10代~20代の若者を中心に現在非常に人気を集めている動画作成・共有モバイルアプリ「TikTok(ティックトック)」をご存知でしょうか。高い広告効果が期待できることから、新たなマーケティングの手段としても注目されています。
今回はTikTokの特徴とTikTok広告を用いた動画マーケティングのポイントについて詳しく解説してまいります。
実際のTikTok広告の成功事例を見ながら学びたいポイントを解説していますので、動画マーケティングのヒントとしていただければと存じます。
目次
TikTokとは?ユーザーデータや特徴など人気の理由
TikTokは中国の北京字節跳動科技有限公司(Bytedance)によって開発・公開されている動画作成・共有モバイルアプリです。
2016年のサービス開始以降人気を集め続けているTikTokですが、いったいどのようなものなのでしょうか。まずはじめにTikTokのユーザーデータやTikTokの特徴、どういった点が人気を集めているのかについて解説いたします。
TikTokのアプリダウンロード数
画像:The Top Mobile Apps, Games, and Publishers of 2018: Sensor Tower's Data Digest|Sensor Tower
TikTokはiOSやAndroidに対応したモバイルアプリです。アメリカのモバイルアプリマーケティング調査会社「SensorTower」の調査によると、TikTokアプリのダウンロード数はiOS版とAndroid版合計で全世界10億ダウンロードを突破したとのことです。
そのうち約6億6,300万は昨年2018年内に行われたもので、これはFacebookアプリの約7億1,100万に次ぎ、Instagramアプリの約4億4,400万を超える数となっています。
AppStoreからのダウンロード(ゲーム以外)では2018年に最もダウンロードされたアプリとして高い人気を誇っています。
参考:SensorTower「TikTok Surpasses One Billion Installs on the App Store and Google Play」-2019年2月26日(参照2019年3月29日)
TikTokユーザー数(世界、日本)
画像:TikTok Continues Its Climb With 75 Million New Users in December, Up 275% From 2017|Sensor Tower
全世界でのTikTokユーザー数は非常に多く、2018年6月には月間アクティブユーザー5億人に到達しました。アメリカのモバイルアプリマーケティング調査会社「SensorTower」の調査によると、昨年2018年12月単月のTikTokアプリ新規ユーザー数は7,500万人を超えるとのことです。
これは前年2017年12月の2000万人の275%もの数となり、ユーザー数の増加は非常に著しいものとなっています。
日本におけるTikTokユーザーは950万人(2019年2月)となっており、この1年ほどでTikTokの利用者数は劇的に増えています。
日本のICT分野における各種市場調査を行う企業「ICT総研」が行った主なSNSの利用率を調べるアンケート調査でTikTokの利用率が7.1%であることがわかりました。数字だけでは低い値であるものの、前年にはランク外であったことからTikTokの利用率は急激に伸びていることがわかります。
5大SNS(Twitter・Instagram・LINE・Facebook・YouTube)と比較すると日本においては未だTikTokの利用率は低いですが、注目度はかなり高まっているといえるでしょう。
参考:
SensorTower「TikTok Continues Its Climb With 75 Million New Users in December,Up 275% From 2017」-2019年1月24日(参照2019年3月29日)
ICT総研「2018年度 SNS利用動向に関する調査」-2018年12月18日(参照2019年3月29日)
5大SNSのユーザー数については【最新版Excelデータ配布中】5大SNSユーザー数(Facebook,Twitter,Instagram,YouTube,LINE) と利用企業数比較の記事にて詳しくまとめていますので、SNSマーケティングを行う際にご活用ください。
人気の理由は15秒の気軽なショートムービー
画像:TikTok-Global Video Community|App Store
YouTubeなどの動画共有サービスで動画を作成し投稿するには技術が必要で、手間や時間が掛かり誰もが動画を気軽に投稿できるとは言い難いです。しかしTikTokで投稿するのはたった15秒のショートムービーです。
スマートフォンを用いていつでも気軽に動画を撮影・投稿することができるので、誰もが簡単に動画を投稿することができます。
音楽に合わせたリップシンク(口パク)動画やダンスの動画がTikTokにおいて非常にメジャーですが、編集機能も実装されており工夫次第で誰でも凝った内容の動画も作成することが可能です。
