インフルエンサーという言葉をよく聞くようになった背景をご存知でしょうか?それはインターネットユーザーがトレンド情報を得る行動の変化に関係があります。マーケティング×テクノロジーを軸とした事業展開を進めるトレンダーズ株式会社によると、トレンド情報を検索する時は従来の「Google」といった検索エンジンからから「Twitter」「Instagram」というソーシャルメディアの利用にシフトしているそうです。そしてそのうちの約半数が「SNSから商品購入の経験あり」、購買の決め手となったのは「インフルエンサー」と呼ばれる人たちへの共感と画像だったということです。
このようにインフルエンサーマーケティングとは、自身のフォロワーなどに購買意欲を促すことのできる影響力を持つ人に協力してもらい商品やサービスを広めたり購買したりしてもらう手法のことです。現在多くの企業が様々なインフルエンサーをキャスティングして、インフルエンサーマーケティングを展開しています。インフル エンサーマーケティングの効果や手法、そして肝心の費用対効果をまとめていきたいと思います。
目次
インフルエンサーマーケティングの効果
こんな課題を解決
・検索数が伸びや悩みコンバージョンが落ちている
・新規のブランドや新商品の認知拡大をしたい
・新しいターゲットへリーチしたい
・ロイヤリティを持ってくれるファンを増やしたい
このような課題を抱えている企業も多いと思います。現状のウェブ広告だけでは頭打ちで売上げたいサービスへ流入させることができない、長期的にリピーターになってくれるような顧客が少ないという場合、インフルエンサーマーケティングの実施は非常に有効な解決策となります。
費用対効果のよいマーケティングとは
費用対効果を効率的に出すには予算を算出しないといけませんが、そのために次の項目を抑えておくことが必要です。
- 実施するSNSの選定
- ユーザーへの目標リーチ数の決定
- インフルエンサーのキャスティング
1.実施するSNSの選定
SNS(ソーシャルメディア)と言ってもTwitter、Facebook、インスタグラムと各種媒体があり、それぞれ特徴や強みが異なります。主に若年層へのリーチが有効で拡散性が高いTwitterや、20代30代の女性を中心に写真を使った直感的な訴求が可能なInstagram、40代以上の男性にリーチするSNSとしては唯一だと考えられるFacebookというようにターゲット層や、業種、目的で実施するSNSも違ってきます。
このように、目的やターゲットに合わせてその媒体を決定する必要があります。(必ずしも一つの媒体に絞る必要性はありません)
2.ユーザーへの目標リーチ数の決定
次にどのくらい効果をあげたいか目標を決定します。例としてあげてみます。
- インスタグラムで10代~20代前半の読者モデル10名で100万人のフォロワーにリーチさせたい
- Twitterで1000人以上のフォロワーのいるインフルエンサー100名に宣伝をしてもらい、トータルで自社の動画広告を10万回再生させたい
このようにどういった媒体で何名のインフルエンサーに依頼し、その結果該当案件にどの程度のリーチを達成できるか目標をたて、初めて予算を算出することができます。
3.インフルエンサーのキャスティング
そして要になるのがインフルエンサーを誰にお願いするのかというキャスティングです。ただ有名人であればよいとか、フォロワー数の多い人がいいというわけではなく、2で決定した目標を達成でき、ターゲットを共感させることのできる適役の人物を選定しなければいけません。
よいインフルエンサーは「クリエイティブ」な才能を持った人でもあります。Twitter上で文字だけでなく、何度も再生させるような動画や人目をひくような画像をのせて、センスのあるコンテンツづくりのできる人が望ましいです。
適役のインフルエンサーを見つけ出すには、様々な工夫が必要になります。自分で人気やカリスマ性がありそうな人を見つけるか、インフルエンサーを紹介してくれるようなサービスを利用するか方法はいくつかありますが、自社にインフルエンサーマーケティングについて精通した人がいない場合、しっかりと費用対効果を検討した上で、キャスティング会社へ依頼することも検討するべきでしょう。
インフルエンサーマーケティングする上で必要な指標
企業のSNSマーケティング担当者は実施後に効果検証を行わなければいけません。効果検証に用いられる指標にはKPI(Key Performance Indicators:重要業績評価指標 )があります。インスタグラムを例にとってKPIを説明します。
インスタグラムKPIのポイント
- インプレッション・リーチ数(投稿が見られた数)
- いいね!やコメント数(エンゲージメント)
- URLのクリック数
- ブランド関連のハッシュタグの投稿数
また、インスタグラムで施策を行う場合でも、インスタグラム以外のKPIの変化も重要な指標です。
インスタグラム外KPIのポイント
- 公式サイトのアクセス数
- オンラインショップの販売数
- 実店舗での販売数
インフルエンサーマーケティングで確実に費用対効果を出すには
適切なキャスティングとディレクション
インフルエンサーマーケティングのポイントを総括すると、いかに適切なキャスティングとディレクションをするかに集約されるでしょう。自社で探し出すノウハウがない場合は、キャスティングを行ってくれる代理店に頼むのも選択肢の一つですが、企業によってその見積もりやクオリティは大きく異なりますので、納得のいくまで検討を行ったり、必要に応じて複数社に提案を依頼するなどするべきでしょう。
インフルエンサーを選ぶポイント
フォロワーの数やいいねの数が注目されがちですが、いちばん大切なのは「PRしたい製品とフォロワーのマッチング度合い」です。マーケティングの目的と一致するターゲットに対して影響力が強いインフルエンサーをしっかりと定義し選定する必要があります。投稿にたいしていいね!やコメントといった反応が多くよせられているかは共感度の目安です。そして発信している投稿が自社のイメージに合ったものか、クリエイティブなセンスはあるかなど総合的に分析する必要があります。
実際の費用対効果 RORとは
実はインフルエンサーマーケティングのROIを計測することは容易ではありません。メルマガ、LPなどの他のデジタルマーケティングでは数値として出せるコンバージョンが、インフルエンサーマーケティングではその「口コミ」によってどれだけが実際のコンバージョンに結びついたのか計測するのが難しいのです。しかし欧米ではすでに盛んに行われているインフルエンサーマーケティングでは確実にリターンがあると実証されています。
インフルエンサーマーケティング企業のシュート(Chute)はインフルエンサーマーケティングにおけるリターンとして
1ドルのマーケティングコストに対して$6.5のリターンが平均的に見込める
と試算しています。
2017年1月に米TopRankMarketing社とAltimeter社がまとめた「Influence 2.0: The Future of Influencer Marketing」は、インフルエンサーマーケティングはすでにバージョン2.0へと進化し、費用対効果を計る新しい指標としてROIではなく、ROR(Return On Relationship)で評価するよう提言しています。
これはROIのようにいくらの費用でいくらのリターンという表面的な数値ではなく、
RORとは、時間を掛けて築かれた(インフルエンサーらとの)関係性によって生み出された“価値”を評価するもの
であると説明されています。
引用:「インフルエンサーマーケティング2.0」と、選ばれるための指標“ROR”
インフルエンサーマーケティングを実施する真のゴールは、消費者と自社の間に信頼と共感を生み出して、ファンとなってもらい関係を構築していくことにあります。それによって長期にわたって安定したリターンをもたらすような成果をだしていくことが可能となります。ここまでまとめたことを参考に、ぜひインフルエンサーマーケティングで確実に費用対効果をあげていくようにしてください。