーションは逆効果となり、投稿は削除される事態に至りました。
2.サプリメントメーカーのPRによる薬事法・景品表示法違反の疑い
サプリメントを販売するビューティーケアブランドが、SNSでインフルエンサーを介してPRを行う中で、薬事法や景品表示法に違反した疑いがあったために炎上したケースも存在します。
本事例では、サプリメントの紹介を行う際にインフルエンサーとのタイアップを実施しましたが、「乾燥知らずのうるおい肌」などといった効能を謳うフレーズが炎上の原因となりました。
医薬品ではないサプリメントにおいて、効能や効果を標榜する表現で広告を行うことは薬事法に違反する疑いがあります。
また、効果が確約されない商品に対して「使用すれば○○が治る」といった表現を使用することも、薬事法や景品表示法に違反する可能性があります。
企業のSNS投稿内容はもちろんのこと、インフルエンサーとのタイアップ投稿を行う際には、表現やフレーズについてのマニュアルを作成し、投稿前に内容を厳密にチェックすることが必要となるでしょう。
薬機法(旧薬事法)に関しては、以下をご参照ください。
参考:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
3.大手ピザ店のアルバイト従業員による問題行動
アルバイト従業員が店内で問題行動を行い、それをSNSに投稿して炎上を引き起こす「バイトテロ」も多く見受けられます。
2013年に大手ピザ店のアルバイト従業員がX(旧Twitter)に投稿した動画では、厨房でシンクに座り込んだり、冷蔵庫に体を入れる様子が撮影され、ユーザーから批判が殺到しました。
投稿が削除された後も動画は転載・拡散され、ネット上に残り続け、最終的には会社が謝罪する事態に至りました。
炎上による負債は2億400万円にも上り、多くのユーザーの信頼を失う結果に。
アルバイト従業員の中には、責任感やモラルが欠如している者も存在することが予測されるため、SNS利用に関する教育はもちろん、労働中の問題行動に対しても厳格に取り締まることが必要です。
4.大手旅行代理店の公式アカウントから誹謗中傷のリプライ
2015年、大手旅行代理店のX(旧Twitter)アカウントから、あるタレントに対して「ぶさいく」というリプライが行われ、炎上する事態が発生しました。
投稿は直ちに削除されましたが、ユーザーからはタレントへの同情の声と共に「許せない」といった批判が殺到し、最終的には会社が謝罪を行う結果となりました。
投稿の原因については不明と発表されましたが、なりすましの可能性やアカウント担当者がプライベートのアカウントを誤って使用した可能性が考えられています。
5.架空の商品によるキャンペーンが生んだ混乱
2022年にピザチェーン店がマーケティングリサーチの一環として実施したキャンペーンでは、ウェブサイトに架空の商品を掲載しました。
実際に販売している商品と同じ並びで架空商品を表示していたため、商品を実際に注文しようとしたユーザーに混乱を招く結果に。
混乱はX(旧Twitter)で共有され、1000以上のリポストで拡散されました。
ユーザーからは「紛らわしい」「手間が増えた」といった意見や批判が多く寄せられ、結果として企業のイメージを損なうこととなりました。
商品やサービスをより良くするために行った手法ではありましたが、消費者に意図が伝わらず、不快な思いを抱かせてしまったことが炎上の原因であると言えるでしょう。
企業SNSが炎上する原因とは
企業SNSが炎上する主な原因として、主に以下の原因が挙げられます。
社員・アルバイト従業員による問題行動
SNSの投稿が個人で気軽に行えるようになってから、店員による問題行動が動画や画像で拡散されることが増え、SNSでの炎上にとどまらず、メディアでも大きく報道されることがあります。
たとえ本人が鍵付きのアカウントや「親しい友だち」リストのみで投稿を行っていても、閲覧できるユーザーがスクリーンショットや画面録画で投稿を保存し、拡散されて炎上を引き起こすこともあります。
特にアルバイト従業員には10代の若者も多く含まれているため、問題行動に対する意識がまだ低いことが予測されます。
そのため、まずは従業員に問題のある行動を取らせないよう、しっかりとした教育を行うことが重要です。
さらに、職場でのSNS投稿は個人情報の取り扱いなどに関する問題行動にも繋がりかねないため、基本的にやめさせるといった対策も必要です。
従業員たった一人の行動が企業のブランドイメージを大きく損なうことに繋がるため、注意していきましょう。
法律や法令に違反する投稿
SNSで投稿を行う際には、表現や文章の作り方に注意する必要があるでしょう。
特に広告出稿を行う際には細かなルールが定められているため、知識がない場合、悪意がなくても違反に繋がり、炎上するケースがしばしば見られます。
広告であるにもかかわらず広告であることを隠すステルスマーケティングについては、令和5年10月から規制が始まるなど、法律の改定も行われています。
企業SNSの運用やインフルエンサーマーケティング、SNSの広告出稿を行う際には、以下のポイントに注意して運用を行うことが重要です。
- 法律の理解と遵守: 広告に関する法律や規制(薬事法、景品表示法、特定商取引法など)をしっかりと理解し、遵守する。
- ステルスマーケティングの禁止: 広告であることを明示し、消費者を誤解させないようにする。
- 表現のチェック: 効能や効果を誇張する表現や、誤解を招く表現を避ける。
- インフルエンサーとの連携: インフルエンサーとタイアップする際には、広告であることを明示するように指導し、投稿内容を事前にチェックする。
企業SNSの運用やインフルエンサーマーケティング、SNSの広告出稿を行う際には、予め法律についての情報を知った上で、表現に違反がないかしっかりとチェックしましょう。
