自社商品やサービスの認知拡大やブランディングの向上などマーケティング施策の一つとして起用の機会が増えているインフルエンサー。
インフルエンサーを起用してみたいけれどその募集方法やどのような人物を起用すべきか分からない、という企業が多いのではないでしょうか。
事実として、単にフォロワー数の多さだけで起用する人物を決めてしまい、思うような結果に繋がらなかったというケースも散見されます。
マーケティング施策でインフルエンサーを起用し確実な成果を上げている事例には、以下2つの共通点があります。
・自社と相性の良いインフルエンサーを起用
・インフルエンサーへのディレクションがうまく機能している
今回の記事では、インフルエンサーを起用したマーケティング施策(以下、インフルエンサー マーケティング)を検討する際に参考にしたい、インフルエンサーの起用ポイントとディレクションをする際の注意点について、解説します。
目次
自社と相性の良いインフルエンサーを起用することで期待できる3つの効果
インフルエンサーマーケティングを成功させるにはPRしたいと考えているサービスや商品と親和性の高いインフルエンサーを起用すべき、と冒頭で触れました。
そもそも、なぜ自社と相性の良いインフルエンサーを起用することが大事なのでしょうか?
それは、インフルエンサーマーケティングにおけるメリットを最大限に発揮するためには企業とインフルエンサーの親和性の高さが欠かせないからです。
具体的にどのようなマーケティング効果が期待できるのか、以下で解説します。
影響力のあるユーザーから情報を配信することでプレスリリースでは得ることができない反響を広め、効率的に認知拡大ができる
まずは、自社ホームページなどによるプレスリリースだけでは得ることができない反響を広めることが可能になる、ということが挙げられます。
自社のホームページやプレスリリースをチェックしているユーザーは元々自社に対して高い興味関心のあるユーザーですので情報が届いて当然といえます。
一方で、まだ自社のことを知らない潜在的な顧客になり得るユーザーにはアプローチできません。
しかし、インフルエンサーマーケティングを実施することでそのインフルエンサーのフォロワーに対して一気に自社の商品やサービスに関する情報を拡げることができ、プレスリリースや従来のマーケティングではリーチできなかった見込み顧客へとアプローチすることができます。
商品を売る、という命題において新規顧客を獲得するということは非常に重要なポイントですが、同時に困難なことでもあります。
見込み顧客へのアプローチも可能にする、という点だけでもインフルエンサーを起用する価値はあると言えるでしょう。
マスメディアなどに向けた莫大な広告費を出さずにエンゲージメントの高いPRが行える
インフルエンサーには芸能人のように有名なユーザーもいますが、基本的には新着情報に対してアンテナが高く、情報収集力と配信力に長けた一般ユーザーの割合が多い傾向にあります。
一般人を起用してブランディングを行うことで、そのユーザーのライフスタイルにあわせた、近しいセグメントのユーザーに向けたアプローチを行うことが可能です。
無作為に多くの一般ユーザーに対して商品やサービスの情報を投げるより、高いエンゲージメントを獲得できることがメリットです。
マーケティングを通じて自社アカウントにとって財産となるフォロワーを獲得できる
インフルエンサーマーケティングによって獲得できる「財産」とは、インフルエンサーマーケティングによって獲得できたユーザー(ファン)のことです。
自社企業の活動や商品・サービスに対して興味関心がありアカウントをフォローしてくれたユーザーは、現時点では購買行動に繋がっておらず自社にとって無利益なユーザーですが、大切な将来の見込み顧客です。
また、そうしたユーザー同士が今後も自社商品やサービスについてシェアし合うことによって、インフルエンサーマーケティングを行っていない場合でも自社発信の情報が広くユーザーにリーチするようになるため、大きな財産になるでしょう。
最後に、インフルエンサーマーケティングの結果生まれた魅力的なクリエイティブは、広告用バナーやランディングページに使うクリエイティブとして非常に有効です。
これも1つの「財産」といえます。ただし、二次利用の権利については事前にインフルエンサーと交渉を行う必要性があるのでしっかり確認を取った上で利用するようにしましょう。
このように、効果的なインフルエンサーマーケティングを行うことで得られた財産は、通常のマーケティングでは得ることが出来ないものが多いということを知っておいてください。
インフルエンサーを起用する時は「フォロワーの属性、普段の投稿内容、世界観」から自社と相性が良いかどうかを判断する
では、自社と相性の良いインフルエンサーを起用するためにはどのような部分を基準に判断すれば良いのでしょうか?