スマホ縦長全画面のダイナミックな画面
YouTubeやニコニコ動画のような動画共有サービスは元々PCに向けたサービスが主流でした。現在ではモバイルアプリも提供されており、スマートフォンやタブレットでも動画を視聴することができますが、動画の縦横比はPCのモニターに合わせた横長であるため、全画面で快適に視聴するためにはモバイル機器を横向きにしなければなりません。
一方、TikTokははじめからモバイル機器に向けて開発されたサービスです。スマートフォンの画面に最適化されているため、縦長全画面でダイナミックな動画を快適に楽しむことが可能です。
豊富なBGM選択やエフェクト編集が誰でも簡単にできる
TikTokには標準で編集機能が実装されています。速度調整機能やタイマー機能、フィルターといった定番のものから、「美肌」「痩せ」「目の強調」などの美容機能に様々な種類のスタンプを押せる機能もあります。
また、TikTokならではの機能として、動画と一緒に再生する楽曲を選んだりトリミングしたりというものもあります。豊富なBGMを自由に選ぶことができ、アレンジは無限大です。
様々な編集機能が豊富に用意されており、動画制作に慣れていない素人でも簡単に様々な動画を作成することができることも多くのユーザーに受け入れられる人気のポイントです。
TikTok広告とは。3種類のフォーマット(起動画面広告、インフィード広告、ハッシュタグチャレンジ)について詳しく解説
画像:TikTok Ads
代表的な動画共有サービスであるYouTubeと同様、TikTokにおいても「TikTok Ads」という広告配信プラットフォームが提供されており、広告の配信目的やターゲティングに合わせて最適化された広告を配信することが可能です。「TikTok Ads」には以下のような特徴があり、正確なターゲティングを行うことができます。
画像:ByteDance 広告配信プラットフォーム「TikTok Ads」として全面リニューアル
- 精度の高いユーザー属性のターゲティング
- 視聴コンテンツに合わせた広告の配信
- 年齢や性別、居住地域、使用しているOSなど、詳細なターゲティング設定
- 独自アルゴリズムによる目標CPAに合わせた入札・最適化
- 動画広告作成ツールの提供
5秒~15秒の動画広告をスマートフォンにフルスクリーン表示できる点や、スマートフォンという音声や音楽を再生でき「音」を聴ける環境であるため「音」での訴求が可能である点、SNSであるため広告を拡散することができる点などは、スマートフォンに最適化された「TikTok Ads」のメリットです。
TikTokが元々15秒というショートムービーを投稿・共有するサービスであるため、通常の投稿との差が少ない動画広告を配信出来る点も「TikTok Ads」ならではといえるでしょう。
参考:PRTIMES「ByteDance 広告配信プラットフォーム「TikTok Ads」として全面リニューアル」-2019年1月18日(参照2019年3月29日)
以下、TikTok広告の3つのフォーマット
- TikTok起動画面広告
- TikTokインフィード広告
- TikTokハッシュタグチャレンジ広告
について特徴やメリット、デメリットを紹介していきます。
TikTok起動画面表示広告の特徴
画像:TikTokアプリ 起動画面広告
起動画面表示広告は、TikTokのアプリを起動した際に全画面表示される広告です。
画像かGIF形式の画像・アニメーションを表示することが可能で、表示時間は画像の場合3秒、GIF形式のデータの場合は3秒~5秒表示することができます。広告上にリンクを設置することができ、アプリ内ページあるいは自社ホームページなどの外部ページに誘導を行うことが可能です。
アプリの起動時に全画面表示され多くのユーザーの目に留まるため、非常に訴求力と拡散力が高いのが起動画面表示広告のメリットです。
反面、1日1枠限定のため広告枠を確保するのが難しく、広告にかかる費用も高額であるのがデメリットとなります。
TikTokインフィード広告の特徴
画像:TikTokアプリ インフィード広告
インフィード広告は、通常の投稿動画の間に表示される広告です。広告の形式は通常の投稿と同じく動画形式で5秒から15秒の動画を設定することができます。広告上にはリンクを設置できアプリ内ページや外部サイト、アプリストアへの誘導が可能なほか、様々なCTAの設定が可能になっています。
3種類の広告の中でいちばん通常の投稿動画に近いのがインフィード広告となっています。「いいね」や「コメント」「シェア」などを付けることもできるためTikTok内に限らず他SNSへの拡散も狙うことができ、クリエイティブ次第で大きな広告効果を出すことも可能です。
TikTokの投稿動画は全画面で再生されるうえ、TikTokのユーザーが最も利用する「おすすめ投稿」に表示されることからも、訴求力はとても高いといえるでしょう。