なお、法律・法令・SNSのルールに関する記事は以下をご参照ください。
- 薬機法とは?AIによる薬機法チェックのサイト・ツール5選
- 【表現記載例あり!】化粧品やサプリメントは要注意!PR投稿時の注意すべき表現は?【薬機法・景品表示法・ステマについて】
- お酒・アルコール関連のX(旧Twitter)アカウント運用の注意点と成功事例5選
ジェンダー・政治・宗教・民族にまつわる投稿
SNSは多くの人が利用しているため、不快に感じる表現は人によって異なります。
運用者が問題に感じない投稿であっても、一部のユーザーにとっては不快に感じることが多くあるでしょう。
そのため、SNSにおいては以下の点に注意することが重要です。
- ジェンダーに関するバイアス: 性別に基づく偏見やステレオタイプを含む内容は避ける。ジェンダー平等を意識した表現を心がける。
- 政治にまつわる意見や内容: 政治的な意見や内容は、特定の立場を支持するような表現を避け、中立的な立場を保つ。
- 宗教に関する偏った内容: 宗教に関する投稿は慎重に行い、特定の宗教を支持したり、他の宗教を批判するような内容は避ける。
- 民族に関する個人的な見解: 民族や人種に関する投稿は、差別的な表現やステレオタイプを避け、尊重と理解を示す内容にする。
- 年齢に対するエイジズム: 年齢に基づく偏見や差別を含む内容は避け、すべての年齢層に対して尊重を示す。
- 容姿で評価するルッキズム: 容姿に基づく評価や偏見を含む内容は避け、すべての人の多様性を尊重する。
無意識のうちに差別をしてしまっていないか、改めて投稿や意識を見直すことが大切です。
SNS担当者によるアカウント間違い
企業のSNS担当者が、自身の個人的なアカウントと企業のアカウントを間違えて投稿してしまう、通称「誤爆」による炎上も頻繁に見られます。
たとえ投稿内容が問題のあるものでなくても、情報の取り扱いに対して信頼性が低いとみなされてしまうことに繋がるでしょう。
企業アカウントの運用を行う際には、以下のような工夫を行うことで、アカウント間違いによる投稿を未然に防ぐことが重要です。
- 端末を分ける: 個人用と企業用のSNSアカウントを別々の端末で運用する。
- ブラウザのプロファイルを分ける: 同じ端末を使用する場合でも、ブラウザのプロファイルを分けることで、アカウントの切り替えを明確にする。
- 専用のアプリを使用する: 企業アカウント専用のSNS管理アプリを使用することで、個人アカウントとの混同を防ぐ。。
- ログイン情報の管理: ログイン情報を適切に管理し、個人アカウントと企業アカウントの混同を防ぐ。
上記の対策を講じることで、アカウント間違いによる投稿を未然に防ぎ、企業の信頼性を維持することができます。
SNSの炎上を未然に防ぐには
最後に、企業がSNSで炎上しないよう、未然に防ぐ対策法をご紹介していきます。
SNS運用に関する研修や教育を行う
SNSを運用する際には、運用担当者にあらかじめ研修や教育を行うことが有効です。
- 炎上リスクの理解: 炎上のリスクがある投稿や表現の特徴を学びます。
- 対応方法の習得: 炎上しそうになった際の対応方法を学びます。
- 基本的な姿勢の確立: SNS運用にあたっての基本的な姿勢を学びます。
- ガイドラインの理解: 企業の理念だけでなく、各SNSのガイドラインも頭に入れておくことが重要です。
炎上しやすいコンテンツを把握する
SNSで炎上する原因としても紹介したように、以下のような投稿には注意が必要する必要があります。
- ジェンダー、政治、宗教、民族にまつわる投稿: これらのテーマは炎上を生みやすい特徴があります。
- 年齢や容姿にまつわる発信: エイジズムやルッキズムを避けるため、慎重に扱う必要があります。
無意識のうちに差別的な表現をしてしまわないよう、炎上しやすいコンテンツについてあらかじめ知っておくことが重要です。
また、個人的なバイアスを避けるために、複数の人間で問題がないかチェックすることも有効となります。
さらに、通常時なら問題がない内容でも、災害や事件の直後などはタイミングにも注意しましょう。不快に感じる人がいないかを考慮することが大切です。
SNSの運用マニュアルやルールを定める
企業の中でSNSの運用マニュアルやルールを明確化しておくことも有効です。
- 一貫性の確保: 運用者が変わったり、複数人で運用を行う場合でも、一貫した運用ができるようにします。
- 速やかな対応: 炎上を回避するだけでなく、万が一炎上が起きた際も速やかに火消しを行うことができます。
- 定期的な更新: マニュアルを設定したら、情報が古くならないよう定期的に更新します。
ソーシャルリスニングツールの導入
ソーシャルリスニングとは、SNSや掲示板などで発信された自社に関するデータを収集・分析し、リスク管理や商品・サービスの開発に活用するシステムを指します。
上記のシステムは常にオンライン上の動向を監視しているため、炎上の兆候を早期に察知し、適切なリスク対策を講じることが可能です。
さらに、自社の企業イメージや消費者の行動に関する情報を収集できる点も大きな利点です。
まとめ
以上、実際に合った企業アカウントの炎上事例や、炎上の原因・対処法をご紹介しましたが、いかがでしたか?
企業のSNSアカウントを運用する際には、本記事で紹介した事例を知っておくことで、炎上を生まないよう心がけていきましょう。
なお、SNS運用やインフルエンサーマーケティング・広告配信においては、代行サービスを利用することで円滑にSNS活用を行うこともできるでしょう。
弊社Find Modelでは貴社の商材やサービスに最適な広告プラン/インフルエンサー/SNSを提案させていただきますので、こちらからお気軽にお問い合わせください。
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