インフルエンサーのフォロワーを確認する
インフルエンサーのSNSアカウントに投稿されたコンテンツがたとえ多くの人に見てもらえたとしても、届けたいターゲットに届かなければ意味がありません。
例えば自社のPRしたい商品がコスメだった時、普段から美容系の投稿を良くしている女性インフルエンサーが起用候補として複数人挙がった場合、どの人を起用しても良いんじゃないか、と思うかもしれません。
ですが、もしそのコスメがプチプラを売りにした女子高校生をターゲットにしたものだった場合、OLや大人の女性から支持を集めている女性インフルエンサーを起用したらどうなるでしょうか?
せっかくのPRもフォロワーに刺さらず、なによりも肝心の女子高校生の元へ投稿が届かずじまい、なんてことが考えられます。
そのため、自社がPRしたい商品、サービスのターゲット属性と、起用したいインフルエンサーのフォロワーの属性は近しいか確認することは欠かせません。
普段SNSでどのような投稿をしているのかを確認する
投稿内容を確認することで、インフルエンサーが影響力を及ぼす領域やPRを得意とするジャンルを把握し、それが自社のPRしたいものと親和性が高いか判断することができます。
ファッション、美容関係、グルメ、子育て、ライフスタイル……インフルエンサーが活躍する領域は多岐にわたっているため、入念に調べることでより自社と相性の良いインフルエンサーを選定できる確率がグッと高まります。
インフルエンサーの投稿するコンテンツが自社の表現したい世界観に近いかどうかも確認する
可愛らしくポップな投稿が得意なインフルエンサーもいれば、大人っぽくシンプルな投稿を特徴とするインフルエンサー、清楚で綺麗目なイメージで投稿を統一しているインフルエンサーもいます。
自社の商品、サービスのイメージと合致する世界観を持つインフルエンサーを起用することで、より魅力的にPRしてもらえるでしょう。
ディレクションをする際におさえておきたい4つのポイント
自社と相性の良いインフルエンサーを無事に起用できたとしても、まだまだ気は抜けません。
インフルエンサーマーケティングの成功を大きく左右するもう一つの要素はインフルエンサーへのディレクションです。
不適切なディレクションはインフルエンサーの影響力を十分に活用できず、PRがうまくいかない…という事態を招く恐れがあります。
ここでは適切なディレクションを行うために知っておきたい4つのポイントを解説します。
PRの内容や投稿の仕方はインフルエンサーのクリエイティブを信頼する
予算をかけてインフルエンサーへPRを依頼するとなると、「商品を大きく見せてほしい」「こういう見せ方をしてほしい」など、どうしても自社が望む見せ方、要望を押し付けがちです。
特に、インスタグラムのようにビジュアルで訴えかけるSNSで活躍しているインフルエンサーに依頼する場合、その傾向は顕著に見られるようになります。
しかし、インフルエンサーは「SNSにおいて魅力的な写真」を撮影・加工するプロフェッショナルです。
SNSでの見せ方、またフォロワーが反応しやすいアプローチに関しても企業よりも理解しています。
そのため、インフルエンサーが作り出すクリエイティブを信頼することは欠かせません。
自社が望む見せ方を押し付けるあまり、インスタグラムの投稿に対していいね!やコメントが伸びない、なんてことにならないように気をつけましょう。
謝礼だけでなくネタを提供することで、インフルエンサーのひらめきを促進させる
インフルエンサーのクリエイティブを信頼するにあたり、企業がすべきことがあります。
それは、インフルエンサーが喜んでSNSに投稿したくなるような "ネタ" を提供することです。
具体的には、インフルエンサーのフォロワーが思わず反応したくなるような商品の特徴やブランドメッセージがネタにあたります。
ネタを提供することでインフルエンサーの方々が「それだったら、こういう見せ方をするとフォロワーが喜んでくれるな」と思ってくれるように努めるべきなのです。
「謝礼を支払うから、いいね!が集まる投稿をして」という依頼は決してしないようにしましょう。
インフルエンサー1人の投稿だけでなく、他の広告媒体への出稿など「話題づくり」のための戦略的なPRを行う
予算との兼ね合いもありますが、複数のインフルエンサーを起用したり、狙うターゲット層が集まるメディアへも記事広告を出稿するなど、戦略的な話題づくりを心がけるべきです。
なぜなら、ユーザーへのアプローチ経路が1つだけでは狙う層を囲い込むことが難しいからです。
