※本コンテンツは【後編】です。
前編では、
- 企業・ブランドのInstagramアカウントを人気にする運営のアドバイス
- 今の若い世代の購買行動特性について
- インフルエンサー自身が体感しているSNSマーケティングを取り巻く現状
について深く掘り下げています。
後編(本記事)ではさらに一歩踏み込み、
- 直接依頼よりもキャスティング会社を通してくれた方が正直ありがたい理由
- 商品と一緒の自撮りがファンから喜ばれないワケ
- インフルエンサーが困った企業からの依頼事例
- インフルエンサーと企業がより良好な関係になるための仕事依頼時のポイント
など、人気インフルエンサーが抱える本音をまとめています。
登壇インフルエンサーの紹介など、前編はこちらからご覧ください▼
[前編] 総フォロワー40万!人気インフルエンサーが語るInstagramマーケティングの本音
目次
インフルエンサーキャスティング会社に依頼してくれた方がインフルエンサーとしてはありがたい
DMは毎日来ていて、商品をPRしてくださいという依頼もよくいただいています。
Find Modelさんのように管理用WEBサイトを持っていらっしゃる会社から依頼をいただけると、マイページがあるので今どんな仕事をやっていて、いつお金が振り込まれるのかなどまとめて管理できるので大変助かっています。
反対に、企業さんから直接お仕事のDMをいただくと、どんどんDMが溜まって(メールボックスの)下の方にメッセージが下がっていってしまって、今自分がどの案件をやっているのか管理が難しくなってしまうことがあります。
DMでメッセージをくださるアカウントさんの中には、写真も載せておらずよくわからないところから連絡が来る場合もあるので「本当にこの人から仕事を引き受けていいのかな」「ちゃんと振り込みされるのかな」と心配になったりします。あと、やりとりの内容に配慮が欠けていてビジネスをする人としてゆるい方もいて不安になったりもしますね。
人気のインフルエンサーさんのようにフォロワーが多いとDMの怪しさから見極め方が分かるんですけれど、フォロワーが少ないうちはどれが本物か偽物か判断できなくて難しいと思います。
なので、キャスティング会社さんからのメールだと比較的安心できますね。
私もたくさんDMが来るんですが、DMで依頼をいただくと金額交渉をやらなくてはいけないのが大変です。
Find Modelさんみたいにお仕事依頼の金額が決まっていて、その上でお仕事をいただいたりすると安心ですが、(インフルエンサーマーケティングの)金額感がわからない企業の方から依頼が来ると金額交渉が難しくて大変なので、できるならキャスティング会社を通してくれた方がインフルエンサーとしても安心だし楽かなという感覚はあります。
※Find Modelのインフルエンサーマーケティングについてはこちら
商品との自撮りはファンに喜ばれない!企業からの依頼で難しかった・困った経験
ダイエットとかバストアップ系の商材だと紹介しにくいなと言うのは正直なところあります。紹介はするのですが、使いはじめの段階なのにそれによって効果が出たというのは書きたくないんです。実際に使ってみてどのような感じかは言うことができるんですが、深いところまでは書きたくないというのが本音ですね。
あと、フォロワーさんに喜ばれないのが商品持っての自撮り。宣伝感が強すぎて「いいね!」がつきにくいんですよね。企業さんにもフォロワーさんにも喜ばれないので、あんまりやりたくないですね。「顔の横でニコパチでお願いします」と言われるとちょっとうんざりしてしまいます。
もう一つ、商品だけを撮影するケースは、植物とか花とかを飾ったりして世界観のある写真が作れる方がする分には良いと思うのですが、私は日記系のインスタ投稿なので商品だけが映った写真が突然出てくるのは違和感ありますし、私が普段使っているものをみんな知りたいと思っているので、自然とその商品が写真に入ってくるような画像の指定だと良いと思います。
私も、食べ物と私のツーショットという写真にしてほしいと言う企業さんもいるんですけれども、そういうカットはお断りさせていただいたり、どうしても必要ならツーショット写真を1枚目ではなく2枚目にさせていただいきたいと交渉します。やはりアカウント全体の世界観と合わなくなってしまうような写真はちょっと困ってしまいますね。
あと、1回だけあったのですが、最初にお約束した時は投稿1回というお話だったのですが、やっぱり投稿2回にしてくださいとか条件を後から変えてこられると、お仕事ですので良い思いはしませんね。
