InstagramやYouTubeをはじめとしたSNSプラットフォームで活躍しているインフルエンサー。
多くのフォロワーを抱え、その情報発信力・影響力の大きさ、人としての魅力などが注目され企業からブランドや製品のプロモーション依頼を受けることも多々あります。
そんなインフルエンサーマーケティングが大きな話題となっている今、当のインフルエンサーたちは、どのような心境で企業からの依頼を受け、PRを実施しているのでしょうか。
今回は、インフルエンサーマーケティングサービス「Find Model」に在籍している3名のインフルエンサーにお越しいただき、セミナー形式でインフルエンサー視点からの本音のご意見を伺いました。
インフルエンサーに依頼する際の注意事項、こういう依頼だと安心でき仕事がはかどる、企業SNSアカウント運用のコツなど、非常にためになるお話を聞くことができましたので、ぜひ自社プロモーションにご活用ください。
※本コンテンツは【前編】です。
前編(本記事)では
- 企業・ブランドのInstagramアカウントを人気にする運営のアドバイス
- 今の若い世代の購買行動特性について
- インフルエンサー自身が体感しているSNSマーケティングを取り巻く現状
について深く掘り下げています。
後編ではさらに一歩踏み込み、
- 直接依頼よりもキャスティング会社を通してくれた方が正直ありがたい理由
- 商品と一緒の自撮りがファンから喜ばれないワケ
- インフルエンサーが困った企業からの依頼事例
- インフルエンサーと企業がより良好な関係になるための仕事依頼時のポイント
など、人気インフルエンサーが抱える本音をまとめています。
(後編はこちらよりご覧いただけます。)
目次
登壇インフルエンサー紹介
今回、以下の3名のインフルエンサーの方々にお越しいただきました。
あみくまさん
Instagram:@amikuma1219
あみくまさんは手作りご飯などかわいくておいしい料理をメインに発信していらっしゃる主婦インスタグラマーです。Instagramフォロワーは14万人以上おり、手作りご飯などかわいくておいしい料理をメインに子供服からアプリまで幅広く紹介されています。投稿へ寄せられるコメントも100件を超える人気のインフルエンサーです。
伊藤りかさん
Instagram:@rrrika.i
伊藤りかさんはInstagramフォロワー13万人超えの人気インスタグラマーです。ヘアメイク動画をメインにプチプラからデパコスまで幅広く紹介し、YouTubeへの動画投稿では60万再生をたたき出すなど20代前半女性から絶大な信頼を得ています。
サキ吉さん
Instagram:@sakikichi1201
サキ吉さんはInstagramフォロワー数12万人超えの人気インスタグラマー。ライフスタイルからファッション・コスメを中心に発信しており女性からのフォローが7割を占めているカリスマです。Youtubeでも動画を投稿されており、最高再生回数は59万回を超えるなどマルチに活躍されています。
非常に大きな影響力をもつカリスマインスタグラマーであるお三方は、企業からのPR依頼も多く経験されています。
今回はその体験を通して感じたインフルエンサーマーケティングの「ホンネ」を掘り下げていきたいと思います。
インフルエンサーが企業からPR依頼を受けるときに意識していること
この度はお越しくださり誠にありがとうございます。
お三方はInstagramなどのSNSで情報発信されており、企業からPRのお仕事を依頼されることが多々あるかと思いますが、企業からお仕事の依頼を受ける際に意識している点などありましたら教えていただけないでしょうか。
私たちインスタグラマーは自分のアカウントの世界観を大切にしているんですね。
私の場合、インスタアカウントの写真は全体的に明るめに統一して撮っているので、たとえば企業さんの撮ってほしい写真のトーンと私のアカウントの色合いや雰囲気にズレがある場合はアカウントの世界観が壊れないように相談させていただいています。
あみくまさんのInstagramアカウント。全体的に明るい色合いで統一感がある。
また、投稿のスケジュールを確認して他の企業さんのPRとかぶらないようにスケジュール調整などもさせていただいています。
たとえば、2つの企業からシャンプーをPRしてくださいと言われたとき、Instagramのプロフィールの最初の画像9枚に同じようなシャンプーの写真が来ないようにしています。
似た商品が何度も紹介されたりすると、見ている方もどのシャンプーを使ったらいいの?というふうに迷ってしまうので、同ジャンルのモノは投稿の期間を空けさせていただいたりと、できる限り配慮しています。