また、タイムライン上から投稿が流れてしまったら、投稿を見てもらえる機会が減ってしまいます。
特に、RTのような共有機能がないインスタは1回の投稿だけではコンバージョンがすぐに出にくい特性があります。
インスタグラムでインフルエンサーを起用する場合、PR用のハッシュタグを用意してキャンペーンとして打ち出したり、複数人のインフルエンサーとコラボし、ユーザーのタイムラインに何度も自社のコラボ投稿が表示されるようにするなど、戦略的PRを図る必要があるのです。
ステマにならないようPRタグを付けてもらう
商品を提供したり、金銭のやり取りが発生するなど、インフルエンサーが対価を得てSNSに投稿する場合は、広告であることが明確にわかる表記を行いましょう。
もし広告であるにも関わらず、広告ではないかのように見せてしまうと、ステマ(ステルスマーケティング)として炎上したり、景品表示法違反となる場合があります。
そのため、インフルエンサーに投稿してもらう際には「#PR」といったハッシュタグなど、広告であることを明記してもらうことを忘れないようにしましょう。
インフルエンサーを募集する方法|キャスティング会社に依頼する、広告代理店に依頼する、またはインフルエンサーに直接依頼する
前章で解説した4つのポイントをしっかり把握・クリアしてようやくインフルエンサーの募集、起用にうつることができます。
実際にインスタグラムをはじめとするSNSを活用したマーケティング施策でインフルエンサーを起用したい場合、どのように募集すれば良いのでしょうか。
ここでは3つの方法を紹介します。
キャスティング会社の利用|企画の立案からレポーティングまで全てを行ってくれる
インフルエンサーを多く抱えるインフルエンサーキャスティング会社へ依頼することが一番簡単な方法です。
インスタグラマーキャスティング専門企業に依頼するメリット
スピード感のある対応が可能
専門企業へ依頼することで、スピード感のある対応が可能になります。
空いた時間で他の業務に集中できるため、Web担当者のリソース確保になります。
報酬、支払いに関する対応が楽になる
インスタグラマーと個々に連絡を取り合って対応を進めると面倒なのが報酬、支払いの対応です。
ほとんどのインスタグラマーが個人事業主として活動しているため、源泉徴収の支払い等の対応が必要になります。
また法人格を持っているインフルエンサーに対しては請求書を利用したやり取りが行われます。
このような個別管理はプロモーション企業に依頼することで一元管理することができるため経理担当者の負担も減らすことになるでしょう。
企画からレポーティングまでを任せられる
どのインスタグラマーにどんな施策を依頼するのかや、ちゃんと投稿が行われているのか。
その投稿に対する反応がどうだったのかなど分析を行うのは時間とノウハウが必要です。
このあたりを熟知している企業に依頼することで、工数の削減だけでなく成功確率を高める事が可能です。
インスタグラマーキャスティング専門企業に依頼するデメリット
場合によっては割高になってしまう可能性がある
インスタグラマーキャスティング専門企業に依頼する場合、インフルエンサーへの報酬にプラスして、キャスティング専門企業へのマージンも支払い費用として発生します。
前述したメリットに見合うマージンであるか否かは、しっかりと判断しなければなりません。
全体のマーケティング戦略との整合性がとれないチグハグなプロモーションになってしまう可能性がある
インスタグラマーを活用したキャンペーンは、あくまでも全体のマーケティング戦略の一部であり、全体として事業を成功に導く必要性があります。
キャスティング専門企業の場合、提案もキャスティングに閉じてしまう場合が多く、全体の施策との整合性が十分に取れていない場合、効果が最大化しない可能性があります。
なお、本メディア「インスタラボ」運営のFindModel(ファインドモデル)もインフルエンサーマーケティング事業を展開しています。
インスタラボで培ったインスタグラムマーケティングノウハウと700件以上の実績が実現する高品質のディレクションを、1200人を超えるインフルエンサーとの直接ネットワークを利用することで低コストでご提供可能です。
全体戦略を含め、貴社のマーケティング戦略の効果を最大化させる提案が可能です。興味のある方はぜひこちらもご覧ください。
すでに取引のある広告代理店に依頼|全体のマーケティング戦略と整合性の取れた施策の提案を行ってくれるがコストが割高になる恐れがある
既に取引がある広告代理店が存在する場合、その営業担当者に相談することはよくあると思います。