私は、お花とか生ものを扱った案件が難しかったですね。お花をPRしてほしいというケースで、生花を撮影しなくてはいけないのですが、届いたその日に撮影して企業に下書きを提出している間にお花が弱ってきてしまうんです。企業からお返事が来て写真を取り直しになったときは、お花に栄養剤とかあげているんですけれど、時間との勝負になるので鮮度が大切なものの撮影にはとても気をつかいますね。
それと、あみくまさんも仰っていましたが、やはり仕事の条件を途中から変えられるのは正直「え?」と思ってしまいますね。商品はすでに届いてますし、途中からお断りするのも失礼になりますので。
私はヘアメイクの投稿がメインなので「髪サラサラと書いてください」と企業さんから指示をいただいたりするんですけれど、もともと私の髪質はクセがない方なのでファンの方が見ても「別にいつも通りさらさらじゃないですか?」となって共感されにくくなってしまうんですよね。
なので、「確実にこのテキストを入れてください」とご指示をいただくよりは、「髪質が良くなった」とか「顔の印象が華やかになったよ」といった柔らかいニュアンスで書かせていただいた方がフォロワーさんに伝わりやすいメッセージにできますし、やりやすいです。
すごい詳しい成分名とかを訴求ポイントとして書いてくださいとオリエンシート(条件書)に書かれていることはあります。
でも「この言葉今初めて知ったし!」というものがあっても知っているフリをして書かないといけなかったりとか、いつも使ってるって書いてください、という指定もあったりするんです。そうすると、「本当にこの人知ってるのかな」とかフォロワーさんから胡散臭く思われてしまうようになるので、正直モヤっとしてしまいますね。
詳しい成分とかをテキストに入れたいのであれば、まずハッシュタグで「#PR」をつけられるようにして欲しいです。そもそもステマになってしまいますし。
広告臭が出るのを嫌って「#PRはつけないでください」と言う企業さんもいるんですが、そうすると余計成分とかが怪しく見えてしまいますし、ステマにもなるので、印象が硬めのテキストを載せるのでも、ちゃんとPR投稿ですよと表記するようにご指定いただけるとこちらとしてもありがたいです。
【企業の方へ編集部からの補足】
PR表記とステマ(ステルスマーケティング)についての注意
インフルエンサーマーケティングに限った話ではありませんが、金銭の授受や報酬のやりとりがありながら広告主とインフルエンサーとの関係を明確にせずに行われたプロモーションは「ステルスマーケティング」となります。
アンバサダー契約により企業との関係性がはっきりしているといった場合を除き、インフルエンサーに製品やサービスのPRを依頼する場合は「●●(企業名)さんから商品を提供していただきました」や「#PR」といった表記により広告主とインフルエンサーの関係性を明示する必要があります。
「#PR をつけないでください」といった依頼はステルスマーケティングとして炎上し、企業やインフルエンサーのブランド価値を損なう可能性があるため両者にとってメリットはありません。
広告主はステルスマーケティングにつながるような依頼を絶対にしないようにしましょう。
より良い関係を築くためインフルエンサーが企業に期待すること
PRのお仕事内容については、「商品を前面に出してください」というよりは「普段の生活の中に取り入れて自分の世界観に合った自然な写真を撮ってください」というような依頼が増えていただけると嬉しいです。
仕事をする上でもすごく動きやすいですし、仕事へのモチベーションも上がりますし、実際に毎日使ってみて良い商品だったら継続して使いたいとも思えるので良いのではないかなと思います。
あと、例えば旅行代理店さんとか息子が参加できる楽しいコラボ企画などありましたら是非参加させていただけたらなと思います。私のような料理メインのインフルエンサーでも、子供と2人合わさると「親子インフルエンサー」となってファミリー向けの旅行PRなどお互いにお仕事の幅も広がりますし。
私は人との付き合い方がしっかりしている企業さんなのかを重視して見させていただいています。ですから、レスポンスの早さとか対応面や予算に不安がある企業さんだと「この企業のお仕事受けても大丈夫かな、受けたくないな」と思うことがあります。
実際に、本当に振り込みしてもらえるのかなといった不安があるような企業さんもたまにいます。ですので、商品が良くてもやりとりする企業の方の対応に不安がある場合は、お仕事をお断りすることもあります。