私はいつもまず第一にレスポンスの早さが大切と考えています。案件の内容についてはその都度ご相談させていただくんですけれども、企業の方から伺ったお話では、2~3日返事が来ないインフルエンサーの方とかもたまにいらっしゃり困ったことがあるようなんですね。
お返事とか対応スピードの速さは、その企業との信頼関係の構築や次の案件を依頼いただくことにつながるのでとても大切にしています。
私は商品の成分や効果など、まず商品自体を最初に気にしています。例えばダイエットサプリだとどのような成分が入っているのか企業のホームページを調べたり、ネット上の口コミを見たりして商品理解を深めるようにしています。良い商品でないとフォロワーさんに紹介したくありませんので。
また企業さんの訴求ポイントも気にしています。たとえば「この商品をずっと使っていると書いてください」のようにご指示をいただくこともあるのですが、虚偽の表現はフォロワーさんとの信頼関係にもかかわるので表現をご相談させていただいています。
なので、商品のことがホームページに詳しく書いてある企業さんだったり、商品を実際に試してみた感想を自由に書かせていただけたりするご依頼だととても良い印象を受けますね。
ブランドが持つInstagramアカウントの効果的な運用のコツ
インフルエンサーマーケティングを検討している企業の中には、自社でInstagramアカウントを運用している場合も多くあります。そこで今回、ファッションブランドとしてInstagramアカウントを運用している方からの質問を頂戴しています。
「商品の画像ばかりがアカウントに並んでしまって商品PRばかりになってしまうのですが、どのような投稿をするとフォローしたくなる効果的なアカウントになるかアドバイスいただけないでしょうか。」
とのことですが、商品PRのプロであるインフルエンサーの立場から、何かアドバイスいただけないでしょうか。
わたしは世界観があるようなおしゃれな写真がたくさん載っているアカウントだとフォローしたくなります。
息子が結構キャラ弁当みたいなかわいいデコレーションが好きで、そういう自分の参考になる料理アカウントをよくフォローしているのですが、ファッションの場合も見ている人が再現できるようなイメージ写真が紹介されていたら私も欲しいなと思いますね。
私がフォローしているファッションブランドは着用画がとても多いです。例えばフレアスカートをインスタに投稿するのだったら、風に揺れた時どんな感じになるのか、生地の質感は柔らかいのか固いのか、よくわかるように表現されています。
ネットってどうしても試着ができないので、ネットショップで服を買って失敗したと言う方も多いと思うんですよ。高価なものだったらなおさら失敗したくないですし。あと、店舗が東京にしかない場合は試着しに行きたくても、私が関西に住んでいるからできないんですよね。
なので、ショップのスタッフさんでも良いので着用している感じ、街を歩いている感じといった日常の写真を載せてくれると見ている人がイメージしやすくなります。
ちなみにこのとき、見栄えが細いモデルさんを使っていると「スタイルほっそ!」と思ってしまってちょっと自分にあてはめてイメージしにくくなりますが、ショップのスタッフさんが試着してくれている方がなんとなく親近感を持てて自分も着こなせそうと思えます。
見ている人が自分に当てはめてイメージできるような投稿にしてくれると買い手として嬉しいですね。
ファッションをアピールする際のわかりやすいInstagram投稿例。服を着た時の印象、質感、重さなどが見ているユーザーに伝わりやすい▼
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わたしはライブはあまり見ないのですが、ハイライトに残しているものを見たりします。インスタに載せる写真でアカウントの世界観が崩れるようだったら、ストーリーでハイライトに残したりするといいですね。
ライブは時間が限られているし、残せるのも24時間までなので、インスタを毎日見ないような人のためにもハイライトなどで残していただけるとありがたいです。
例えばナンバーワンアイテムカテゴリーをつくってストーリーをまとめておいていただくんです。ハイライトのストーリーの動画で見たときにスカートが揺れてて「かわいい!」と思えると買いたくなります。購入者目線だとそういった情報が残っているととても助かりますね。
私はお気に入りのパーカー屋さんがあって、そこのパーカー屋さんはめちゃめちゃ可愛い女の子たちにそのパーカーを提供していて、その可愛い子たちの着用画像をいただいているんですね。そしてその画像を自分のショップのアカウントで紹介して、「ここから買えます」と言ってインスタショッピングタグとかオンラインショップのURLなどから購入を促したりしています。