一方で広告の効果がクリエイティブに大きく依存する点はインフィード広告のデメリットと言えるかもしれません。ユーザーの興味を引く内容の動画でなければ広告の効果は望めないでしょう。
実際、広告を鬱陶しく思うユーザーも多いため、ユーザーに親和性の高いクリエイティブを制作しないと悪い印象を残してしまう可能性もあります。
良くも悪くもクリエイティブの影響が大きいため、良質のクリエイティブを作成するのがインフィード広告を利用する際に最も重要となります。
TikTokハッシュタグチャレンジ広告の特徴
画像:TikTokアプリ ハッシュタグチャレンジ広告
ハッシュタグチャレンジ広告は、ハッシュタグ(#○○)を設定し、そのハッシュタグにちなんだ動画の投稿をユーザーに促すという広告です。
多くのTikTokユーザーに動画を投稿してもらい、エンゲージメントを高めることでUGC(ユーザー生成コンテンツ)の促進・拡散を狙います。
ディスカバリーページのトップにバナーを設置できるほか、アプリ内にコンテンツのページを設置することができます。
TikTok側からのサポートも受けることができるため、非常に高い訴求力を持った広告効果を期待できます。
動画広告を視聴してもらうだけでなく、ユーザー参加型コンテンツのようになるためTikTokユーザーからは人気が高く、話題にもなりやすい広告です。「バズる」という言葉が流行したことは記憶に新しいですが、まさに「バズる」ことを目的にしたのがこのハッシュタグチャレンジ広告です。
非常に効果的で高い広告効果が期待できるハッシュタグチャレンジ広告ですが、広告費が非常に高額になるのが最大のデメリットです。起動画面表示広告やインフィード広告も含まれた総合的な広告パッケージとなっており、TikTok側から受けられるサポートにも費用がかかるためコストが高騰することになります。
有名人や人気TikTokerを起用したタイアップ企画を行う場合など、確実に大きなリターンが生み出せる場合に利用したい広告形式です。
成功事例から学ぶTikTok広告の効果を最大化させる5つのコツ
TikTok広告の3種類の広告形式を解説してまいりましたが、それぞれ違った特徴とメリット・デメリットがあることがお分かりいただけたかと思います。
続いて広告形式に関わらずTikTok広告の効果を最大化するために押さえておきたい5つのコツについて解説いたします。
1. クリエイティブはモバイル対応(縦長)にする|サランラップ
TikTokはスマートフォンなどのモバイル機器に最適化されています。
他の動画共有サービスで主流のPCモニターに合わせた横長比率の動画ではなく、スマートフォンに合わせた縦長比率の動画を全画面で再生できるのがTikTokの大きな特徴ですので、クリエイティブはTikTokの仕様に合わせたモバイル対応の縦長比率で作成しましょう。
出典:@サランラップ|TikTok
こちらは食品用ラップフィルムで有名なサランラップの広告としてTikTokで配信されていた動画です。動画自体はもともと横長のテレビCM動画なのですが、モバイルにあわせて上手く編集しています。
画面の高さが足りない部分はBGMの歌詞をテロップにして表示させたりブランドロゴを表示させて空いたスペースを上手く活用しています。
以下が元のCMです。
動画:サランラップたぶん、クマ|YouTube
ミレニアル世代やZ世代といったデジタルネイティブユーザーはスマホ(スマートフォン)を縦向きのまま使う割合が多いといわれていますので動画マーケティングを行う際は意識したいところです。
TikTokを好むデジタルネイティブへのマーケティングは【事例あり】ミレニアル世代のマーケティングで絶対外せない14要素の記事にて詳しく解説していますのでご活用ください。
2. 動画で制作、さらに動的効果をつけて目を引く|モンスターストライク
TikTokは動画共有サービスですのでクリエイティブは動画で作成するのが基本です。しかしながら、TikTokで出稿することが可能な動画広告は最長でも通常の投稿動画と同じ15秒の長さとなります。
重要になるのは短い動画で如何にして多くのユーザーの目を引くかという点です。そこでおすすめなのが動画の内容に動的効果をつけることです。
ダンスをはじめとした動きの多い動画は動作自体が単純でも派手さが出て視聴者の目を引くことができます。動きの多さを意識してクリエイティブを作成しましょう。
以下はスマホゲームアプリ「モンスターストライク」のTikTok広告です。面白いのは「片目をつむって動画を見るとキャラクターが飛び出してくる」といった一工夫がある点。
出典:モンスターストライク|TikTok
動きの多い動画にプラスして少しの工夫を施すことで、見ているユーザーに新鮮さを提供し話題にしやすくすることができます。
3. 真似しやすい、アレンジ性の高いアクションや振り付けとBGMを提供する|ハイチュウ
TikTokでは有名アーティストやミュージシャンの歌に合わせたダンスや振り付けが流行することがよくあります。そういった場合に共通しているのが、多くの人々が真似をしてダンスを踊った様子を動画として投稿している点です。
出典:@ハイチュウ|TikTok
