こちらの記事ではアンバサダーマーケティングやキャンペーンの事例を10件紹介していきます。 まず、「そもそもアンバサダーマーケティングとは何か?」を解説した上で、次に10つの事例についてそれぞれの施策ポイントやエッセンスを紹介していきます。
アンバサダーマーケティングはインターネット上だけに限定されるPR手法ではなく、ネット以外も含めたマーケティング手法となります。企業の宣伝担当者の方で自社の商品のプロモーション施策に悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
目次
アンバサダーマーケティングとは?
アンバサダーマーケティングによるキャンペーン事例を紹介していく前に、まずは「アンバサダーマーケティングとはどんなマーケティング手法になるのか」について整理しておきましょう。ここをしっかり理解しておかないといざ施策を設計するとなった際にブレが生じ、アンバサダーの特徴が活かされない仕組みになってしまう可能性があります。
そもそもアンバサダー(Ambassador)は「大使」という意味の言葉になります。芸能人や著名人が地方の観光大使として活躍している例をイメージすると分かりやすくなるかもしれません。プロモーションしたいモノと馴染みの深い著名人に代わりにPRしてもらう形が観光大使というPR手法になりますが、同じようにアンバサダーマーケティングもサービスや商品を提供する企業にかわって、企業の商品やサービスを利用するユーザーにPRしてもらうマーケティング手法になります。
では観光大使を利用したマーケティング手法とアンバサダーマーケティングの違いはどこにあるのでしょうか。それは「代わりにPRしてもらう人がどのような人か」という部分にあります。観光大使を利用したマーケティング手法の場合は芸能人や著名人など影響力の高いインフルエンサーにPRしてもらうことが必要条件になりますが、アンバサダーマーケティングの場合は必ずしもPRする人物が影響力の高いインフルエンサーである必要がないのです。
商品やブランドなどに対しての興味関心度が高ければ、たとえ影響力が高くなくてもアンバサダーとして活動することを依頼することができます。興味関心度が高いからこそ出る「熱量」が、アンバサダーマーケティングの最大の魅力といえます。単に有名人がアピールしているからという理由だけでは響かなくなった時代だからこそ出てきた、新しいマーケティング手法が「アンバサダーマーケティング」です。
アンバサダーマーケティングについて詳しく知りたい場合は大注目の「アンバサダーマーケティング」を徹底解説!事例やメリットまとめの記事にて解説していますので併せてご覧ください。
アンバサダーマーケティングを利用したキャンペーン事例を紹介
ここからは実際のアンバサダーマーケティングのキャンペーン事例を10件紹介していきます。自社の施策に応用できそうなヒントはないか、ぜひ参考にしてみてください。
1.ネスカフェ
まずは、日本マーケティング大賞も受賞したNestleの「ネスカフェ
WEBでネスカフェアンバサダーの申し込みをするとネスレの担当者が実際に職場に訪問してアンバサダーについての説明を行い、コーヒーマシーンを一台プレゼントします。コーヒーマシンの初期費用や修理費などはすべてネスレが負担することになっており、かかる費用はコーヒー代のみとなっています。アンバサダーとしての意味合いが少し薄くなってしまう施策となりますが、アンバサダーをきっかけに職場でネスレのコーヒーマシーンを導入してもらうことによって、多くの人にネスレのコーヒーを楽しんでもらうことが可能になっています。コーヒーマシーンではなく、毎日飲むコーヒーの料金で少しずつ利益を得るビジネスモデルとなります。
施策のポイント
最初に自社の商品をプレゼント(レンタル)し、その商品に付随する別の商品で利益と認知度を向上させていくプログラム。
2.Taylor Swift
ミュージシャンのプロモーションでもアンバサダーマーケティングによるキャンペーンが行われています。テイラースイフトのことが好きなアンバサダーに、Twitterを利用して魅力をアピールしてもらう仕組みのキャンペーンであり、「#テイラーアンバサダー」というタグを付けることを条件に、アンバサダーに自由に写真や動画などを投稿していってもらうかたちになっています。運営側は定期的にアンバサダー向けの課題を用意しており、その課題をしっかりこなしているかどうかやフォロワー数の増加などを基準に貢献度をはかり、貢献度が特に高い人にはプレゼントを与える仕組みになっています。
施策のポイント
拡散性の高いTwitterを有効活用したプログラム。インセンティブにつながる課題という仕組みを取り入れることでモチベーションをKEEPできるように工夫されています。
3.nano block
創造性を刺激するオモチャのnanoblockもアンバサダーマーケティングを実施しています。nanoblockのアンバサダープログラムでは、アンバサダーにナノブロック製品の情報をいち早くお知らせしたり、アンバサダー限定のイベントや新製品のモニター等に参加してもらいナノブロックの魅力をより深く知ってもらい、アンバサダーがそれらの情報をブログで紹介する仕組みになっています。スタンダードな形のプログラムですがnanoblockのファンであるユーザーひとりひとりと丁寧にコミュニケーションがとれるプログラムになっており、商品やブランドのPRだけではなく、ユーザーのリアルな声を拾ってプロダクトに活かしていくという意味でも有効な仕組みになります。
施策のポイント
アンバサダーひとりひとりと、しっかりコミュニケーションをとってブランドを育てていく形のプログラム。
4.アンファー まつ育