そのパーカー屋さんのアカウントを見るとめちゃめちゃ可愛い子たちがパーカーを着ていて、フォロワーもめちゃめちゃ多い。かわいい人たちがパーカーを着ている姿も見られるし、欲しかったらすぐに買える。すごい上手なやり方してるなと思います。
私のようなインスタグラマーをフォローしてくださっている方って他のインスタグラマーの方もフォローしていて、それぞれで同じブランドのパーカー着ていると「めっちゃかわいい!流行ってるんだ!」というイメージになって自分も欲しくなるんですね。そこのお店はいつもSOLD OUTしているので、そういった売り出し方はアリかなと思います。芸能人の方に商品PRを頼むと注目は集まると思うのですがお金がとても高くかかってしまいますし。
Instagramはユーザーの購買に影響を与える
私は器とかお皿とかがとても大好きでたくさん買って集めています。最初はインターネットとかで見て買っていたんですが、インスタを始めてからは人気の料理家の方がみんな使っているお皿があるのを知って、それがすごい可愛くて私も欲しくなってハッシュタグを見て検索してみて家族分購入したことがあります。
有名なインスタグラマーの方が使っているアイテムはそれだけでやっぱり欲しくなってしまうんですよね。
その他、最近だと背が高いソファーを持っていたんですが、息子が飛び降りて危ないので撤去したんですよ。それで、背の低いローソファーを買おうとしたんです。でもローソファーってインテリアになじまないこともあって選ぶのが難しかったんですが、インスタでハッシュタグを入れてどんなインテリアがあるのか調べていたときに、すごいおしゃれなソファーがあったのでそこから購入しました。
私は洋服以外だと、韓国コスメですかね。今は韓国コスメがすごい人気で、動画出して(再生数が)伸びるときはとてもすごいです。
ただ韓国コスメは手元に届くのが遅かったり、不安に思うこともあってなかなか皆さん手を出しづらいことがあったりするんですね。
そういう場合はインターネットの口コミを見たり、インスタの検索で上位の投稿を調べたりして、「このコスメはいけるな」と判断できたらそのまま直で購入してします。
私は欲しいものがあったらまずはGoogleとかで調べるんですが、必ずインスタのハッシュタグでも調べるようにしています。
例えばカラコンとかも企業のホームページに載っている着用画像よりも、インスタのハッシュタグでカラコンについて調べた方が本当にリアルな着用画像が出てきたりして、私が求めていた情報がインスタで得られるので活用しています。
コスメもオフィシャルホームページで紹介されている色と実際に使用しているところや動画で撮ったときの色の感じが違って見えることもよくあるので、そのあたりの違いを見てから買うようにしています。
インフルエンサーマーケティングとマスマーケティングの今後
今はYouTubeやSNSとかがとても人気です。実際、私もテレビをあまり見ていなくてYouTubeとかネットで映像を見る機会が増えていますし、YouTubeしか見ていないという知人もいます。
ネット動画は若者しか今見てないと言われていることもありますが、将来的にネットで動画を視る人の割合はどんどん増えていくと思います。あと、テレビ広告とネット広告は共存していくと思います。
その結果、SNSで活動している方がテレビCMに出たりと言うことも今後どんどん増えていくでしょうね。
正直、インフルエンサーがテレビに出たりして活躍する機会は今後も増えると思います。実際、DMとかでテレビの出演依頼が来たりしていますし。
ただ、そうした機会が増えていくのに伴って、自分が調子に乗らないように心を保ち続けるようにすることが今後インフルエンサーに求められるようになってくるかなと思います。
芸能人ではなく、あくまで一般人としてオファーをいただくので。天狗にならないようにしなくてはいけないと感じます。
私は芸能人とインフルエンサーの境界がなくなると思います。私自身もこの前テレビに出させていただいたこともあったり、仲の良いユーチューバーの方もどんどんテレビに出ていますし。
街で「好きな芸能人は?」と聞くとユーチューバーやインスタグラマーの名前が出る時代なので、そういう文化の移り変わりからみても境界線はなくなると思いますね。
広告についても、テレビCMとネット広告は共存していくと思います。ただ、雑誌は若い人に聞いても全然読まないと言っているので、雑誌に広告費を使うのだったらネットやインフルエンサーに広告費を割いた方が良いのではないかと思います。
本記事の後編([後編] 総フォロワー40万!人気インフルエンサーが語るInstagramマーケティングの本音)はこちらからご覧いただけます。