こちらは人気お菓子である「ハイチュウ」が配信したTikTokのハッシュタグチャレンジ広告です。
オリジナルのBGMと併せてオリジナルの可愛いダンスを提供しています。振り付けのパターンも少なく上半身だけで再現できるといった手軽さでハッシュタグチャレンジに参加しやすくしていることも伺えます。
ハッシュタグチャレンジでは難しい動きは極力避け、わかりやすくアレンジもしやすい動きを用いるのが良いでしょう。
また、今流行りのトレンドを取り入れるのも意識したいポイント。
トレンドを1から作り上げるのは非常に困難です。しかし、すでにあるトレンドであれば動画広告の内容に取り入れることができます。
ブームになる少し前の火が付き始めているネタをあらかじめ調査して広告クリエイティブに組み込むようにしておき、実際にブームになるタイミングで広告を配信することで、トレンドと併せて大きな広告効果が見込めます。
基本的なことではありますが、人気のトレンドを取り入れることでユーザーから広告が受け入れられやすくなるので、常に把握し続けるように心がけておきましょう。
4. はじめの1~2秒でユーザーの心をつかむ工夫をする|マンガPark
動画広告が再生されてもしっかりと視聴してもらえなければ広告の効果はありません。
動画広告全般に言えることですが、ユーザーはフィード画面に流れてくるコンテンツを見て一瞬のうちに「見る/見ない」を判断しています。
ですので、動画広告のはじめの1~2秒でユーザーに興味を持ってもらえる工夫をするのがとても重要です。
たとえば、以下の動画は漫画アプリ「マンガPark」のTikTokインフィード広告ですが、漫画のコマを広告のクリエイティブとして表示させてユーザーの興味を引いています。
出典:マンガPark|TikTok
動画広告の中にストーリーを生み出しやすく、続きが気になるユーザーをアプリのダウンロードサイトへと上手く誘導しています。
インパクトの大きい映像や動作、ターゲットの好奇心をくすぐる言葉や歌など、動画広告を見た瞬間に「おっ!」と思って貰えるクリエイティブを作成しましょう。
5. 人気TikToker(ティックトッカー)/TikTokインフルエンサーを起用する
他のSNSと同様、TikTokにおいてもフォロー・フォロワー要素が存在します(TikTokではフォロー・ファンの関係)。
自社のアカウントにフォロワーが多ければ多いほど広告の効果は高くなります。しかしながら、広告の効果が高くなるレベルまでフォロワーを集めるのには手間と時間がかかります。
そこで検討したいのが人気TikToker(ティックトッカー)/TikTokインフルエンサーを起用しての広告配信です。
すでに多くのフォロワーがおりTikTokにおいて高い影響力を持つ人気TikToker(ティックトッカー)/TikTokインフルエンサーを起用することで、自社アカウントのフォロワーが少なくても多くのTikTokユーザーに広くリーチすることができます。
以下の動画は全身脱毛サロン「キレイモ」によるハッシュタグチャレンジ動画広告です。
Instagramのフォロワー数日本一を誇るインフルエンサー(インスタグラマー)であるお笑い芸人の渡辺直美さんを起用して広告を作成しています。
このTikTok広告ではいいね(ハート)が26,000件以上、コメントも200件を超えるなど大きな話題となりました。
人気TikTokerやTikTokインフルエンサーを起用するには費用がかかりますが、フォロワーを集める手間や時間を削減でき、インフルエンサーのファンへ向けて高い広告効果が期待できるため、検討する価値は十分にあるといえるでしょう。
インフルエンサーマーケティングについては基礎から応用まで5分で理解するインフルエンサーマーケティングの記事にて詳しく紹介していますので併せてご覧ください。
成功事例で学ぶTikTok広告の動画マーケティングまとめ
TikTok広告の動画マーケティングについて解説してまいりましたがいかがでしたでしょうか。
比較的新しいSNSということもあり、広告を行うのは難しそうに思えるかもしれません。しかしながら、TikTokはユーザーの増加が著しく市場規模の拡大が期待できるため、今後多くの企業がTikTokでのマーケティングに参入してくることが考えられます。
参入する企業が増加するほど広告枠の入札が難しくなったりコストが高騰する可能性が高いため、競合他社の少ない現状でTikTokでのマーケティングを開始するメリットは少なくないでしょう。
自社でTikTok動画広告の利用を企画される際には、ぜひ今回の記事をご活用ください。
TikTok Ads公式ページ
⇒ TikTok Ads
人気のTikToker(ティックトッカー)/TikTokインフルエンサーを起用してTikTok広告により広いファンにリーチさせたい場合は本メディア「インスタラボ」を運営するFind Modelがキャスティングや広告運用のお手伝いをさせていただきますのでお気軽にお声がけください。
あなたにおすすめの関連記事
SNS広告比較(YouTube,Facebook,Instagram,Twitter) 特徴や課金・出稿手順まとめ