日本全国、各47都道府県を代表するまつ育アンバサダーが、日本全国にまつ育美容法やアンファーの商品を発信していく趣旨のキャンペーンで、一番キャンペーンに貢献したアンバサダーにはアンファーとの1年間のCM契約権が与えられる仕組みになっています。トーキョーガールズコレクションという若い女性の注目度が高いイベントにアンバサダーが登場し、その場でベストまつ育アンバサダーが決定されました。また、ベストまつ育アンバサダーの選定はキャンペーンページでの投票数などを参考に決定されました。
施策のポイント
日本全国47都道府県すべての地域のアンバサダーに競い合ってもらう仕組みと、インセンティブの大きさ。
5.DHCブランドアンバサダー
DHCを愛用しているユーザーにまだDHCの良さを知らない人へ向けてDHC製品の魅力を発信していってもらう仕組みのプログラムで、オススメした商品が自分のページから購入されたり、友達が新しくDHCの会員になったりすると換金可能なポイントがもらえるようになっています。ポイントだけではなく、新商品のお試しモニターやDHCの商品展示会や記念イベントへの招待などのインセンティブも用意されています。
施策のポイント
アンバサダーマーケティングにアフィリエイトの仕組みをプラスした手法。
6.マイクロソフト
こちらのマイクロソフトのアンバサダープログラムの特徴は、マイクロソフトの経営陣や技術者、各国を代表するアンバサダーなど、普段はめったに会う機会のない人と交流を図れるチャンスがもらえること、そして、ブランドのアンバサダーになるためには審査が必要になるという2点です。特に後者の仕組みはアンバサダーのモチベーション向上につながり、より意欲的な活動を促進していくことができます。
施策のポイント
アンバサダーへの登録に審査という形を設けることで、ブランドへの熱量が突出して高い人材にアピール活動をお願いできる。
7.キリン一番搾り
こちらのキャンペーンはキリンの一番搾りに関するクイズの成績と一番搾りに関するアンケートを実施して、アンバサダーの審査を行うプログラムになっています。インセンティブとしては、一番搾りやキリン一番搾りのアンバサダーバッジ、イベントへの招待などが用意されています。マイクロソフトの事例と同様にクイズやアンケートを実施してアンバサダーを決定することにより、応募するユーザーは特別感を感じることができます。
施策のポイント
アンバサダー登録のためにクイズとアンケートを設定している。
8.PFU
PFUのScanSnapアンバサダープログラムの特徴は、医師からブロガー、僧侶までいろいろなジャンルの専門家をアンバサダーとして登録しているところにあります。それぞれの仕事や趣味など、ジャンルが変わればScanSnapの使い方も変わる、つまりいろいろなシーンで利用ができるということを、それぞれのPRを通して感じることができます。事例のバリエーションがたくさんあることで、商品に興味を持ちやすくなりますし、企業が「こんな使い方ができますよ」と直接的に提案するよりも説得力があります。
施策のポイント
幅広いジャンルの専門家がアンバサダーとして登録されている。
9.Xperiaアンバサダーサロン
こちらのXperiaの事例に関しても、アンバサダーになるには審査があり、ブログやSNSアカウントの入力が必要になります。この事例の場合、他の商品やサービスとは違い、商品の魅力や価値を正しく伝えてくれる人を選ぶためには、商品の性質上、テクノロジーや最新機械にある程度詳しい人を選ぶ必要があります。アンバサダーは商品やサービスに対して熱量が高いという所に特徴がありますが、商材によっては熱量にプラスしてリテラシーも必要になることを覚えておきましょう。アンバサダーのPRがうまくひろがっていくことをイメージしながら、応募要件を作成することが大切です。
施策のポイント
PRしていく商品やサービスによって、アンバサダーには熱量にプラスしてある程度のリテラシーも必要になる。アンバサダーのPRがうまくひろがっていくことをイメージしながら、応募要件を作成することがポイント。
10.KFC
ケンタッキーフライドチキンは、イベントを開催してそこでお客さんとできるだけ深いコミュニケーションをとることに重点を置いており、その様子はイベントレポートという形でアンバサダーではなく企業の広報担当者が投稿する形になっています。 イベントは定番商品や新商品の試食会、ケンタッキーに関するクイズ大会など、子供から大人まで幅広い世代の人が楽しめる内容になっており、アンバサダーの人によりケンタッキーのことを好きになってもらうことにフォーカスしたイベントになっています。単に情報を提供してPRをお願いする手法とは異なり、長い視点で少しずつ効果が出てくるアプローチになっています。
施策のポイント
熱量の高い人にPRを依頼するというアプローチではなく、熱量が高い人の熱量をさらに高めていくアプローチのマーケティング。
おわりに
紹介した10つの事例それぞれで、仕組みが若干違うことがわかったかと思います。もちろんどれか一つの施策だけを参考にするということではなく、それぞれの施策のエッセンスを組み合わて自社の施策を設計していく方が効果的です。
そして紹介した事例をそのまま真似して自社の施策に取り入れるのではなく、あくまでも「どのような問題を解決するためにアンバサダーマーケティングを実施するのか?」という視点が重要になることをしっかりと認識しておきましょう。ここをしっかりと認識しないまま、形だけ真似をしてアンバサダーマーケティングを実施しても思うような効果は得られません。課題を解決するためにはアンバサダーマーケティングではなく、違うアプローチの方が適切ということも十分にあり得るでしょう。
アンバサダーマーケティングの一番の特徴は「熱量の高いファン(ユーザー)に、企業に代わって、PRしてもらえる」という部分です。この部分が損なわれないような設計になっているか注意して、施策を実行していきましょう。
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