広告代理店に依頼するメリット
自社や事業に対して十分理解のある状態で提案が貰える
現在の事業状況だけでなく、社内の決裁ルール等を踏まえた上での提案ができるのは、既に取引のある広告代理店を利用する最大のメリットであるといえます。
全体のマーケティング戦略に照らし合わせた提案が貰える
オンライン/オフラインの垣根も超えた、全体のマーケティング戦略について最も深く理解している人に依頼することによって、全体の整合性の取れた施策を実施することができます。
広告代理店に依頼するデメリット
結果的にキャスティング専門企業に再発注する場合が多く、その場合はコストが非常に割高になる
インフルエンサーを多く抱える広告代理店はほとんどなく、多くの場合インフルエンサーキャスティング専門企業への再発注が行われます。
この際、マージンが2重でかかる結果となるため、コストが非常に割高になる可能性があります。
ディレクションのクオリティとスピード感が劣化する可能性が高い
広告主の要望をインフルエンサーに届ける際に、次のような伝言ゲームが発生します。
「広告主→広告代理店→インフルエンサーキャスティング専門企業→インフルエンサー」
仲介者が多くなればなるほど、広告主の意図が明確にインフルエンサーに伝わらなかったり、また時間のロスが発生するリスクが高まります。
インフルエンサーへ直接依頼する|コストを削減できる可能性もある一方で、ある程度の知見がないと難しい
3つ目の方法は自らインフルエンサーにアプローチをかけることです。
インフルエンサーのインスタグラムのアカウントが分かっている場合、DMを通してやりとりをすることになります。
インフルエンサーに直接依頼するメリット
支払金額だけを考えると最安になる可能性が高い
インフルエンサーへの報酬以外の支払いが発生しないため、支払い費用を最も抑えることができることが特徴です。
しかし、相場観を正しく理解していないとブランド価値を毀損したり、また結果として多くの支払いが発生してしまう可能性があり注意が必要です。
インフルエンサーと直接意思疎通が図れる
広告代理店を利用する際のデメリットとして「伝言ゲーム化」をあげましたが、インフルエンサーに直接意思疎通ができることは大きなメリットと言えます。
プロモーションの主旨や概要・詳細を直接伝達できる(オリエンができる)ため、プロモーションに変更が生じた際に小回りのきく対応が可能でしょう。
インフルエンサーに直接依頼するデメリット
直接の依頼を受け付けていないインフルエンサーもいる
有名なインフルエンサーであればあるほど、プロモーションの依頼は毎日何件も来ます。
そのためSNSのDMやメッセージでは気づいてもらえない可能性もあります。
また、事務所を通さないと仕事を受け付けないインフルエンサーや、決まったキャスティング企業からの仕事のみを受け付けるインフルエンサーもいます。
プロモーション全体のスケジュールがインフルエンサーのキャスティング都合で大きく崩れてしまうリスクを認識する必要があります。
社内工数が大きく膨らむ可能性がある
インフルエンサーの選定から連絡、各種オリエン、投稿までのディレクション、投稿の確認やレポーティング、支払いまで、自社内で完結させるためには様々な仕事が発生します。
このあたりをしっかりと実現できる社内体制を構築する必要がありますが、プロモーション担当者が片手間で行うことはなかなか難しい場合も多いです。
インフルエンサーマーケティングのノウハウが無いと、様々な失敗があり得る
報酬の交渉であったり、ディレクションであったり、ノウハウが必要な部分は沢山あります。
それを誤ってしまうと、インフルエンサーの信頼を失ってしまい結果としてブランド価値を毀損してしまう可能性があります。
逆に社内にインフルエンサー活用の経験が豊富な担当者がいる場合は、自社単独での実施を検討してみても良いかもしれません。
まとめ
以上、自社のマーケティング施策の効果を最大化させるインフルエンサーを起用したいなら知っておきたいポイントを解説しました。
PRしたい商品やサービスと相性の良いインフルエンサーを起用し、適切なディレクションを行うことで高いマーケティング効果を生み出す、ということが理解できたのではないでしょうか。
ただし、インフルエンサーマーケティングはノウハウがないと思うように結果が出せなかったり、そもそも何から始めればいいか分からずに悩んでしまうことが多いです。
そのような場合は貴社だけで悩みを抱え込まず、インフルエンサーマーケティングに特化した企業に相談してみるのも一つの手です。