あと、ある程度は自由に宣伝させてもらえる方がその商品の良さをより出そうと思えるので、条件はあまりキツキツに縛るよりもちょっと緩い位の方がインフルエンサーはやる気になると思います。
もちろん訴求ポイントはある程度あったほうがいいと思うんですけれども、企業が「これは絶対書いて欲しい」というものがあっても、私がそれを感じなかった場合はフォロワーさんに嘘をつくことになってしまうので、投稿にはある程度の自由度を持たせてほしいですね。
どのお仕事も本当に素晴らしいアイテムばかりなんですけれども、ちょっと硬いことを言えば、商品に対する「作り手の想い」が分かるようにしていただけると良いと思います。
PRの仕事の中で座談会とか講演会に行く機会も多々ありまして、化粧品メーカーだったらそのメーカーの作り手の思いがわかった方がフォロワーさんにも伝わりやすくなります。
例えばスキンケアだったら、私は肌質的にはあまり荒れないけど乾燥するタイプなんですが、座談会に行ったら「この商品はこんな肌荒れや肌質の人には向いてるよ」といった風に、参加者の方が私も使ってみたい、その場で買いたいと思えるように紹介することができます。
企業からご依頼いただくPR案件は、大体はインスタのDMとかメールでいただくんですけれども、そこから企業のホームページに飛んでも商品の情報が限られていたりするんです。知りたい情報を質問しても企業から返信が来るまでに時間がかかったりお手間になってしまいます。
ですから、より深くフォロワーさんに商品の良さを伝えるためにも、2~3行でもいいので、「こういう想いで商品を作っていて、こういう悩みを持った方たちに商品を届けたい」といった作り手さんの想いがわかる情報をホームページに載せていただけると、インフルエンサーとしてもPRしやすくなりますし、フォロワーの方にも共感していただけるようになります。
Instagramの企業アカウント運用のアドバイスにはじまり、今後のインフルエンサーマーケティングの在り方や、企業からインフルエンサーへ依頼する際に配慮すべきポイントなど、とても参考になるお話を伺うことができました。
本日は貴重なお時間をありがとうございました。
あみくまさん、伊藤りかさん、サキ吉さん、この度は貴重なご意見や体験談をお話しくださりありがとうございました。
今回お話しくださった3名のインフルエンサーの方々に自社ブランド製品をPRしてもらいたいという際には、是非Find Modelにご相談ください。
編集あとがき
今回は人気インフルエンサー3名の方々にインフルエンサーマーケティングを実施している立場からの生のご意見を伺いました。
インフルエンサーマーケティングでのPR効果を最大化にするため「インフルエンサーに裁量をもたせる」ことが大切だというお話は非常に参考になります。
実際、企業からの指示が細かくなってしまうことでインフルエンサーの「らしさ」や「強み」を奪ってしまうケースがしばしば見受けられます。費用も時間も手間もかかっているので企業担当者として細かく口出ししたくなる気持ちはわかりますが、依頼している企業の担当者はPRを実施するインフルエンサーではありません。
企業がインフルエンサーマーケティングを実施する際は、依頼するインフルエンサーの魅力が最大限発揮できるようにある程度の自由度を持ってもらうよう配慮する。そうすることで、最終的なPR効果や費用対効果を最大化させることにつながります。
また、ステルスマーケティングになるような依頼は絶対にしないことも忘れてはいけないポイント。
お金をかけてPRをしたのに企業としてもインフルエンサーとしてもブランド価値を落としてしまっては意味がありません。何よりユーザーへの裏切りになってしまいます。
ブランドセーフティが注目される中、企業もインフルエンサーもコンプライアンスの意識を持って施策を行うと、広く信頼され人気になるでしょう。
Find Modelでは、きめ細かなディレクションを通して、ステルスマーケティングを防止し、インフルエンサーと企業のプロモーション効果を最大化するお手伝いをさせていただいております。
インフルエンサーマーケティング施策でお困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。
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